2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

真贋の構図

昨晩、久しぶりにブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。おお、半額セール中。10冊も買ってしまった。単行本は皆川博子を二冊。「薔薇忌」実業之日本社1990年初版「骨笛」集英社1993年初版帯付。大平健「顔をなくした女」岩波現代文庫2005 年初版、立原道造…

ひげのある男たち

結城昌治「ひげのある男たち」徳間文庫1982年初版を読んだ。1959年に刊行された結城昌治の長編処女作。数人のひげのある男たちの中に殺人犯がいる。どの容疑者もアリバイがない。しかして犯人は? 意外な犯人。傑作だ。うれしいねえ、傑作と断言できるのは。…

オレンジ党、海へ

天沢退二郎「オレンジ党、海へ」筑摩書房1983年初版を読んだ。冒険ファンタジーだ。「オレンジ党と黒い釜」より人間関係が複雑になり、伏線が張られ、面白いけれど……。「闇の中のオレンジ」後半を再読。この部分が、オレンジ党三部作へつながっている。つま…

7月27日(月) 休館日

天沢退二郎長編三部作《三つの魔法》第一部「オレンジ党と黒い釜」筑摩書房1984年3刷を読んだ。「光車よまわれ!」「闇の中のオレンジ」に較べて普通のファンタジーになってしまっている。うーん、どういうものだろう。前ニ作が面白かったので、期待が大きか…

京都から

昨日はガシャガシャ降ったり止んだりの梅雨らしくない雨。きょうはしとしと雨。いかにも梅雨。 K美術館は私個人の運営なので、すごく地味に運営している。それでも12年もやっていると、いろいろなところからチラシやパンフレットが送られてくる。一昨日は…

闇の中のオレンジ

梅雨の中休みだろうか、青空が広がる。よって暑い。 天沢退二郎「闇の中のオレンジ」筑摩書房1976年を読んだ。これは短編集だけれど、すごいわ。奇妙な味の小説といえばいいいのかな? と読んだ直後は思ったけれど、幻想小説ではなく源想小説と標記したくな…

光車よ、まわれ!

天沢退二郎「光車よ、まわれ!」ちくま文庫を一気読み。最初の一頁から物語に引き込まれた。そして息もつかせぬ展開に最後までぐいぐい引っ張られた。ダーク・ファンタジーの部類かもしれないが、これは子どもの頃の苦い感覚をまざまざと甦らせた稀有な怪奇…

あまりに遠い

開高健「ピカソはほんまに天才か」中公文庫の美術エッセイには共感することばかりだ。違うな、というエッセイには出合わなかった。表題作から。シャルトルの大聖堂のステンドグラスについて。「この有名すぎるほど有名な飾窓についてはスキラ版も繰りかえし…

空回りのムード

知人は皆既日食の写真を送ってきたけど、空回りの列島狂騒曲だった。式貴士「怪奇日蝕」角川文庫を読んでみた。うーん、空回りかな。開高健「ピカソはほんまに天才か」中公文庫1991年より「37 祈りなき大地の痛苦──ゴヤ」。ゴヤの版画「スペインの娯楽」につ…

7月21日(火) きょうは閉館

午後、知人の案内で、裾野市の何年も前に閉鎖された絨毯製造工場を友だちと訪れる。照明の消えただだっ広い工場には糸がかかったまま停止した織機が並んでいる。薄暗い中を、へたった板敷きの床を踏み抜きながら打ち捨てられた機材や糸、絨毯を見て歩く。近…

怪奇日蝕

皆既日食をつい怪奇日蝕としてしまう。式貴士「怪奇日蝕」角川文庫を持っていた。しかし、曇天。暗くなったのかまるでわからん。 昨日の収穫、各種木製糸巻きの汚れを落とす。はてさて、これをどう活かすか。鋼鉄の歯車、大中小は、歯が斜めについているので…

きょうは開館

月曜休館だけれども、きょうは開館、明日休館に。午前十一時前に早々と来館者。開けてよかった。 「寺山修司少女詩集」角川文庫を拾い読み。「愛する」章の無題の三行の詩。 あなたの 一本の黒髪が 地平線になりました 別のページの短歌。 見るために両瞼を…

作品と作家

篠田一士「日本の近代小説」集英社の「徳田秋声」の章。「ぼくには、作品と作家の表裏一体などは、むしろいまわしいことだと思える。一如でないからこそ、作品は作品としての存在理由があり、作家は作家として、人並みの人間の生涯を送ることができるはずで…

好みの装幀

朝、雨が止むと一斉に蝉の声。きょう初めて聞いた気がする。昨日までは蝉はまだあ?状態だった。 篠田一士「日本の近代小説」集英社の吉岡実の装幀を気に入ったので、ウェブサイトを参考に彼の装幀本を本棚から探し出す。彼の詩集、「異霊祭」(限定版)、「…

もっとも非ヨーロッパ的な日本

昨晩は、女友だち二人と灯籠流しへ。二人とも大いに喜んでくれてやれやれ。ヨーロッパのキリスト教徒やイスラム教徒は、この水に流す行事をどう感じるだろう。 昨日ふれた安藤信哉の遺稿「写実ということ」(「安藤信哉遺作展」茨城県立美術博物館1985年収録…

