2016-01-01から1年間の記事一覧

大晦日

今年は私的な事情で多くの不義理をした。昨夕も沼津市のブルー・ウォーターの『風の子造形教室』展の設営に 行けなかった。朝、主宰者池谷博子さんの紹介文をメールで送信。 《 池谷博子(いけのや・ひろこ) 沼津市山王台で『風の子造形教室』を長年にわた…

『述語的世界と制度』「第三章 ノモス・制度・法のアポリア」三

一昨日の中村雄二郎『述語的世界と制度』岩波書店1998年初版「第三章 ノモス・制度・法のアポリア」での実定法への 考察、論述はわからん、と措いて先へ進んだが、171頁にオートポイエーシス論が出てきた。この用語のおさらいで中村雄二郎 『述語集 II 』岩…

『述語的世界と制度』「第三章 ノモス・制度・法のアポリア」休み

昨日誤植かな、と思った字は正しかった。文章の読解力が昨日は落ちていたようだ。削除。疲れていたからと思いたい。 平易な文章だけれど、内容はじつに深い。また関心外の分野での論述にはホトホト困る。直接法律に関わる警察にはとんと ご縁がなかった。免…

『述語的世界と制度』「第三章 ノモス・制度・法のアポリア」ニ

甲斐バンド『かりそめのスウィング』も浅川マキ『前科者のクリスマス』も忘れ、ジングルベルも耳にせずに過ぎた。 歳末の慌ただしさも感じない。訊いた人は「だねえ」とうなずく。静かな2016年、平成二十八年の師走。 午後、源兵衛川中流部、水の苑緑地から…

『述語的世界と制度』「第三章 ノモス・制度・法のアポリア」一

一晩経ったら昨日のシニフィアン=述語性、シニフィエ=主語性の比喩が腑に落ちた。常識の皮が剥がてゆく。 強い風雨。午前九時静岡県に竜巻注意情報1号、十時に2号。雨の止んだ午後、友人知人といろいろ打ち合わせ。 中村雄二郎『述語的世界と制度』岩波…

『述語的世界と制度』「第ニ章 カオス・無意識・述語性」ニ

昨日の中村雄二郎『共通感覚論』第五章「生活世界の二つの論理」から。 《 人間活動のあらわれとして、このような無意識のシステムにかかわる象徴的世界をはっきり捉え、それに対する ふさわしい接近方法としてあらわれたのが構造論的方法あるいは方法として…

『述語的世界と制度』「第ニ章 カオス・無意識・述語性」一

中村雄二郎『人類知抄 百家言』朝日選書1999年初版にこんなくだり。 《 少々紛らわしいが、性悪説的性善説というのは、ひとの手前勝手をそれとして許容する立場であり、それに対して 性善説的性悪説とは、相手の善意を期待しすぎるために思うとおりに事が運…

『述語的世界と制度』「第一章 序論」

所有とは、そのモノが心に生きていることではないかな。昨日ふれたパート・ド・ヴェール、友だちから恵まれた細密画。 それらは机上にあって、座れば視野に入るモノ。またすぐに思い浮かぶ大切なモノ。そういうモノが真の所有物ではないかな。 こんなモノも…

『述語的世界と制度』読み始め

天皇誕生日。子どもの頃は、天皇はだれからもかしずかれるからいいなあと思っていたけど、な、なんと気疲れのする仕事だろうと 気づくのに時間はかからなかった。 年賀状投函。やれやれ。ふと思った。天皇陛下へ年賀状を出したら。畏れ多くてできない。 安藤…

「ジンメル」

友だちは目覚ましを六時から冬時間の七時に変えた。私は年中七時半過ぎ。私の睡眠時間は冬時間で九時間超。それが最近 昼前から蒲団が恋しくなる。こんな雨模様の日、昼食後にお蒲団へ潜り込んだ。う〜ん極楽。一時間半ほど寝ていたが、 いつまでもいかんと…

