2022-04-01から1ヶ月間の記事一覧

四月尽(閑人亭日録)

四月が終わる。布団の中で何か気の利いたことを書こうと思っていたけど、思いつかない。普通の老人だからなあ。ま、四月は残酷な月だ、と、T・S・エリオットを 真似て書いておく。 午前、源兵衛川下流、一本松上流の石垣の、一昨日深くて取れなかったヒメ…

昭和の日(閑人亭日録)

昭和の日。私の見立ては。 昭和の記念碑は、広島の原爆ドームと東京タワー。 平成の記念碑は、福島第一原発。 極私的には。 昭和は、味戸ケイコさんの絵『子どものころ戦争があった』。 https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=344559028 …

『空間の経験』五(閑人亭日録)

イーフー・トゥアン『空間の経験』ちくま学芸文庫1993年初版を読んだ。《 一般的に、(老若を問わず)人が世界はあまりにも急速に変化していると感じるときに示す典型的な反応は、理想化された安定した過去を喚起することであるといえるだろう。他方、変化を…

『空間の経験』四(閑人亭日録)

イーフー・トゥアン『空間の経験』ちくま学芸文庫1993年初版を少し読んだ。《 文学は、われわれが気づかずに過ごしてしまうかもしれない経験の領域に注目する。彫像は、その物理的な存在感によって場所の感覚を生みだす力をもっている。 》 「12 可視性──場…

『空間の経験』三(閑人亭日録)

イーフー・トゥアン『空間の経験』ちくま学芸文庫1993年初版を少し読んだ。《 人間的時間は人間の身体と同じく、左右対称ではない。つまり、背中が過去で、顔が未来に相当するのである。生きていくということは、常に光のなかへ歩を進めながら、 背後にある…

『空間の経験』二(閑人亭日録)

イーフー・トゥアン『空間の経験』ちくま学芸文庫1993年初版を少し読んだ。《 小さいのものは、大きいものを映しだす。小さいものは、人間の感覚によって把握することができる。小さいものが伝えるメッセージは、狭い領域に閉じ込められている ので、ただち…

『空間の経験』(閑人亭日録)

イーフー・トゥアン『空間の経験』ちくま学芸文庫1993年初版を少し読んだ。《 われわれがある物体や場所を全体的に経験するとき、つまり活動的で思索的な精神の知的働きを通して経験するだけでなく、すべての感覚をも通して経験するとき、 その物体や場所は…

夏日に慣れない一日(閑人亭日録)

昼前、源兵衛川中流、三石神社周辺のヒメツルソバを抜く。深い場所があるのでサンダル履きで作業。ちょっと見ない間にずいぶん繁茂している。土のう袋にぎゅう詰め。 手に下げて帰宅。やれやれ。汗ばむ。 午後、若い男女が車で来訪。熱海の秘密の本屋へ補充…

「知的汚染者たち」(閑人亭日録)

昨日取り上げた本、『年鑑日本のイラストレーション 1972』講談社1973年5月10日発行の序文、堀内誠一「知的汚染者たち '70年代における日本の イラストレーション」から。《 のっけから暗い話になってしまうが、'70年代がそれまでの時代と異なる状況であ…

鏑木清方~味戸ケイコ(閑人亭日録)

今、東京国立近代美術館では鏑木清方展。目玉作品の『築地明石町』は、2019年に見ている。気品と憂いが混然とした立ち姿に参った。 https://kiyokata2022.jp/ 鏑木清方は1972年(昭和47年)3月2日に亡くなった。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8F%91%E6…

精確な曖昧(閑人亭日録)

藤富保男の詩集『正確な曖昧』を『現代詩文庫57 藤富保男詩集』思潮社1973年初版で読んだ。そして思った。北一明のロクロ成形ではない手びねり、彫文の陶芸作品は、 精確な曖昧の作品だ、と。《 焼きものの需要なポイントは、炎の主導権を握るということで…

手びねりの形態(閑人亭日録)

昼前、久しぶりに晴れ間が見えたので、北一明の茶碗を卓上に置く。 北一明の陶芸作品を本の写真印刷で見るのと現物を手に間近に見るのでは、印象がまるで違う。絵画でもそうだが、北一明の焼きものの場合、それが顕著になる。 また、茶碗でもロクロ成形のも…

『現代思想入門』四(閑人亭日録)

千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書2022年3月30日2刷、「第五章 精神分析と現代思想──ラカン、ルジャンドル」を読んだ。《 ラカンは大きく三つの領域で精神を捉えています。第一の「想像界」はイメージの領域、第二の「象徴界」は言語(あるいは記号)…

『現代思想入門』三(閑人亭日録)

千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書2022年3月30日2刷、「第三章 フーコー──社会の脱構築」を読んだ。瞠目。フーコーは難解だった。そういうことか。《 我々は二項対立で「これは正常」、「これは異常」と割り振ったり、あるいはさまざまに分類して秩序…

『現代思想入門』二(閑人亭日録)

