2018-12-01から1ヶ月間の記事一覧

平成大つごもり

午前8時0.0℃。寒い〜わ。東京新聞に「明治ハイカラ」「大正モダン」「昭和元禄」に続いて平成は?とある。私的には「平成低迷」。来年は停滞か不時着か、いや、 起死回生か。そうありたい。身の回りでは来年、新しい事業がいくつか始動する。来年は反転、展…

四十七回忌

グレアム・ハーマン『四方対象──オブジェクト指向存在論入門』人文書院2017年初版を少し再読。こんなに付箋を貼ったのか。それにしては……憶えていない。 だから再読が必要、私には、全く。 お掃除したり、買い物に出かけたり、お見舞いに行ったり。近場を移…

『二十一歳 白と黒のうた』

東君平『二十一歳 白と黒のうた』サンリオは、三種類の本をもっている。1975年に出た二つの初版と没後の1990年に出た新装版の三冊。初版のカバー(ジャケット) がなぜ二つあるのかわからない。カバー以外に違いはない。装幀はどちらも本信公久。セピア色の…

『100杯目の水割り』

東君平『100杯目の水割り』講談社文庫1979年初版を再読。仕事などで出会った人たちの肖像スケッチ集。いつ読んだか忘れたが、再読してさらに興趣が湧く。 三島由紀夫、檀一雄、水上勉ら文人、写真家の土門拳、画家の谷内六郎、平賀敬から無名の人たち。短…

東君平『新宿』

高知県香美(かみ)市立やなせたかし記念館から『やなせたかし記念館NEWS』81号が届く。巻末の「東君平とやなせたかし」仙波美由記が読ませる。 副題「その生い立ちと才能を認めた人々との出会い」。一読、胸熱。東君平(ひがし・くんぺい):1940年生 -…

『洲崎パラダイス』『洲崎の女』

芝木好子『洲崎パラダイス』1954年を『日本文学100年の名作 第5巻 1954-1963 百万円煎餅』新潮文庫2015年で読んだ。川本三郎の解説から。 《 表題の「洲崎パラダイス」とは、戦後東京都江東区の海岸寄りにあった赤線地帯のこと(戦前は遊郭があった)。 》 …

『その木戸を通って』

昨夜はこの二曲、甲斐バンド『かりそめのスウィング』と浅川マキ『前科者のクリスマス』を聴く。右手にはお酒が少し。この何年か♪ジングルベル♪を 街中で耳にしたことがない。時代は代わってゆく。来年はどうなっていくか。いいここともあれば良くないことも…

「モダニズムの再検討 フリー・ディスカッション」

「モダニズムの再検討」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)、浅田彰、岡崎乾二郎ら五人による討論会の「セッション2 フリー・ディスカッション」を読んだ。 《 浅田 いままでの議論を受けてもう一度整理しておきましょう。シンギュラーな作品が純粋意識…

「モダニズムの再検討 プレゼンテーション」

「モダニズムの再検討」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)、浅田彰、岡崎乾二郎ら五人による討論会の「セッション1 プレゼンテーション」を読んだ。 《 岡崎 この特集を企画するにあたって、だいたい二つの軸を立てられると思ったのです。まず縦軸とし…

「種子法廃止を問い直す」

東京新聞朝刊、「種子法廃止を問い直す」を読む。 《 飯尾歩論説委員 「国産」の牙城を崩すためには、種子法という外堀と種苗法という内堀が邪魔だった。 山田正彦元農相 (種子法で守られてきた)コメも大豆も種の自家採種を禁止して、遺伝子組み換え技術で…

「美術史の曖昧な対象」

田中純「美術史の曖昧な対象 衰退期(デカダンス)について」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。これまたじつに魅力的(刺激的)な論考だ。 《 〈様式〉の発展とは知覚形式の変化であり、そこには事後的に確認できる到達点はあっても、たどり着…

「美術館のなかのひとつの場所」

松浦寿夫「美術館のなかのひとつの場所」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。蒙を啓かれる思い。昨日に続いて目の醒めるような論述だ。 てことは、私の思慮、思考が浅いってことの証左でもあるな。 《 ところで、前衛主義的な心性が、新しさとい…

「経験の条件」

岡崎乾一郎「経験の条件」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。目から鱗の論述。その冒頭。 《 周知の通り、晩年のマチスは南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂の設計と制作に没頭している。マチス自身が彼の仕事の到達点として述べる、礼拝堂の構成の…

「モダニズム以後」

「モダニズム以後 ジョゼフ・コスースに聞く」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。聞き手は浅田彰。1994年7月21日。 《 浅田 批評家は芸術家が理論家になるのを恐れるのです。芸術家はもの言わぬ野獣であるべきで、そうすれば批評家はそれについ…

「視覚的無意識」

ロザリンド・クラウス「視覚的無意識」」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。ここで言及されているバタイユの小説『眼球譚』は角川文庫1976年初版で 読んでいたが、ダリの絵画『痛ましい遊戯(ゲーム)』、ジャコメッティの立体作品『吊るされた…

