2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

絵のある人生

4月3日(火)休館します 嵐のお昼。それでもお客さんは車で来る。ありがたい。 安野光雅『絵のある人生 ─見る楽しみ、描く喜び─』岩波新書2003年を読んだ。首肯できる箇所から。《 国策として科学的発見を願う時代に、「美」などは迂遠なことのように思われ…

星と月は天の穴

4月3日(火)休館します 吉行淳之介『星と月は天の穴』講談社1970年新装初版を読んだ。四十歳、離婚歴のある独身小説家の前に現れた女子大生との「情事」から引き起こされる日常の波紋。情事なのだ。セックスではない。情事。場面は胸の愛撫の描写だけ。帯の…

おもたせ暦(ごよみ)

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。安野光雅『絵のある人生 ─見る楽しみ、描く喜び─』岩波新書2003年初版、平松洋子『おもたせ暦』新潮文庫2010年初版、計210円。後者は友だちの探求依頼本。手渡す前に読んでみた。 「おもたせ」という言葉を知らなかっ…

書感・リセット・続き

書評という言葉にたいして書感という言葉を知る。徒然なるままに拙文を上げているのは、まさしく書感だ。 北村薫『リセット』、「第二部」は、子ども時代に重なって、思い出が鮮やかに蘇った。《 外に出ると銀玉鉄砲。粘土を固めた銀色の玉が飛び出す。これ…

リセット

北村薫『リセット』新潮社2001年初版を読んだ。『スキップ』『ターン』に続く時間と人を巡る三部作の第三作目。『スキップ』は二十五年後へのタイムスリップ、『ターン』は臨死体験(並行世界)そして『リセット』は輪廻転生がテーマ。 戦時中、昭和三十年代…

休館日

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で三冊。ジョン・デジクスン・カー『死が二人をわかつまで』国書刊行会1996年2 刷帯付、佐藤泰志『移動動物園』小学館文庫2011年初版、別役実『淋しいおさかな』PHP文庫2006年初版、計315円。『移動動物園』の解説で岡崎武…

ターン

昨夜は白砂勝敏氏の車に同乗、富士市のカ−ポス工作所の「それぞれの書架」展の集まりへ初参加。ユニークな展示品を鑑賞し、歓談。帰宅は午前様。 朝、石巻から来た人たち(子ども多数)を源兵衛川へ案内。途中、伊豆箱根鉄道駿豆線際では電車の写真を撮る撮…

スキップ

昨日の雨が上がって、春の陽気。遠方の友だちの誕生日なのでメールする。すぐに返事。《 ありがとうございます。今 娘の結婚式 式場に 向かうタクシーの中です 》 なんと目出度い。結婚式というと、東野圭吾の『秘密』を思い浮かべる。泣かせる話だ。昨晩は…

坂田明/オカン・アート

毎日新聞昨夕刊、川崎浩「POPS こぼれっ話」は「今時のフリージャズ 過激続けて、坂田明」。アルトサックス奏者、67歳。《 徹底して、「フリー」を吹きまくったアルバム「ちからもち 空を飛ぶ!」(キング)を発表し、度肝を抜かれた。》 《 フリージャ…

ダニエル・ダックス

一昨日、椹木野衣氏がツイッターでダニエル・ダックスに触れていた。美貌の女性マルチプレイヤー、ダニエル・ダックス DANIELLE DAX の日本デビュー盤の二枚組LPアルバム『Up Amongst The Golden Spires 』1986年を久しぶりに聴いた。帯文から。《 イギリ…

東京暮らし

気温は先月並みだけれど、陽射しが日増しに強くなって、コートが重く感じる。でも、まだ手放せない。手放していいのは古本。だけど、不要本はまだ両手で足りる。美術館へ泡坂妻夫『奇術探偵 曽我佳城全集』講談社2000年2刷を持ってくる。贈呈用。 昨夕帰りが…

春分の日

昨日はブックオフ沼津南店で二冊。矢崎存美『キッチンぶたぶた』光文社文庫2010年初版、矢作俊彦『ロング・グッドバイ THE WRONG GOOD BYE 』角川文庫2007年初版、計210円。 早朝五時過ぎ、キィー、ドカン。追突だ。窓を開けると、30メートルほど先、広小路…

休館日

移転したテケテケを自転車で訪問。新鮮な店内。いい雰囲気。午後はのんびり。

日本文学史早わかり・続き

丸谷才一『日本文学史早わかり』の結びの部分。《 実を言ふと、江戸がどれほど贅沢な時代だつたか、われわれにはまだよく判つてゐないのである。》《 ただ、問題なのは、七部集時代以後に突入するとき、西洋十九世紀の刺戟があまりに強かつたため、徳川時代…

日本文学史早わかり

雨なのでバス。 丸谷才一『日本文学史早わかり』講談社1978年初刊1996年3刷を読みなおした。《 かう見て来れば、勅撰和歌集といふ企てを成立させる要因のうち、最も重要な二つのものが取出されたことにならう。すなはち、一方では君主に詩への関心を求める………

