2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
昨夜、本棚をしばし眺め、山田稔エッセイ集『生命の酒樽』筑摩書房1982年初版を抜き、少し読む。 《 「シラケ」世代の男性の間にいちじるしい風俗の女性化というのは、その一つの指標とみなすことが できるだろう。 》 38頁 《 現代の社会が男性のホモ化を怖…
昨夜の月はスーパームーン。光が強かった。シュタイナーの意志も強いわ。 ルドルフ・シュタイナー『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』ちくま学芸文庫2007年7刷、 後半から。 《 人間の魂の偉大さが発揮されるのは、「この仕事は私にはひどすぎる、…
ルドルフ・シュタイナー『いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか』ちくま学芸文庫2007年7刷を読んだ。 《 むしろどのようにこの五分間を使用するかが大事なのである。/ 日常の時間における場合とは 異なる色合をもたねばならない。 》 40頁 《 大切なの…
他人の本棚をのぞくのってなんて楽しいんだろう。覗き趣味に通じるのかな。ヒヨコ舎・編『作家の本棚』 アスペクト文庫2012年2刷 を読んでそんなことを思った。文庫なので、本棚の本の背文字が判読しづらい。 それでも桜庭一樹の本棚に佐々木丸美『雪の断章…
13日の日録から。 『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術』、味戸ケイコさんの絵への椹木野衣の解説。 《 そしてこの漆黒の闇。その底はいったいどこへ続いているのだろう。 》 上記椹木野衣の一文が心に残っている。未明から明け方、うつらうつらの眠…
一日雨。朝から所要で外出。最初の用は来月のイヴェントの打ち合わせ。会合の場所までタクシー。 ま、豪勢。昼前に終了。小降りなので徒歩で帰宅。午後、内野まゆみさんの車で油彩画と日本画の二人展へ。 どっちも筆がもたもたしている。高名だったのではん…
沢村浩輔『夜の床屋』創元推理文庫2014年10刷を読んだ。連作短篇集。これはすんげえ面白い。 男子学生が狂言回し。なんか、泡坂妻夫の平成版という印象。つまりはすごく私好みということ。 これ、きょう買った。いつもならしばらく寝かせるけど、ふっと読ん…
有栖川有栖『有栖川有栖の鉄道ミステリー旅』光文社文庫2011年初版を読んだ。気軽に楽しめる 鉄道エッセイ集だ。 《 特急料金を払わない方が、度はリッチなのだ。 》 136頁 《 知らない駅で無駄に時間を過ごすのが趣味なのだ。 》 170頁 《 すべての旅は、わ…
木々高太郎『光とその影│決闘』講談社大衆文学館文庫1997年初版に収録された「決闘」など九短篇を読んだ。 九篇どれも甲乙つけがたい良い作品だ。あとは好み。戦前戦後の風俗は二十一世紀の今とは違っているが、 どれも古臭さを感じさせない。古びていない。…
木々高太郎『光とその影』(『光とその影│決闘』講談社大衆文学館文庫1997年初版収録)を読んだ。 1956(昭和31)年刊行の長編。日下三蔵が解説でうまくまとめている。 《 本篇では、ある弁護士が殺される。容疑者は、彼の恋敵と、彼に脅迫されていた男たち…
女友だちは昨日、「引っ張ってるね〜」と言った。「そりゃそうさ、四十年応援してるんだもの」と答えた。 椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 戦後〜1995』小学館に味戸ケイコさんの絵が収録されたこと。 手紙だけの遣り取りの味戸さんに、1980年の秋、味…
木々高太郎『わが女学生時代の罪』(『日本探偵小説全集7 木々高太郎集』創元推理文庫1988年3刷収録)を読んだ。 1949年〜1951年の連載。精神分析を中心にした、さり気なく見える語り。だが、じつは陽画陰画の騙り。 見事な結末、鮮やかな着地。ミステリを…
木々高太郎『折蘆』『網膜脈視症』『睡り人形』『就眠儀式』を読んだ。『日本探偵小説全集7 木々高太郎集』 創元推理文庫1988年3刷に収録。四作とも戦前の作。誰もが思うのは、『睡り人形』と川端康成『眠れる美女』 の関連だろう。同じ題材でもかようにも…
木々高太郎『人生の阿呆』創元推理文庫2003年2刷を読んだ。昭和12年の直木賞受賞作。 《 日本に於いても、探偵文壇の歴史は、尚未だ、十年の余りには出でぬ。而も、既に逸早く、 行きつまったと言われるのは、コナン・ドイル、モウリス・ルブラン、ヴァン・…
