『地に呪われたる者』四(閑人亭日録)

フランツ・ファノン『地に呪われたる者』みすず書房1969年初版(原書は1961年刊)、「四 民族文化について」を読んだ。《 今日われわれがこのように勝利を確信して抵抗することができるのは、これまでに多くの原住民が「もうたくさんだ」と叫んだからだ、多…

『つりたくにこ作品集 FLIGHT 』(閑人亭日録)

昼前、去年イタリアの出版社から出た故つりたくにこさんの漫画集『FLIGHT』が、ご主人から郵送されて届く。 https://www.fandangoeditore.it/shop/marchi-editoriali/coconino-press/coconino-gekiga/flight/ 早速開封。青林工藝舎から2010年に出た元本A5…

『地に呪われたる者』三(閑人亭日録)

フランツ・ファノン『地に呪われたる者』みすず書房1969年初版(原書は1961年刊)、「三 民族意識の悲運」を読んだ。《 民族意識は、民衆全体がその胸にふかく秘めた願望の整然たる結晶でもなく、民衆動員の生み出す最も具体的直接的成果でもなく、所詮は単…

『地に呪われたる者』二(閑人亭日録)

フランツ・ファノン『地に呪われたる者』みすず書房1969年初版(原書は1961年刊)、「二 自然発生の偉大と弱点」を読んだ。透徹した分析と展望。驚嘆。《 われわれは今、都市と地方ととの古典的対立の前に立たされているのではない。これは植民地主義の利益…

『地に呪われたる者』(閑人亭日録)

カミュ『ペスト』のオラン~アルジェリア関連でフランツ・ファノン『地に呪われたる者』みすず書房1969年初版(原書は1961年刊)を読み始める。新刊で購入。 半世紀後に読むとは。 ジャン=ポール・サルトルの激越な「序文」に息を呑む。じつに正鵠を射てい…

『ペスト』続き(閑人亭日録)

アルベール・カミュ『ペスト』1947年発表を読了。雨が止む。昨日と同じだが、それにしても、凄い。これが文学・・・。カミュ34歳。 舞台の港町オランは大衆音楽ライ RAI が誕生した都市。帝王シェブ・ハレド Cheb Khaled のデビューアルバム『Kutche』には…

『ペスト』(閑人亭日録)

志村けんの訃報に促されて『新潮世界文学 48巻 カミュ「ペスト」』新潮社1969年3刷を読み始める。舞台はフランスの植民地下にあったアルジェリアの地中海に面した 港町オラン。《 門番の死は、人をとまどいさせるような数々の兆候に満ちた一時期の終了と、そ…

『深沢幸雄 銅版画全作品集』(閑人亭日録)

26日のブログの余波だろう、降りしきる雨音を耳にしながら照明を点け、深沢幸雄氏の銅版画『愛憎』1960年を鑑賞。 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/211522 『愛憎』は拙ウェブサイトには上がっていない。 http://web.thn.jp/kbi/fuka.htm《 物質と…

絵具離れ、釉薬離れ(閑人亭日録)

ネットでNHKの朝の連続ドラマ『スカーレット』最終回が話題に。自宅にテレビはないので未視聴。女性陶芸家の草分けの奮闘記のようだ。《 「スカーレット」最終回 武志、26歳の誕生日を前に…ロス広がる「『幸せや』で涙が」 》 スポニチ https://headlines…

『日本における銅版画の「メティエ」』三(閑人亭日録)

大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第 III 章 自作について」を読んだ。 「第 IV 章 結論」を読んだ。《 著者のオリジナリティーを、上述した六〇年代以降の銅版画表現…

『日本における銅版画の「メティエ」』二(閑人亭日録)

大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第 II 章 作家研究 それぞれのメティエ」について」を読んだ。「一 作家研究 駒井哲郎」を読んだ。抜き書きするほどのことはない。…

『日本における銅版画の「メティエ」』(閑人亭日録)

大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第I章 日本の銅版画の「メティエ」 について」を読んだ。《 日本の銅版画の歴史は七〇年頃までは、確固たる裏付けのないまま、文字…

『勉強の哲学』二(閑人亭日録)

千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』文春文庫2020年初版、後半を読んだ。《 テクスト内在的に読書をするときに、大前提にあるのは、言葉を「文字通りに」捉えるという態度です。 》 「第四章 勉強を有限化する技術」 188頁《 プロの仕事に…

『勉強の哲学』(閑人亭日録)

千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』文春文庫2020年初版、前半を読んだ。《 環境の問題点を批判し、改善の努力をするにせよ、あるいは気持ちを切り替えて別の環境へ逃げてしまうにせよ、そうしたアクションは、環境と癒着してしまっている…

『 PERAS'APO DO I ELENI 』(閑人亭日録)

