2009-01-01から1年間の記事一覧

大晦日

今年最後の読書は奥泉光「葦と百合」集英社1991年初版。昨日前半を読んだ。きょうか来年(明日だ)には読了するだろう。年をまたいで読むのもいいなあ。発売当時、魔術的リアリズムなんて評された記憶がある。たしかにその気配。何よりも嬉しいのは、シリア…

残り二日どこ行く?

きょうも入れて今年はあと二日。計画は、どこのブックオフ、古本屋へ行こうか。なんか他にすることないのか、とどやされそう。午後一時前、美術館へ来る途上で、沼津市から自転車で向かってきた知人にすれ違った。三島田町駅そばのレストラン、ソウルノート…

12月28日(月) 休館日

昨日の静岡新聞読書欄、今年のアートの本三冊は椹木野衣(さわらぎ・のい)が以下を選定。 谷川渥「シュルレアリスムのアメリカ」みすず書房 5040円 遠藤寛子、内田静枝監修「少女の友 創刊100周年記念号」実業之日本社 3990円 毛利嘉孝「ストリートの思想」…

本年最終日

きょうで美術館最終日。坪内祐三「新書百冊」新潮新書2003年を読んだ。以下メモ。≪素晴らしくドライブ感のある文章だ。碩学だからこそ描ける一筆書き。≫14頁≪やはり、優れた本は再読がきくし、本を読むには年齢も必要だ。≫20頁≪今の私は「人生九十年」計画で…

ゴミ出し

不要物をゴミ出し。瀬戸山玄(ふかし)「東京ゴミ袋」ちくま文庫2004年を読んだ。異臭を放っているゴミ(新鮮なゴミもあるけど)を、鋭い観察眼と軽快な文章が、魅力的な素材に変化させている。私もゴミ漁りをしようか、という気にさせる。路上観察とはまた…

運動終了

佐々木丸美復刊運動が終了。運動主宰者たちが味戸さんの絵を見に来館されたこともあった。有終の美。感慨深い。K美術館に有終の美はあるか?ワカラナイ。まあ、資金が底をつくまで続けるつもり(って、まだカネあるの?)。 小岸昭「スペインを追われたユダ…

空白の展示室

ミステリ作家多島斗志之が失踪。絵を取り払った空白の展示室が痛々しく空疎に感じられる。 平成二十一年も暮れゆく……。きょうが五十九歳の誕生日の知人がいる。彼我の足跡を思う。ビンボーな時、高度成長の時、オイル・ショックの時、ジャパン・アズ・ナンバ…

展覧会最終日

昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」新潮社2008年初版帯付、吉田音「世界でいちばん幸せな屋上」ちくま文庫2006年初版、計210円。 一昨日ふれたヤスミン・レヴィYasmin Levyの新作CD「SENTIR」2009年…

霜柱

途上の畑は一面霜柱。ガッサガッサと踏みたくなるのをおさえて美術館へ。昨夜はいただいた柚子三コをお風呂へ入れる。効くのかわからないけど、無病息災までは望まぬが一病息災を願って。回覧しているブログでは今年、癌、透析などやっかいな病気に罹患した…

12月21日(月) 休館日

都筑道夫「蜃気楼博士」ソノラマ文庫1975年初刊を読む。≪手足を厳重にしばられ、密室にとじこめられた上、外からは見はられている男が、はるかはなれた場所での殺人を予告した。そしてその予告は実行された。その男は霊の仕わざだというのだ。そんなバカなこ…

冬至

冬至。寒い。イスラエルのセファルディの歌手Yasmin Levyヤスミン・レヴィ の歌を聴いて小岸昭「スペインを追われたユダヤ人」ちくま文庫1996年初刊を読み始める。知らなかった、驚き、の連続。 きょうも来館者は、展示作品の丁寧な描写技法に驚きを隠さない…

アナログはいい

昨晩、グラウンドワーク三島の忘年会で初めて同席された方がオーディオマニアで、ネットで中古の、というよりも往年の、と書くべきだろうオーディオ銘器を購入しているとのこと。サンスイのアンプや三菱のスピーカーなど、若い頃聞き知っていた製品だ。その…

地震は続くよ

昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で単行本を四冊。浅田次郎「壬生義士伝(上・下)」文藝春秋2000年初版帯付、斎藤純「銀輪の覇者」早川書房2004年2刷、東野圭吾「流星の絆」講談社2008年3刷帯付、計420円。 昨夜、また揺れたのでテレビをつけて九時のNH…

地震地震地震

昨夕から伊豆半島東沖で連続地震。今のところ本の山は崩れていない。やれやれ。それにしてもきょうは風強く寒い。昨日の西東三鬼の句に呼応して塚本邦雄が創った短歌。 高度千メートルの空より来て卵食ひをり鋼色の飛行士 昨日の水尾比呂志「美の終末」は、…

冬天

せいせいと晴れた冬天。西東三鬼の句だったか。 冬天を降り来て鉄の椅子にあり 水尾比呂志「美の終末」から。≪人間は、美しいものの前に立ったときは、極めて単純な嘆声をしか発し得ないものである。感性は、私たちにそういう嘆声を発させることで、眼前のも…

