『江戸にフランス革命を!』(閑人亭日録)

昨日引用した橋本治の「解説」の前の文章を。下村槐太の句「河べりに自転車の空北斎忌」について。 《 私が見た「絵」は、朱紅の空を背景にして高くそそり立つ、暗い河原の土手である。その上に頑丈な荷台を持つ自転車が一台立っている。人の姿はなくて、向…

『百句燦燦』(閑人亭日録)

眼の届くところに面陳で置いてある塚本邦雄『百句燦燦』講談社文芸文庫2009年3刷を手にする。加藤郁乎(いくや)「あヽ 亜麻色の初花のともぐひ」について。 《 作品は智慧競べを挑むことはあつても生半可な挨拶など決して迎へはしない。 》 161頁 と書く著…

坪内祐三 篠田昌己 (閑人亭日録)

「坪内祐三さん死去 61歳」。絶句。読もうと思っていた神藏良子『たまもの』ちくま文庫2018年初版を開く。二枚目の写真が「坪内祐三 河田町T病院 2000年12月2日 」。ベッドに仰向けで、まさしく病人、虚ろな目。 《 二〇〇〇年十二月二十八日 T病院にむか…

『サモトラケのニケ』(閑人亭日録)

読了した本はほどなく本棚などへ戻すものだが、谷川渥『形象と時間』講談社学術文庫1998年初版だけはいまだに目の届くところにある。そして表紙の彫刻 『サモトラケのニケ』を見る。 http://musee.louvre.fr/oal/victoiredesamothraceJP/victoiredesamothrac…

新着CDプレーヤー試聴(閑人亭日録)

届いたCDプレーヤー、同じ価格帯の後継機、DENON「DCD-800NE」をセッティング。ただ据え置くだけでなく、四隅の足の下にはブチルゴム、テフロンシートで 自作した防振装置を挟み込む。上には鉛棒、ブチルゴム、テフロンシートで自作した重しを乗…

木葉井悦子さんたちの手紙(閑人亭日録)

1988年かな、種村季弘氏から未知の画家木葉井悦子さんの個展案内が届いた。銀座の画廊春秋へ。一通り絵を拝見し、画家に感想を述べた。「病み上がりの絵ですね」。 木葉井さんはえらく喜んだ。以来お付き合いが始まった。中野駅南口にあった中野虹画廊の個展…

「 11/111」(閑人亭日録)

111ぞろ目の日。故・木葉井悦子さんの画集『うみはぎなみほどき』トムズボックス1993年11月1日限定111部刊行のうち、11番の本を開く。吉祥寺北口にあった小さな店 トムズボックスで購入。副題「一九八六年三月二九日 - 一九八七年四月一七日」。全編細か…

初めての作(閑人亭日録)

昨日の知人女性のお宅で見た、壁に掛けてある彼女の絵は以前から見慣れたものだが、椅子の後ろの床に立て掛けてあった十号ほどの風景画に一目で惹かれた。前景には コスモスだろう、十本ほどが描かれ、後景には二階建てだろう人が住んでいない気配の四角い建…

『知の自由人たち』二(閑人亭日録)

山口昌男『知の自由人たち』NHKライブラリー1998年初版、後半を読んだ。 《 今日の学問の形は、一定のパラダイムのなかで、一群の事実に上下関係と因果関係をもたせて、事実間の階層秩序を特定するもので、それは実験を基礎におく近代科学に立脚するもの…

『知の自由人たち』(閑人亭日録)

『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』を長歌とすれば短歌にあたる『知の自由人たち』NHKライブラリー1998年初版、前半を読んだ。「まえがき」から。 《 私はここ十数年、日本近代をエリートの側からのみ見るのではなく、社会的には敗者(典型的には”…

再読『内田魯庵山脈』十(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「33 『本屋風情」遺聞」を読んだ。 《 引用の後半は、魯庵の一出版人に示した誠実な対応といってもよい。これだけなら、別に珍しくもない、ありふれたことである。ところが、この記述が…

再読『内田魯庵山脈』九(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「30 広告の現在と近い未来」を読んだ。 《 魯庵が広告ならびに宣伝に並々ならぬ関心を抱いていたということはよく知られている。 》 468頁上段 《 魯庵は広い意味で文化史という言葉が使…

再読『内田魯庵山脈』八(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「III 魯庵のこだま」、「26 『バクダン』を読む──文化史家魯庵」を読んだ。 《 『バクダン』の題名については魯庵自身が凡例において、『獏の舌』に続いて刊行されたことを考慮にいれて…

再読『内田魯庵山脈』七(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「20 ハイブラウ魯庵の敗北──三田平凡寺」を読んだ。 《 この文章の中で、平凡寺は漱石、緑雨、鏡花、浪六、外骨、(青柳)有美、一茶、寒月などの皮肉について一言で定義しているが、「…

