霜月の落日(閑人亭日録)

 十一月も末。十一月一日が七十四歳の誕生日なので、なんか感慨がある。塚本邦雄の短歌が浮かぶ。
 ほほゑみに肖てはるかなれ霜月の火事の中なるピアノ一臺
 この歌についてネットではいろいろな解釈が見られる。私にとってはどの解釈も論及も、どうでもいいもの。霜月の情景が鮮烈に浮かぶ、それだけで充分。きょうも壮麗な落日。夕焼けとすべきか。今は、その情景が落魄(らくはく)の喩にならない幸運。