2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『空海論/仏教論』七(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を読み進める。《 本書の主題は初期仏教から密教までの思想的な繋がりを、縁起説と離二辺の思考の歴史的で段階的な再解釈という観点から辿り、その…

『空海論/仏教論』お休み(閑人亭日録)

パソコンの交換のため、清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」読書はお休み。使い勝手がよくわからず、手間取る。取り合えず起動~動作の手順をを覚えた・・・。

『空海論/仏教論』六(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、 後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を少し読み進める。《 阿字の真義について語る空海の雄弁は、融通無碍でとどまるところを知らない。八種旋転、十六玄門はただの列挙、分類ではな…

『空海論/仏教論』五(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、 後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を少し読み進める。《 「対象』はまた、「一なるもの」であるとともに「多なるもの」でもある。というハーマンの見解にも注目すべきである。「対…

『空海論/仏教論』四(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、 後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を少し読み進める。《 二項対立と、それらを兼ねた第三レンマ(媒介)、「相依性」の循環的構造によって、原因をどこにも帰さない第四レンマ(一…

『空海論/仏教論』三(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、 後半の「第二部 『吽字義(うんじぎ)考』」を少し読んだ。《 先にわたしは、空海古代日本における独創的な思想家であったと述べたが、著作によってみずからの世界観を構造的に説き起こした…

『空海論/仏教論』二(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、昨日のおさらい。《 清水 結局、二項対立の問題というものがそもそも難しいんです。二元論というのは、いわゆる排中律が成立するときに否応なしにそれが成立するのであって、たとえば、丸い個…

『空海論/仏教論』(閑人亭日録)

清水高志『空海論/仏教論』以文社2023年4月20日 初版第1刷発行、序を読んだ。 http://www.ibunsha.co.jp/books/978-4753103744/《 本書で試みるのは、初期仏教から密教までの哲学の初源のあり方を、現在考えられるあらゆる方法を駆使して読み解くことである…

ジョン・コルトレーン『変遷』(閑人亭日録)

命日の17日に遅れてきょう昼前、暑い中買いものから帰った勢いで、JOHN COLTRANE『TRANSITION』1965年録音のレコードを音量を上げてかける。轟音をぶちまけて全力疾走の、息詰まる、息を呑む演奏。音楽の境界を踏み出し、踏み外すギリギリのところで踏みと…

『新・空海論』十一(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第十章 空海の書の境涯」を読んだ。《 空海はどこまでも書の源流、字の源流にさかのぼって、書を書くことの意味を追求していたことがわかります。 》 460頁《 空海の書は、…

『新・空海論』十(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第九章 空海の詩の宇宙」を読んだ。《 こうして空海は深い無常観から、世間世俗を超脱して、仏教にこそあかされていると考えられる究極の真実に向かうことになるのです。 …

『新・空海論』九(閑人亭日録)

一昨日、18日のブログに書いた疑問の返答が、青土社から届く。《 著者の先生にも確認をいたしました。 無量寿如来は阿弥陀如来と同じもので、無量寿=阿弥陀とお考えいただければとのことでした。 ただし、掲載した「中台八葉院の構造」の図のなかには「無量…

『新・空海論』八(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第八章 密教の行の諸相」を、午後、古い漫画雑誌『ガロ』を見る来客があり、時間を取られ、少ししか読めなかった。《 まず、密教の観法として有名な「阿字観』についてです…

『新・空海論』七(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第七章 曼陀羅思想の核心」を読んだ。《 曼陀羅というと、よく宇宙を表している、と言われます。しかし空海においては、実はけっしてそのようなことではありません。これま…

『新・空海論』六(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第六章 真言密教とは何か──顕教と密教」を読んだ。《 空海の仏教は、密教と呼ばれる仏教であり、宗派の名前は真言宗と言います。この真言とは、一体どのようなものを意味し…

『新・空海論』五(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第五章 十住心の思想」を読んだ。《 涅槃に入ることは仏教の一大目標のように思われるかもしれませんが、前の声聞乗のところでも述べたように、そこには何の活動もないわけ…