再読『内田魯庵山脈』六(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「II 魯庵の星座」、「18 地方を結ぶ「いもづる」ネットワーク」を読んだ。 《 この号の「趣味往来」にはにぎにぎしく同人の投書を掲載している。(中略) 二年や三年で趣味の真味が判つ…

再読『内田魯庵山脈』五(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「15 本と物への執着の話──沼波瓊音(ぬなみ けいおん)」を読んだ。 《 この文章で取り上げられているもう一方の人物岩本素白は、(中略)近世随筆文学の大家であるということは知ってい…

再読『内田魯庵山脈』四(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「12 労働運動と銀座・箱館屋の頃──横山源之助」「13 ヤマトノフになった日本人── 橘耕斎」「14 現代と背馳せよ──大槻磐渓・如電・文彦」を読んだ。 年明け最初の鑑賞は北一明の耀変油滴…

再読『内田魯庵山脈』三(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「9 江戸百科全書派の美校教授──竹内久一」を読んだ。「10 三村竹清の日記」を読んだ。 《 本章の記述はあくまでも魯庵の同時代を見る眼という視点、そして魯庵の眼の中に飛び込んできた…

再読『内田魯庵山脈』二(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版、「5 蒐集家の筆頭──林若樹」を読んだ。 《 ここで魯庵は(林)若樹を、柳田国男のように、金持ちの道楽息子が骨董品や書籍を土蔵に秘め匿し持って、ときどき取り出してひけらかすという…

再読『内田魯庵山脈』(閑人亭日録)

山口昌男『内田魯庵山脈 〈失われた日本人〉発掘』晶文社2001年初版の再読を始める。「あとがき」から。 《 魯庵がこれらの時代をそれぞれの主題に立ち向かいながら生き、しかもどの時代にも取り込まれることなく自己を実現していった様態を描きたいと思った…

『東方綺譚』(閑人亭日録)

マルグリット・ユルスナール『東方綺譚』白水社1980年初版を読んだ。奇譚という題名どおりの九篇の短篇からなる。酷薄なものが多い。必要なので読んだが、好みでは ない。帯には中村真一郎の推薦文。 《 『東方綺譚』はユルスナール女史の極めて才気に満ちた…

個展の打ち合わせ(閑人亭日録)

朝から外出。午後、近所のギャラリーVia701で白砂勝敏さんと友だちのデザイナーの三人で二月下旬の白砂勝敏展について打ち合わせ。夕食をはさんで話は続く。 午後七時半帰宅。ふう。けっこう疲れたと気づく。 ネット、うろうろ。 《 はんだ付けアートコンテ…

再読『「敗者」の精神史』八(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「14 幕臣の静岡──明治初頭の知的陰影」を読んだ。 《 敗者の身の処し方は勝者と異なって、自然・人間・文化に対して、もうひとつの視点を形づくっていくというところにあるはずであった。旧…

再読『「敗者」の精神史』七(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「12 「穢い絵」の問題──大正日本の周縁化された画家たち」を読んだ。 《 さて、一九九三年秋の京都では、もう一つの興味深い展覧会が行われていた。「京の美人画展」(京都文化博物館)がそ…

再読『「敗者」の精神史』六(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「11 小杉放庵のスポーツ・ネットワーク──大正日本における身体的知」を読んだ。 《 今日であれば不可能な幅の広さで、さまざまな人を結びつけた(小杉)未醒の能力は、未だに主義が人を分か…

再読『「敗者」の精神史』五(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「9 二つの自由大学運動と変り者の系譜」を読んだ。 《 車人形の伝承者の西川古柳の家と松井(翠次郎)宅は目鼻の先である。私は、西川師匠に松井についていろいろと語っていただいた。話は…

再読『「敗者」の精神史』四(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「5 敗者たちの生き方」を読んだ。 《 戊辰戦争で敗れた諸藩出身の人物が、藩閥、軍閥の階層秩序から排除されたことは良く知られている。例えば東条英機の父英教も岩手藩の出身であったため…

再読『「敗者」の精神史』三(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。昨日の「近代におけるカルチャー・センターの祖型──文化装置としての百貨店の発生(二)」の 補遺。 《 ただし、これまで読んですごいことが起こったと思ったまま、今日、パリに行ってデパー…

再読『「敗者」の精神史』二(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を進める。「1 明治モダニズム─文化装置としての百貨店の発生(一)」を読んだ。三井呉服店の経営改革。 《 さて、高橋義雄は、更に新しい呉服模様の開発を試みた。 》 20頁上段 《 高橋はまた、機構…

再読『「敗者」の精神史』一(閑人亭日録)

山口昌男『「敗者」の精神史』岩波書店1995年初版の再読を始める。先に「結びに替えて」を読む。その結び。 《 本書で説いて来たのは、日本の公的な世界の建設のかたわらに、公的世界のヒエラルキーを避けて、自発的な繋がりで、別の日本、もう一つの日本、…