いかにも冬空

初冬だ。曇天の寒空。「吉田一穂大系 第三巻」にも収録されているが、季刊「おべりすく」2号「吉田一穂童話特集」1974年にも採録されている「わが絵本考」から。≪童画とてその芸術性に於ては、美術一般の原則と反する何等の特例はない。絵とは何か、と画家…

12月14日(月) 休館日

舟橋聖一「好きな女の胸飾り」講談社1967年初版を再読。これは面白い。何年か前に再読したけれど、今回その本質をやっと把握できたような。人妻をめぐるその夫と年下の男友だちの危険な関係。これはロマネスク小説の傑作ではなかろうか。みごとだ。≪あのとき…

三人展初日

58点の展示先品が充実しているので、24日(木)まで延長することに決定。知り合いの画家たちが来館。みなさん、驚いていらっしゃる。よしよし。 ネット注文した「世界文学大系 76 リチャードソン スターン」筑摩書房1966年初版函栞付が届く。1000円也…

展示替え

展示替え。予定数を大幅に超えて58点の展示に。たまたま来館した画家は感心、知人の画家に見に来るように電話。素人でもここまで描けるという好例。私も満足。 昼過ぎの二時間、源兵衛川の月例清掃へ。八人参加。

企画展最終日

雨上がりの富士山は真っ白。陽気は冬を通り越して早春の気配。11月24日に≪「懐かしい」は日本独特の表現だ。≫ と書いたが、柴田元幸「愛の見切り発車」新潮文庫2000年にも書かれていた。小説家スチュアート・ダイベックの話。≪「日本人の友だちから聞い…

新方言

雨。冬の雨はなんとも寒々しい。風も出てきた。体の芯から温めたいけど、懐はサブイし、なあ。いわゆる「新方言」というものが某サイトに紹介されていた。以下その一部。 絆創膏 or バンドエイド or リバテープ or サビオ or カットバン or キズバン 藁半紙 …

翻訳詩

6日にカワセミの出てくる詩を話題にし、昨日はカワセミを見たので、T・S・エリオット「世界の詩 43 エリオット詩集」彌生書房1967年初刊1973年4刷を開く。鍵谷幸信訳の詩「バーント・ノートン」の「IV 」にその詩句はある。≪翡翠の翼が光と交感し合うと/…

三行で十分

午前中、友だちに頼まれて、友だちの運転で東京からの客人を清住緑地〜源兵衛川などを案内。清住緑地ではカワセミが10メートルほど先の水面に伸びている小枝から1メートルほど下の水に数回飛び込んで小魚を採っていた。 安岡章太郎「幕が下りてから」講談…

賓館

昨日の購入本。三木笙子「人魚は空に還る」東京創元社2008年初版帯付、森敦「マンダラ紀行」筑摩書房1986年初版帯付、柳広司「ジョーカー・ゲーム」角川書店2008年9刷、ジャック・フィニイ「時の旅人」角川書店1996年初版帯付、イアン・ランキン「黒と青」ハ…

休館日

ブックオフ三島徳倉店で105円本を1260円も買う。この前は坊主だったけど。これで満足。巣ごもり状態。

まれに見る濃霧

今朝はまれに見る濃霧。ここ三十年見たことのない、遠い昔の記憶以来の濃霧。霧が好き。特に高原の霧が好き。若い頃高原へ行ったのは霧にまかれるため。高校二年の夏、長野県の霧ヶ峰高原でキャンプしたときは、雨が降ろうがワクワクしっぱなしだった。今朝…

孤絶の立脚者

吉田一穂だ。手強い詩人、それが吉田一穂。最初の衝撃が加藤郁乎(いくや)の俳句と詩だったから、吉田一穂の詩作品は、松岡正剛が「千夜千冊」で取り上げている「吉田一穂大系」仮面社1970年を出版当時に購入。その当時の加藤氏との思い出は省略。松岡は書い…

詩的大往生

昨日引用した短歌の篠田一士の鑑賞。 黒き檜(ひ)の沈静にして現(うつ)しけき、花をさまりて後(のち)にこそ観め≪光と影のめくるめくような交叉、それに音楽の緩急のめざましさとが両々相まち、その間おのずから、静動両面の心のありかが読むものの裡に躍如と…

花をさまりて

そぼ降る雨なのでバスに乗る。北原白秋の名詩「落葉松」の「七」の気分。《からまつの雨は/さびしけどいよいよしづけし。/かんこ鳥鳴けるのみなる。/からまつの濡るるのみなる》 書き忘れたけど、昨日は北原白秋の命日。1942(昭和17)年12月2日没。北原…

思想がない?

ブックオフ長泉店で「私の履歴書──第三の新人」日経ビジネス人文庫2007年初版、105円。安岡章太郎、阿川弘之、庄野潤三、遠藤周作の四人が執筆。阿川の履歴書から。《私の東大国文科入学は、昭和十五年四月、入学試験はあったけれど、無きにひとしかった。/…