『新・空海論』四(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第四章 空海の著作の概要」を読んだ。《 空海の著作でもっとも早いものは、『聾瞽指帰』です。これは延歴十六年(七九七)、空海が二十四歳の時の著と見られています。 》 …

『新・空海論』三(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第三章 最澄との交流と別離」を読んだ。《 平安時代の日本仏教の双璧として、最澄と空海がいます。最澄は比叡山に依り、天台宗(ただし禅・密教・律を抱合する総合仏教)を…

『新・空海論』二(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第二章 もう一人の師・般若三蔵」を読んだ。《 この「虚空尽き、衆生尽き、涅槃尽きなば、我が願も尽きん」の句は、空海の永遠の願を説くものとして、かなり有名な言葉だと…

『新・空海論』(閑人亭日録)

竹村牧男『新・空海論』 仏教から詩論、書道まで』青土社2023年6月30日第1刷発行、「第一章 長安往還の旅について」を読んだ。 http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3804&status=published《 空海は、宝亀五年(七七四)、四国の讃岐国多度郡に生ま…

事事無礙法界と縄文(閑人亭日録)

縄文土器の強烈な訴求力から「事事無礙法界」へ連想が飛んだ。一昨日の引用。《 自他を超えるものの中に包まれていて初めて自他であるという。そのことが認識されたとき、自己は自己のみで成立していたという考えは否定され、すなわち自己が否定されることに…

深層表現派(閑人亭日録)

四半世紀ほど前、K美術館を開くにあたって「深層表現派」という用語を自作した。味戸ケイコの絵、北一明の焼きもの、深沢幸雄の銅版画などを一括して深層表現派と勝手に名づけた。振り返れば、美術界の現状に違う視点(の砂粒)を投げ込もうと意気込んでい…

『唯識・華厳・空海・西田』再読十三(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「付篇 鈴木大拙の華厳学 霊性的日本の建設」を再読。《 事とはもろもろの事象・事物、理はそれらの一切を貫く究極の普遍のことで、仏教では空性ということになる。その空性そのものを、別…

『唯識・華厳・空海・西田』再読十二(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「第八章 西田の哲学(二) 自他間の根源的構造と当為」を再読。《 「平常底」の世界 西田の最後の論文、「場所的論理と宗教的世界観」の主題は、「逆対応」と「平常底」なのであった。「…

『唯識・華厳・空海・西田』再読十一(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「第七章 西田の哲学(一) 「超個の個」の宗教哲学」を再読。《 西田哲学は「場所の哲学」と目されているが、私はむしろ、真の「個物の哲学」であると考える。 》 248頁《 場所の論理は対…

『唯識・華厳・空海・西田』再読十(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「第六章 空海の哲学(二) 動態的曼陀羅の風光」を再読。《 空海の密教を真言宗という。それは、陀羅尼のようなものを重用するからだけではない。絶対者のような法身仏の説法は真実の言葉…

『唯識・華厳・空海・西田』再読九(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「第五章 空海の哲学(一) 十住心による仏教の全景」を再読。《 このように密教の側から言えば、顕教は方便の浅い教えであり、密教は真実の深い教えであるという。しかも仏の覚りの世界に…

『唯識・華厳・空海・西田』再読八(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行、「第四章 華厳の哲学(二) 華厳唯識の逆説的展開」を再読。《 おそらく、我々は仏にならないまでも、自己の存在の内容は、自己自身と自己が住む国土と、その国土に住むあらゆる他者とのす…

『唯識・華厳・空海・西田』再読七(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行を少し再読。《 以上の四法界の内容を、図式的にまとめておこう。 事法界=諸法 個々の事物 個物 特殊 現象界 相対 人間 理法界=法性 事物の本性 一般 普遍 実在界 絶対 神 理事無礙法界=…

『唯識・華厳・空海・西田』再読六(閑人亭日録)

竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』青土社2021年4月30日第1刷発行を少し再読。《 これから、唯識思想とならぶ哲学的な仏教である華厳思想の世界を尋ねていくこととしたい。 》 第三章 華厳の哲学(一) 事事無礙法界の理路 93頁《 大乗仏教の代表的な経典の…