読みなおし日本文学史

高橋睦郎『読みなおし日本文学史』岩波新書1998年初版を読んだ。《 わが国の平安時代は女流文学の時代といわれる。しかし、女流文学をになった女性たちの実名は紫式部をはじめ、ほとんどが不明のままだ。女流ばかりではない。あきらかに男性と思われる『竹取…

白砂勝敏展初日

今回は、平面(床)展示から立ち上がって立体展示になった。変化は一目瞭然。深く彫琢された椅子は、昨日早々と来館された方が述べたように、彫刻オブジェの風貌が明確に現れた。台座に設置されることで、有用の椅子という眼の桎梏から解放されて、木彫作品…

だましてください言葉やさしく

昨夕帰りがけに二冊。川瀬七緒『よろずのことに気をつけよ』講談社2011年初版帯付、永瀬清子詞歌集『だましてください言葉やさしく』童話屋2008年初版帯付、計210円。 永瀬清子『だましてください 言葉やさしく』童話屋をさっそく読んだ。平伏。目から鱗が落…

展示替え・搬入

昨夕の雨でチリが流れたせいか、今朝は清々しい光。水がきらめくような。白砂勝敏「天然石アクセサリー展」の搬入。 昨日買った『目で見る日本名歌の旅』文春文庫、塚本邦雄「水」が読ませる。《 清く澄む水の心のむなしさにさればとやどる月のかげかな 》 …

休館日

昨日の午後二時四十六分。《 たぶん、今世紀になって、もっとも静かな一分間だったのかもしれない。》 画廊へ行ったり、ブックオフ長泉店へ行ったり、美術館で片付けをしたり……のんびりとした休日。銀座百点・編『銀座24の物語』文春文庫2004年初版、山本…

味戸ケイコ展最終日

朝は源兵衛川の月例清掃。収穫が多くて早めに終えたので、11時の開館に間に合う。ほっ。 味戸展、好評裡に無事終了。これほど大がかりな展示は、K美術館ではもうないだろう。感慨深い。 ネットの見聞。《 自分の中にも原発への「幻想」があった。もっと画…

生誕の災厄

E・M・シオラン『生誕の災厄』紀伊国屋書店1976年初版を、飛び飛びに読む。出口裕弘が「訳者あとがき」で書いている。《 どのページでもいい、気ままに本を開いて、胸にこたえる一行があったら、そこから読みはじめていただきたい。》 《 みずからの最深部…

生還の記

雨がしとしと降る一日。広島や静岡市からの来館者のあった昨日と違って静かな午後。静岡市出身の三木卓『生還の記』河出書房新社1995年初版を読んだ。1994年の1月14日、59歳の著者は東京渋谷で心筋梗塞に襲われ入院。3月9日に心臓の手術。そして退院までの細…

いい音いい音楽

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。五味康祐『いい音いい音楽』中公文庫2010年初版、川上澄生『明治少年懐古』ウェッジ文庫2008年初版、計210円。 五味康祐『いい音いい音楽』は、大きめの活字にゆったりした行間、短いエッセイという好条件。昨夜読ん…

人間萬事

山口瞳『同行百歳』講談社1979年、なんと評したらいいんだろう、と一晩考えた(ほとんど寝ていたけど)結果、古い言葉だけど、実話小説に落ち着いた。私小説でもノンフィクション・ノベルでもない。なにせ、読んでいて愉しくなかった。不愉快ではないけれど…

3月 5日(月) 休館日

雨なのでのんびり寝ていたら、午前十一時。起きた。 藤原伊織『ダナエ』文藝春秋2007年初版を読んだ。亡くなる五か月前に出た。三編を収録。昨日取り上げた『雪が降る』講談社文庫の解説で黒川博行が書いている。《 イオリンは頭が良すぎたために芸大には行…

 同行百歳

雨なのでバス。ぬめ〜っとした温い湿気。なんじゃいこの陽気。しばらくして晴れてくる。 山口瞳『同行百歳』講談社1979年初版を読んだ。帯から。《 三十年のサラリーマン生活をやめたとき、私と妻の年齢を合わせると百歳だった──人生の収束の時期、半生を振…

雪が降る

雪の降りそうな曇天。雨。藤原伊織『雪が降る』講談社文庫2001年初版を読んだ。六篇収録。どれも上手い書き出しだ。一気に小説世界へ没入する。《 人を殺した人間には、かつて一度しか会ったことはない。ちょうど四十歳というという年齢でひとり。》「台風」…

名残り火

藤原伊織の遺作『名残り火 てのひらの闇 II 』文藝春秋2007年初版を読んだ。この本が出る四か月前に亡くなった。良質なエンタテイメント・ミステリだ。文春文庫版収録の逢坂剛「いおりんの名残り火」から。《 いおりんの小説においては、謎も謎解きも常に登…

ぼんやりの時間

昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。武井武雄『ラムラム王』銀貨社1997年初版、樋口有介『ピース』中公文庫 2011年6刷、計210円。 昨夜、風呂あがりにお客用のビールを飲んだ。この前飲んだのは賞味期限切れだったけど、これはぎりぎり。うまい。いつも…