千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書2022年3月30日2刷、「第二章 ドゥルーズ──存在の脱構築」を読んだ。《 ネットによって皆が発言権を持つようになったのは確かです。だが、それは管理社会の到来でもあった。ドゥルーズは管理社会について鋭く予言して …

『現代思想入門』(閑人亭日録)

千葉雅也『現代思想入門』講談社現代新書2022年3月30日2刷、「はじめに 今なぜ現代思想か」を読んだ。引き込まれるわあ。 https://gendai.ismedia.jp/list/books/gendai-shinsho/9784065274859《 多かれ少なかれ、自分が乱される、あるいは自分が受動的な立…

人の縁、つながり(閑人亭日録)

昨日の打ち合わせでご一緒した段女史から今朝、メール。《 美術についてもっともっとお話を聞きたいです。k美術館のサイトみました。ブログも拝見しました。 味戸ケイコ 木葉井悦子さんの展示 なさっていたのですね。絵本でしか見たことがない。 折を見てぜ…

初顔合わせ~打ち合わせ(閑人亭日録)

午前、市役所大社町別館で文化振興課の課長ら三人と「ことばのたね」(大岡信を顕彰する、女性四人と私が参加)との今年度の初顔合わせ。話は順調に進み、お開き。 五人で昼食をはさみ、今後の打ち合わせ。女性たちの細やかな意気込みにあらためて感心。所用…

『人類の起源』八(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第七章 「新大陸」アメリカへ」を読んだ。《 これらの年代が正しいとすると、ゲノムの証拠から考えて、現在のアメリカ先住民につながらないまったく別のホモ・サピエンスの系統が新大陸に進出していたこ…

『人類の起源』七(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第六章 日本列島集団の起源」を読んだ。《 このことは東南アジアから初期拡散によって北上した集団の中で、沿岸地域に住んでいた集団が縄文人の母体になった、と考えると説明がつきます。大陸沿岸部広い…

『人類の起源』六(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第五章 アジア集団の成立」を読んだ。《 東アジアの集団の成立は非常に複雑で、歴史時代を通じた人の移動もかなりあるので、現代人のデータだけからはでは過去の移動の様子を知ることには限界があります…

『人類の起源』五(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第四章 ヨーロッパへの進出」を読んだ。《 私たちはこれまで暗黙のうちに、出あふりか集団が世界の各地に展開して、現在に続く地域集団として成立したと考えてきました。それは人類集団の成立を、生命進…

お花見ドライブ(閑人亭日録)

晴天の一日。朝、誘われて純白の富士山を見上げながら静岡県東部、裾野市、御殿場市、小山町の桜の名所をドライブ。どこも満開の豪勢な彩り。 やはり小山町の富士霊園が最高。これ以上壮大な桜並木はあるかなあ。いやあ、桜吹雪中に身を置きたいわあ。午後帰…

『人類の起源』四(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第三章 「人類揺籃の地」アフリカ」を読んだ。《 ホモ・サピエンスがアフリカで種として確立したとしても、それがアフリカのどこなのかについての確実な証拠はありません。 》 108頁 昼前、源兵衛川中流…

白砂勝敏さん来訪(閑人亭日録)

午後、白砂勝敏さん来訪。夕食を挟み、歓談。読書は手つかず。 https://shirasuna-k.com/ ネット、うろうろ。《 オオサンショウウオいた 》 おにく(ONIKU)くいたいhttps://twitter.com/29tangasuki/status/1511203948233105410《 図書館の値打ちが本の貸し出…

『人類の起源』三(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第二章 私たちの「隠れた祖先」──ネアンデルタール人とデニソワ人」を読んだ。《 ここからわかることは、ネアンデルタール人と私たちが、数十万年にわたって交雑を繰り返していた可能性があるということ…

『人類の起源』二(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版、「第一章 人類の登場」を読んだ。《 それは同時に、現在の定説の大半も将来的には反証される運命が待っているということを意味します。科学に従事する者には、真実に到達するためのたゆまない努力が 要求…

『人類の起源』(閑人亭日録)

篠田謙一『人類の起源』中公新書2022年2月25日初版を少し読んだ。 https://www.chuko.co.jp/shinsho/2022/02/102683.html《 前もってダイジェストしておくと、これまで約二○万年前にアフリカで生まれたとされてきた私たちの現生人類(ホモ・サピエンス)です…

連想「絵画の解法」(閑人亭日録)

昨日の「絵画の解法」から連想した短歌、俳句のいくつか。直感で動いているゆえ、何がどうして連なっているのかは、訊くなかれ。 他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水 葛原妙子 冬怒濤汲まれてしずかなる水におのが胸もとうつされてゆく…

「絵画の解法」(閑人亭日録)

四月馬鹿なのか、未明にふっと目覚め、言葉遊びのようなお馬鹿なことが浮かんだ。 「絵画の解法」 絵画の発想→絵画の着想 絵画の自己表現→事故表現→自己開放→自己解放 花冷えの一日。今年初めて音楽に浸る。体調が戻ってきたかな。自転車のハンドル操作がこ…