「モダニズムに関する論議」

 T・J・クラーク「モダニズムに関する論議  マイケル・フリードに答える」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。昨日の批判への反論。冒頭。

《 マイケル・フリードが主として攻撃の対象に選んだ私の論文の命題──すなわちモダニズムにはそれだけでも美術史上の一エピソードとして登録するに足るほどの 負性がそなわっているとする命題──は、平凡ではあれ、それなりに十分な証拠によって裏づけられている。そうした議論に証拠不足といって噛みつく試みは、 うわべだけ巧妙にとりつくろったもので終わるものである(平凡なことへの論駁がいつもこうなるとはかぎらないが)。フリードの試みもまた例外ではないようだ。 》  142頁上段

《 一連の芸術作品についてそれらが否定に否定を重ねることで進むといったとしても、その結果がいつも無(かそれに近いもの)だったとは意味していないし、 モダニズムが習慣的に否定的ないしニヒリスティックであるということさえ意味しないのに、それを早合点する。 》 143頁下段

《 不思議に思われることがある。モダニズムの批評家(フリードはその典型だ)は、充溢と肯定性に向けての勝利を約束するような絵画をもって名作と呼ぶのは勝手だが、 そうした要件を満たさないもの──だがこれもモダニズムの作品にちがいない──の系譜に出会うや、何でもかんでも敵対視して、「無用」と浪費の物語を語ってしまう のはなぜだろうか。 》 144頁上下段

《 というのも、これはこういっておくしかないのだが、「名作(マスターピース)」をいくつか選んで、それだけを頼りにして近代芸術の上品な歴史説明をなそうと 思っても、しょせんは無理な話なのだから。(中略)その点、モダニズムにかんする私の読みは、フリードが引き合いにだす作品のさまざまな意味を理解しつつ、 かつそれを、歴史的探求の何らのプロセスも経ないままにただモダニストの横暴によって切り捨てられたその他の多くの作品へと結びつけるものと自負している。 》  146頁上段

《 私が驚くのは、「首尾一貫した反復可能な意味」を近代文化が欠いているという考え方をフリードが馬鹿げたことと考えていることである。 》 146頁下段

《 だから読者は少々困惑した気持ちに囚われてもかまわない。フリードは私の分析を粗雑で品位を欠いたものとみなすだろうし、私も彼の分析を鼻につく尊大なものと にますのだから。 》 148頁上段

《 いいかえよう。考えるに、フリードの私との意見の不一致はの多くは、知覚第一主義( the priority-of-perception thesis )的な考え方にどういった態度で 臨むかに収束ないし由来するものである。 》 148頁下段

《 したがって知覚第一主義は精読(クロース・リーディング)を主張する。当然だ。だが、何をもって精読とするかによっては誤りが生じることもある。 》  149頁上段

《 というのも、この時期(注:1934年〜1948年)、彼の読解は依然として公然と、より広い歴史的関心と党派的心情(パーティザンシップ)とによって作動していた のだから。なぜこうした関心や心情が結局のところ放棄され、なぜ彼が知覚第一主義を振りかざす悪名高くも非妥協的な状況に撤退したのかは、別問題である。 》  149頁上下段

《 カロやジュールス・オリツキーの作品を私はもはやまともに見ることができないが、その理由のひとつには、長い時間を経るうちにそれが奉仕する関心やら論議やらが 不自然なまでに見え透いたものとなった事情がある。まったく性に合わないし退屈だと感じてしまったら、それから何も知覚することはない。 》 149頁下段

 昨日引用したマイケル・フリードとは正反対の評価だ。アンソニー・カロの作品は実見していないのでなんとも言えないが、画像を見たかぎりでは興味がない。
 訳者上田高弘の後記冒頭。

《 論争──というには、あまりにも見事なすれちがいである。 》 153頁

《 ちなみに訳者は訳者の権限を多少とも逸脱して、個人的には、クラークの逆批判の骨子にも動かされながらも、フリードの立場(とりわけカロ作品の分析につづく 末尾の部分)に賛同する旨、明記しておきたい。 》 154頁上下段

 ネット、いろいろ。

《 生態系は、一度壊したら回復は困難だ。せっかく「取り残されて」保存されてきた地域。「周回遅れのトップランナー」として、この貴重な生態系を売りにして 観光客を呼べるはず。修学旅行の生徒も、鹿の食圧のある場所とない場所の比較が出来、大仏観光だけではない多彩な学びができるはず。 》 寮美千子
 https://twitter.com/ryomichico/status/1072789980819283970

《 Stop the landfill of Henoko / Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa https://petitions.whitehouse.gov/petition/stop-landfill-henoko-oura-bay-until-referendum-can-be-held-okinawa

ホワイトハウス公式・辺野古埋立反対署名。
?First Name:名前
?Last Name:苗字
?E-mail:メアド
を入力、Sign Nowポチッ 登録メアドにメール到着 「Confirm?」のリンクを必ずポチッ 》 ANTIFA大阪
 https://twitter.com/antifa_osk/status/1072435719271010305

 ポチッ。

《 アートの幻想 --- 1. 資本主義カルチャーとしてのアートComments 》 大野左紀子
 http://d.hatena.ne.jp/ohnosakiko/20100627/1277647804

《 70年ぶりの漁業法改正、崖っぷち水産業はどう変わる?/竹田有里 》 WEDGE Infinity
 http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14738

《 京都水族館の恋愛相談めっちゃいい 》 ジャネイロ 12/15(土)名大院生バー
 https://twitter.com/Mandorio0510/status/1071583090353463297