もっとも非ヨーロッパ的

きょうも炎天の夏空。雲はどこに。 ネット注文した篠田一士「日本の近代小説」集英社1988年初版函帯付が届く。送料込み1480円。定価3800円では当時手にしても見送っただろう。装丁は「日本の現代小説」と同じ吉岡実。並べて見ると色違いの兄弟本だ。布の装丁…

形姿

昨日、この夏初めて全館冷房をした。きょうも昨日同様晴天暑い。全館冷房。まだ梅雨の中休み? 篠田一士「日本の現代小説」集英社1980年を拾い読み。「スピーディに動く現代という時代でも、物事が革まるためには一世代三十年という時間がどうしても必要らし…

買いたい本を買って幸せ気分 昨日、友だちの車に同乗してブックオフ沼津店へ。海堂尊「チーム・バチスタの栄光」宝島社2006年2刷帯付、佐々木丸美「狭霧秘話」ブッキング2008年初版帯付、伊井圭「啄木鳥探偵處」創元推理文庫2008年初版、江國滋・編「手紙読…

休館日/炎塊と氷塊

野間宏「全体小説と想像力」河出書房1969年から。「私は時代と社会の全体をとらえ、その全体のただなかに人物(人間)の全体を置くことを、作家として何より重要と考えているわけである。そしてそれが私が全体小説を言い、長編小説をすすめている中心におか…

全体小説

野間宏「全体小説と想像力」河出書房1969年をから「『青年の環』について」などを拾い読み。「そして私は小説作品の全体が、虚の世界と磁場の世界の統一されたものであるというところに行きついたのである。虚の世界というのは、原稿用紙のいまだ言葉をもっ…

青年の環

野間宏「青年の環」の最終巻、「第五巻 炎の場所」河出書房1971年を読了。八千枚におよぶ重厚長大な長編小説、最後まで飽きることなく読み終えた。メガトン級とも評され、、超ど級とも言われ、私は重戦車五台が横並びに轟音をたてて突き進んでいる、と三十年…

ジャズ宣言

四谷書房日録さんで昨日の平岡正明訃報を紹介している。彼の「ジャズ宣言」イザラ書房1969年を開く。表題論文冒頭。「どんな感情をもつことでも、感情をもつことは、つねに、絶対的に、ただしい。ジャズがわれわれによびさますものは、感情をもつことの猛々…

途上にて

今朝は昨日ほどではないが強い風。昨日触れたみなみらんぼう「途上にて」を昨夜聴こうと思っていて、ポルトガルのFADOを聴いてそのまま床に就いてしまった。しまったなあ。これはシングル盤とCDアルバム盤と持っているけど、違う録音で、シングル盤の…

地上資源

昨晩はNPO法人えがおつなげて代表理事 曽根原久司氏の講演を聴く。演題は「都市との多面的交流による農村地域の活性化」。じつに興味深い内容だった。日本には地下資源は乏しいが、地上資源の宝庫である、という指摘には目からウロコ。森林資源、水資源だ…

7月 6日(月) 休館日

昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。島田雅彦「亡命者は叫び呟く」福武書店1984年初版、田中克彦「チョムスキー」岩波現代文庫2000年初版、計210円。 きょはお昼近くまで蒲団でゴロゴロ。午後、友だちと沼津美術研究所のギャラリーへ。そこの別室に置…

企画展初日

午後、三島テレビ放送の取材。放送時間が五分間なのでありがたい。 建築三酔人「現代建築ほめ殺し」新潮OH!文庫2001年を読んだ。「ほめ殺し」ではななく「ほめ倒し」という印象。「豪傑 われわれは悪口を言っているのではない。タイトルにある通りほめて…

協働作業

昨日の午後は静岡大学と都留文科大学の学生たちと源兵衛川中流域の堆積した土砂と雑草の除去作業に汗を流した。沢山の沢蟹、少しのアメリカザリガニそしてホトケドジョウ一匹が出てくる。アメリカザリガニは殆どを駆除。午後四時には作業を終える。土砂の除…

本能的直観

昨日の「知識・経験・直観」の出処が判明。雑誌「BRUTUS」1997年7月15日号の特集「メトロポリタン美術館の西欧絵画部長も驚いた 日本にはこんなに名画があったのか!」の、当の部長エヴェレット・フェイの発言だった。「キュレーターの仕事は、オリジ…

展示替え/知識・経験・直観

前世紀の雑誌だったと記憶しているけど、昨夜見つけられなかったのが、芸術作品の良し悪しを判断するには「知識・経験・直観」が必要不可欠という文面。この三点セットは、以来ずっと頭から離れない。知識と経験は、努力すればなんとかなるだろうけど、直観…

展示替え/美の玉手箱

美はその人にとって心地よいものだと思う。昨日取り上げた草間彌生だけど、彼女にとっては、あの限りなく広がってゆく網の目(を制作してゆくこと)が心地よかったのだろう。私には気持ちワリイとしか感じられんが。さほどに美意識、審美眼は、人さまざま。…