ギリシャのベテラン女性歌手エレーニ・ヴィターリ Eleni Vitali(1954年生)の去年の新譜CD『 PERAS'APO DO I ELENI 』を聴く。 https://www.youtube.com/watch?v=tPNRYj3et1s&list=PLceWVlguVHkLzbTmNPLCS3ZhAJZxJwiWS 私と同年(1950年生)のハリス・ア…

『ピカソは本当に偉いのか?』(閑人亭日録)

西岡文彦『ピカソは本当に偉いのか?』新潮新書2012年初版を読んだ。面白い、じつに面白い。平易で読みやすく、明快に語られるピカソおよび西洋美術史。一気読み。 大当たり。西岡文彦の著作は数冊読んだくらいだが、どれも簡明な言葉でズバリ要点、急所を言…

『真説じょんがら節』(閑人亭日録)

二枚組CD『真説じょんがら節 甦る津軽放浪芸の記憶』華宙舎/off note2019年を聴く。戦前戦後(1920 ~1940年代)の津軽民謡を収録。 http://metacompany.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1434 机上、床上に散らかった書類、手紙類を…

『現代芸術の地平』再読九(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「IV 3 不在性のドラマ──〈影のコーナー〉を見る──」を再読。《 磯崎の部屋が求心的であり、自己蚕食的であるとすれば、高松(次郎)の部屋は、遠心的であり、自己拡散であるといえよう。両者は、方向はことな…

『現代芸術の地平』再読八(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 10 あまりにも早きねむり──甲斐説宗追悼──」を再読。《 全く新しいようでいながら、どこかで深い記憶の底に触れてくる不思議な魅力に私はしだいに巻き込まれていった。 》 265頁 「III 11 コスモロジーを…

『現代芸術の地平』再読七(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 7 可能態の充実──観世寿夫追悼──」を再読。《 こうした表のの向き(肉眼)と内の向き(内なる眼)が二重化され、それに応じて演戯空間が二重化された場合には、観客の眼も二重化するという稀な体験が発…

『現代芸術の地平』再読六(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 5 建築と都市 磯崎新の建築的思考──」を再読。《 「空間は、それを構成するエレメントがつくりだすかたちではなくて、そこに人間が存在し、人間が空間を体験したときにはじめて感知できるのである」とい…

『現代芸術の地平』再読五(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 1 現代芸術の境位」を再読。《 十九世紀後半から二十世紀にかけて、芸術創造の過程自体が自覚化されるなかで、自分の創造過程にたいする方法的反省と自分の作品にたいする自己批評は、芸術家に とって不…

『現代芸術の地平』再読四(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「II 2 感性の拡大のために──感覚についての二章」を再読。《 それにたいして後期印象派は、ものの固有色を否定することによって、感覚の非有縁化への一歩をふみだした。ものの見え方は光の加減によってかわ…

『現代芸術の地平』再読三(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「II 1 芸術が開く世界」を再読。《 いずれの場合にもわれわれの心が渇くのは、われわれが具体的な生の一部をしか捉えていないからであり、それをひそかに予感しているからである。そして意識された 生が具体…

『現代芸術の地平』再読二(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「I 3 『エウパリノス』について」を再読。《 ヴァレリーの『エウパリノス』の舞台は、黄泉の国の、亡霊さえも訪れることの稀な辺境である。ほかの霊からもほど遠く、時の河が流れるこの国の果てに隠棲した …

『現代芸術の地平』再読(閑人亭日録)

市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版を少し再読。しょっぱなから効く文章。「I1 線についての考察」冒頭。《 空白に引かれた一本の線ほどおどろくべきものがあるだろうか? それはどのような出来事にもまして根源的な出来事であり、世界の誕生を──…

『現代美術史』三(閑人亭日録)

山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版、「第三章 ひしめき合う前衛芸術──一九六〇年代~八〇年代」を読んだ。 数多くの前衛芸術活動家群像。私にはその多くが自意識過剰の目立ちたがり屋たちの行動=お祭り騒ぎ…

『現代美術史』二(閑人亭日録)

山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版、「第一章 拡大された芸術の概念 一九六〇年代~八〇年代」を読んだ。 ランド・アート、コンセプチュアル・アート、パブリック・アート、ハプニング、フルクサスといった運…

『現代美術史』(閑人亭日録)

山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版を少し読む。平明な文章に内容豊富というか山盛り。《 一方で、柳(宗悦)の思想に潜むオリエンタリズムへの批判も提出されています。 》 「序章 前史──社会的芸術運動の萌…

『地球★爆』展図録(閑人亭日録)

来月アイルランドでの個展が控えている大坪美穂さんから愛知県美術館で昨年催された展覧会『地球★爆』展の図録を恵まれる。凝ったつくりの本だ。 https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000083.html https://www.outermosterm.com/aichi-prefectural…