関係の変化を引き起こす作用が、美だと思う。と昨日書いた。美の作用は、接する人の感受・理解能力の違いで気づかずに 無視されるか、関心外か、ヘン!(グロテスク)と思われるか。また、知覚の変動を好まない(求めない)人たちもいる。 美術に何を期待し…
資生堂の四十年ほど前のCM『ゆれる、まなざし』1976年の真行寺君枝は、今もって鮮烈な記憶。 https://www.youtube.com/watch?v=_woKnaxo5SM 彼女の目力に我が眼が釘付け状態だった。そして心の何かが変わった。世界の更新、とでも言うか。 視野が、世界が…
昨日リンクした松岡正剛「マルティン・ハイデガー『存在と時間』」の一節。 《 短文ではあるが、『遊学』(中公文庫)に「無の存在学」を通したハイデガーの一端、 すなわち関心(ソルゲ)の連続体としての存在にかかわる「差異の哲学」がどういうものである…
『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術』、味戸ケイコさんの絵への椹木野衣の解説。 《 そしてこの漆黒の闇。その底はいったいどこへ続いているのだろう。 》 この一文がずっと引っかかっている。『松岡正剛の千夜千冊』の「マルティン・ハイデガー 『存…
早朝、地震で目覚め。再び睡眠。朝、JR東海のさわやかウォーキングでぞろぞろ。飛び石が水没した 源兵衛川最上流部を避けて別の道を歩いているようだ。しかし、暑い。 午後、暑いけどブックオフ長泉店へ。皆川博子『鶴屋南北冥府巡』新潮社1991年初版帯付…
一昨日の引用を再掲。《 しかし、一九八○年代も半ばとなり、バブル前夜の楽天的な気分がそんな陰りを一掃してしまうと、 気づかぬうちに、いつのまにか見かけなくなくなっていた。 》 椹木野衣「味戸ケイコ 雑誌 『終末から』表紙絵」 (『 日本美術全集 第…
三橋一夫『コショウちゃんとの冒険』盛林堂書房2015年初版を読んだ。長編の表題作他短編を収録。 表題作が最も読み応えがあった。巻末のエッセイ「愛と勇気と夢」を具体化したものと言える。 午後三時から四時過ぎ、地元の高校生十五人を源兵衛川へ案内。学…
昨晩はかなり疲れていて、書き落としたこともいくつか。源兵衛川中流、水の苑緑地の木陰の地面には 赤、黄、白のキノコがワッサワッサ、雨後の筍のように出ている。樹木にも薄茶色のキノコ。こんなの初めて、 と近くに住む人。水辺には真っ赤な彼岸花。マタ…
『 日本美術全集 第19巻 』、203点の図版を通覧して思うのは、抽象作品がろくにないことだ。 思しき作品は今井俊満、草間彌生、白髪一雄、李禹煥くらいか。対して、味戸ケイコ、谷内六郎たちが入った。 この二人の初期作品に、私はとりわけ愛着を覚える。…
『 日本美術全集 第19巻 』、203点の図版で、絵画では味戸ケイコさんは谷岡ヤスジに次いで小さい。 谷岡ヤスジの絵はマンガの一コマで、5×9センチ。味戸ケイコさんは22×15センチ。サムホール大。 この大きさで歴史に遺るのだから、すごい。椹木野衣…
『 日本美術全集 第19巻 』、203点の図版解説を読んだ。椹木野衣ほか十四名による執筆。それぞれの 視点からのそれぞれの切り口が、強弱濃淡さまざまな表情を見せる。作家と時代との関わり、作家と 業界のせめぎあい、作家の人生、作家と執筆者の関わりな…
一晩経つと喜びがじわーっと湧いてくる。K美術館をやって無駄ではなかった、とやっと実感。 独りよがりの美意識で、とんでもない勘違いをしているかもしれないが、と自覚しながら美術品を購入、 展示そして保管。私の死後、毀誉褒貶どちらへ針は振れるだろ…
昨日味戸さんから、送ったというメール。昼前には椹木野衣・編『日本美術全集 第19巻 拡張する戦後美術 戦後〜1995年』小学館2015年初版が届く。重い〜本。さっそく雑誌『終末から』の味戸さんの表紙絵を鑑賞。 うれしいねえ。椹木(さわらぎ)氏の解説を…
ニッポン放送からラジオ番組『薬師丸ひろ子 ハートデリバリー』八月十六日放送の録音が 送られてきた。源兵衛川再生の話を彼女がしている。その情報を依頼されて話したお礼。 テープではなくCD。時代はとっくに変わっていた。 来月の視察の下調べで来訪さ…
荒巻義雄『石の結社』実業之日本社1979年初版を読んだ。題から壮大な伝奇小説を予想したが、 ごく普通の推理小説だった。主人公が若手画家、仲間が銀座の画廊主という具合に美術の話題が豊富で、 そちらに関心が向いた。 《 「絵を買うお客さんもさ、この頃…
金子雅臣『ホームレスになった 大都会を漂う』ちくま文庫2001年初版を読んだ。 ホームレスの手記ではなく、都庁で労働相談に携わる著者が、ホームレスになった人々を書いた。 ホームレスになった事情は人さまざま。 《 だから、本当の問題はこうした「経済的…