特集「危険な読書」

昨朝は小雨が気になったが、「小雨決行」なので自転車で灰塚川へ突っ走った。着く頃には止んでやれやれだったけれど、今朝はまた降りそうな曇り空。あれ、雨。 この数日俄雨に祟られている。洗濯物は二日がかりでやっと乾く。ここだけ雪国か。しかし、雪は降…

「ディスカッション ミニマリズムとポップ以降の美術論」

「ディスカッション ミニマリズムとポップ以降の美術論」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。 《 マイケル・フリード たとえばラウシェンバーグのようなアーティストを、多くの見識ある人たちが世界史的な存在だと評価していることに、正直いっ…

「ミニマリズムとポップ以降の美術論」

『批評空間』1995年臨時増刊号、「ミニマリズムとポップ以降の美術論」に収録された三篇、マイケル・フリード、ロザリンド・クラウスそしてベンジャミン・ブクロー を読んだ。ベンジャミン・ブクローの1987年の文が最も現在につながると感じた。 《 さて、歴…

「モダニズムに関する論議」

T・J・クラーク「モダニズムに関する論議 マイケル・フリードに答える」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。昨日の批判への反論。冒頭。 《 マイケル・フリードが主として攻撃の対象に選んだ私の論文の命題──すなわちモダニズムにはそれだけで…

「モダニズムはいかに作動するか」

マイケル・フリード「モダニズムはいかに作動するか」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。昨日のT・J・クラーク「クレメント・グリーンバーグの 芸術理論」への批判。冒頭。 《 T・J・クラークの挑発的な論文「クレメント・グリーンバーグの…

「クレメント・グリーンバーグの芸術理論」

T・J・クラーク「クレメント・グリーンバーグの芸術理論」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。これまた一読では理解が進まない。三読してやっと わかりかけた。なんという凡人。興味を惹かれた箇所をいくつか。 《 グリンバーグがいうには、「…

『小原古邨木版画集』

阿部出版から新刊の『小原古邨木版画集』を恵まれる。数点の作品を提供。2007年に出た季刊『版画芸術』135号阿部出版、特集「知られざる木版画絵師」に提供した 木版画のうちの二点、「柿に烏」「夜桜に烏」が未掲載 http://web.thn.jp/kbi/koson.htm《 つま…

頭を空っぽに

朝、白砂勝敏さんからメール。板に描いた新作の写真を添えて感想を求められる。返事のメール。 《 白砂さま 新作拝見。 ブロックの流れですね。 この色彩の組み合わせは、 やはり独特ですね。 専門画家は試みないでしょう。 なぜなら彼らは斬新さ、新鮮さを…

『召集令状』

太平洋戦争開戦日。小松左京『召集令状』角川文庫1995年初版から表題作「召集令状」(1964年発表)と「戦争はなかった」(1968年発表)を読んだ。 じつにリアルなホラー小説ともブラック・コメディとも読める。「あとがき」から。 《 当時の文壇では歴史的if…

そのものの先へ

油絵の具はものの質感(再現性)を出すのに適している。ならば絵の具でセメントの質感を出そうとするならば、セメントを塗り重ねたほうがいいだろう。 白砂勝敏さんの作品を思ってそんなことが浮かんだ。物質のもつ特質、本質的な特徴を絵の具で仮想現実的に…

昨夕、視察した甘楽町(かんらまち)の職員から近くにある「こんにゃくパーク」を勧められる。午後五時すぎたから空いている、と。行ってみた。 こんにゃく商品製造工場を見学してお土産を買うというよくある工場見学テーマパークだ。こんにゃく尽くし。一品…

「芸術と客体性」

マイケル・フリード「芸術と客体性」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。一読しただけでは理解が届かない、私には。【注】4が一昨日のクレメント・ グリーンバーグ「抽象表現主義以後」に言及しているのでそこを少し。 《 それが主張しようとし…

『わけもなくさみしかったら』

未亡人から絵葉書が届く。 《 お元気ですか? 私は、なんだか、ちょっぴり さみしい年末です。 》 積読本の上にあった寺山修司詩集『わけもなくさみしかったら』サンりオ1976年初版を読む。『「幸福論」がむずかしすぎたら』全編。 《 幸福を買いにゆくのに …

「抽象表現主義以後」

クレメント・グリーンバーグ「抽象表現主義以後」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。 《 私の見たところでは、(バーネット・)ニューマン、(マーク・)ロスコ、(クリフォード・)スティールは、モダニズムの絵画の自己-批判をその元来の方向…

「モダニズムの絵画」

クレメント・グリーンバーグ「モダニズムの絵画」(『批評空間』1995年臨時増刊号収録)を読んだ。 《 モダニズムは、単に芸術と文学だけでなくそれ以上のものを含んでいる。今のところそれは、我々の文化において本当に活きているもののほとんど全てを含ん…