黒の領域 白の領域(閑人亭日録)

 上條陽子さんの板目木版画は、下絵をもとにして線描を白く浮かしている彫刻。
 不器用とも見える彫り跡が、生きている存在感を痛切に感じさせる、上條陽子さんの木版画
 http://web.thn.jp/kbi/kamijo.htm
 奥野淑子さんの木口木版画は、下絵はなく、板を直接彫り進んでいる描線の白。
 http://web.thn.jp/kbi/okuno.htm
 瑞々しい息遣い、弾む生、何と緻密で魅惑的な線刻だろう。
 どちらの木版画も、黒の領域、白の領域が互いを主張せず、対等に位置し、今を生きていることの意味を、さり気なく表現(問いかけ)している。作品から受ける印象は対照的だが、それが苦悩であれ、悦びであれ、私の心にじっと沁みる。

  梅雨明け。今夏初の朝風呂。32.5℃。