2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧
アルベール・カミュ『ペスト』1947年発表を読了。雨が止む。昨日と同じだが、それにしても、凄い。これが文学・・・。カミュ34歳。 舞台の港町オランは大衆音楽ライ RAI が誕生した都市。帝王シェブ・ハレド Cheb Khaled のデビューアルバム『Kutche』には…
志村けんの訃報に促されて『新潮世界文学 48巻 カミュ「ペスト」』新潮社1969年3刷を読み始める。舞台はフランスの植民地下にあったアルジェリアの地中海に面した 港町オラン。《 門番の死は、人をとまどいさせるような数々の兆候に満ちた一時期の終了と、そ…
26日のブログの余波だろう、降りしきる雨音を耳にしながら照明を点け、深沢幸雄氏の銅版画『愛憎』1960年を鑑賞。 https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/211522 『愛憎』は拙ウェブサイトには上がっていない。 http://web.thn.jp/kbi/fuka.htm《 物質と…
ネットでNHKの朝の連続ドラマ『スカーレット』最終回が話題に。自宅にテレビはないので未視聴。女性陶芸家の草分けの奮闘記のようだ。《 「スカーレット」最終回 武志、26歳の誕生日を前に…ロス広がる「『幸せや』で涙が」 》 スポニチ https://headlines…
大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第 III 章 自作について」を読んだ。 「第 IV 章 結論」を読んだ。《 著者のオリジナリティーを、上述した六〇年代以降の銅版画表現…
大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第 II 章 作家研究 それぞれのメティエ」について」を読んだ。「一 作家研究 駒井哲郎」を読んだ。抜き書きするほどのことはない。…
大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」──1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察』水声社2019年初版、「第I章 日本の銅版画の「メティエ」 について」を読んだ。《 日本の銅版画の歴史は七〇年頃までは、確固たる裏付けのないまま、文字…
千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』文春文庫2020年初版、後半を読んだ。《 テクスト内在的に読書をするときに、大前提にあるのは、言葉を「文字通りに」捉えるという態度です。 》 「第四章 勉強を有限化する技術」 188頁《 プロの仕事に…
千葉雅也『勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版』文春文庫2020年初版、前半を読んだ。《 環境の問題点を批判し、改善の努力をするにせよ、あるいは気持ちを切り替えて別の環境へ逃げてしまうにせよ、そうしたアクションは、環境と癒着してしまっている…
ギリシャのベテラン女性歌手エレーニ・ヴィターリ Eleni Vitali(1954年生)の去年の新譜CD『 PERAS'APO DO I ELENI 』を聴く。 https://www.youtube.com/watch?v=tPNRYj3et1s&list=PLceWVlguVHkLzbTmNPLCS3ZhAJZxJwiWS 私と同年(1950年生)のハリス・ア…
西岡文彦『ピカソは本当に偉いのか?』新潮新書2012年初版を読んだ。面白い、じつに面白い。平易で読みやすく、明快に語られるピカソおよび西洋美術史。一気読み。 大当たり。西岡文彦の著作は数冊読んだくらいだが、どれも簡明な言葉でズバリ要点、急所を言…
二枚組CD『真説じょんがら節 甦る津軽放浪芸の記憶』華宙舎/off note2019年を聴く。戦前戦後(1920 ~1940年代)の津軽民謡を収録。 http://metacompany.jp/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=1434 机上、床上に散らかった書類、手紙類を…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「IV 3 不在性のドラマ──〈影のコーナー〉を見る──」を再読。《 磯崎の部屋が求心的であり、自己蚕食的であるとすれば、高松(次郎)の部屋は、遠心的であり、自己拡散であるといえよう。両者は、方向はことな…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 10 あまりにも早きねむり──甲斐説宗追悼──」を再読。《 全く新しいようでいながら、どこかで深い記憶の底に触れてくる不思議な魅力に私はしだいに巻き込まれていった。 》 265頁 「III 11 コスモロジーを…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 7 可能態の充実──観世寿夫追悼──」を再読。《 こうした表のの向き(肉眼)と内の向き(内なる眼)が二重化され、それに応じて演戯空間が二重化された場合には、観客の眼も二重化するという稀な体験が発…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 5 建築と都市 磯崎新の建築的思考──」を再読。《 「空間は、それを構成するエレメントがつくりだすかたちではなくて、そこに人間が存在し、人間が空間を体験したときにはじめて感知できるのである」とい…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「III 1 現代芸術の境位」を再読。《 十九世紀後半から二十世紀にかけて、芸術創造の過程自体が自覚化されるなかで、自分の創造過程にたいする方法的反省と自分の作品にたいする自己批評は、芸術家に とって不…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「II 2 感性の拡大のために──感覚についての二章」を再読。《 それにたいして後期印象派は、ものの固有色を否定することによって、感覚の非有縁化への一歩をふみだした。ものの見え方は光の加減によってかわ…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「II 1 芸術が開く世界」を再読。《 いずれの場合にもわれわれの心が渇くのは、われわれが具体的な生の一部をしか捉えていないからであり、それをひそかに予感しているからである。そして意識された 生が具体…
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版、「I 3 『エウパリノス』について」を再読。《 ヴァレリーの『エウパリノス』の舞台は、黄泉の国の、亡霊さえも訪れることの稀な辺境である。ほかの霊からもほど遠く、時の河が流れるこの国の果てに隠棲した …
市川浩『現代芸術の地平』岩波書店1985年初版を少し再読。しょっぱなから効く文章。「I1 線についての考察」冒頭。《 空白に引かれた一本の線ほどおどろくべきものがあるだろうか? それはどのような出来事にもまして根源的な出来事であり、世界の誕生を──…
山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版、「第三章 ひしめき合う前衛芸術──一九六〇年代~八〇年代」を読んだ。 数多くの前衛芸術活動家群像。私にはその多くが自意識過剰の目立ちたがり屋たちの行動=お祭り騒ぎ…
山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版、「第一章 拡大された芸術の概念 一九六〇年代~八〇年代」を読んだ。 ランド・アート、コンセプチュアル・アート、パブリック・アート、ハプニング、フルクサスといった運…
山本浩貴『現代美術史』副題「欧米、日本、トランスナショナル」中公新書2019年初版を少し読む。平明な文章に内容豊富というか山盛り。《 一方で、柳(宗悦)の思想に潜むオリエンタリズムへの批判も提出されています。 》 「序章 前史──社会的芸術運動の萌…
来月アイルランドでの個展が控えている大坪美穂さんから愛知県美術館で昨年催された展覧会『地球★爆』展の図録を恵まれる。凝ったつくりの本だ。 https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000083.html https://www.outermosterm.com/aichi-prefectural…
知人から贈られた演劇、映画の紙モノに混ざって雑誌『太陽』平凡社が二冊。その一冊1973年10月号、特集「西行 漂泊の生涯」の冒頭は野坂昭如「西行のうしろ姿」。 なかなか深い読みで、感心。いや、私のそれまでの西行像がいかに浅かったかを思い知った。本…
辻まこと『虫類図譜(全)』ちくま文庫1996年初版を開く。右頁が文。左頁が彼の描いた線描画。世論、防衛、ドライ、民族、モック・スナカワ、愛国心、幸福と続き、 神、意思、P・R、衝動、契約で終わる。そして拾遺がある。「愛国心」全文。《 悪質きわま…
中井英夫『真珠母の匣』平凡社1978年初版を再読。この歳になって初老の三姉妹の物語を読むと、女性の心理の綾が流麗な文章に乗り、ふっと惹き込まれてしまう。 三姉妹の恋の予兆。はらはらする展開。見事な着地。堪能。《 キューケンホフのチューリップ公園…
昨日の中井英夫「邪眼」の流れで、「とらんぷ譚」四部作の第四部『真珠母の匣』平凡社1978年初版を開く。『週刊読書人』の切り抜きだろう紙片が挟まっている。 その時評から。《 前月の「SF時評」で「作りすぎ」と評した「光のアダム」とは逆に生々しいリ…
知人女性から贈られた紙ものには月刊雑誌『太陽』平凡社が二冊。その一冊1971年6月号は「特集 永井荷風」。踊り子たちに囲まれてにんまりした写真が冒頭を飾る。 ページをパラパラとめくって巻末の「編集室」を見ると、連載の中井英夫『幻想博物館』が最終回…