『去年の冬、きみと別れ』

昨日の「開運なんでも鑑定団」の茶碗、二千五百万円だった。 《 もしこの茶碗が信長・秀吉・家康が所有し、さらに現代に伝わったものであれば国宝になっていたかもしれない。 》 http://www.tv-tokyo.co.jp/kantei/kaiun_db/otakara/20161220/03.html http:/…

「置き場所を得る」

夜ふっと一息ついたとき手にする北一明の茶碗。K美術館では未展示の玳皮白流茶碗(二級品)。和室の床の間に紫檀の 丸い花台を置き、それに載せてみた。白味がかった高台が意外にも魅力を発揮している。未使用なので一際明るい。胴の 茶色と白流の玳皮と花…

『あらしの白ばと』

西條八十『あらしの白ばと 悪魔の家の巻』書肆盛林堂2016年初版を読んだ。悪漢対少女三人組の、荒唐無稽、 波乱万丈の明朗活劇小説。一気読み。明快な構図のハラハラドキドキって、最近では私は目にしない。中盤。 《 だれもいなくなると、茉莉子は、長いあ…

「聞く力」

河合隼雄『こころと人生』創元社1999年初版、「 IV 老いを考える」を読んだ。四天王寺での講話を起こしたものなので 平明な語り口。ここに引用するほどのもとはなかったが、帯の鶴見俊輔の短い推薦文に目が留まった。 《 日本で衰えたのは、/聞く力である。…

「草刈り」

今朝は−1.5度。霜、霜、霜。午前午後、源兵衛川最下流部の葦などの刈り取り作業に参加。風が無くて楽。都留文科大学の 女学生五人との共同作業。彼女たちタフだわ。刈った後にカラスがやってきてアメリカザリガニを捕獲。一羽のカラスが水辺を 漁っていると…

「林由紀子蔵書票展」

昨日のクラーナハ関連で。クラーナハも、カラヴァッジョも、ジョルジュ・ド・ラ・トゥールも、対象に没入しながらも、 そこから隔たって対象と我とを冷徹に観察する自覚した眼があるからこそ、観る者に絵との距離を忘れさせる引力を生む。 それは卓越した技…

「クラーナハ展」

昨日行った「クラーナハ展」には深い衝撃を受けた。凄い。ジョルジュ・ド・ラ・トゥール、カラヴァッジョ以上の衝撃。 静かなる凶気そして侠気。絶対的な隔たりの君臨。美と崇高を併せ持った作品が、ルカス・クラーナハ(父)の絵だ。 一昨日引用した中村雄…

「世界かんがい施設遺産」登録証伝達式

昼、東京への新幹線の車中で四方田犬彦『「かわいい」論』ちくま新書2006年初版を少し再読。昨日の「崇高」の反対語は 「かわいい」ではないかと思いついて。 《 ミニアチュールにとって重要なことは、それが起源となる物体を模倣しながらも、その本体が属し…

「贅沢に近づく」

昨日の岡倉天心『茶の本』つながりで、中村雄二郎対話集『現代芸術の線戦略』青土社2001年初版、中川幸夫との対話 「贅沢に近づく」を読む。中川幸夫が利休の待庵を訪れたときのことを語っている。 《 二畳の空間が広く、深く……。ほかでは感じられない思い。…

『 The Book of Tea 』

椅子に寛いで右手の本棚を見ると、中村雄二郎『人類知抄 百家言』朝日選書1999年初版が目に留まった。ぱらぱらと開いて 西田幾多郎の項を読んだ。 《 昭和十一(一九三六)年、西田が六十六歳の当時のことである。弟子の下村寅太郎にD・H・ロレンスの 『チ…

「珍本あるいは希書」

昨日の中井英夫黒鳥忌で、ネットでは献呈サイン本などがずいぶん挙げられていた。私への献呈サイン本は十冊以上ある (数えていない)。珍本といえるのは、『とらんぷ譚』平凡社1979年12月20日刊行の、誤植、脱落の廃棄本。三冊を中井氏が 掬い、一冊を澁澤…

「エキセントリック本棚」

昨日の日録に「歳だなあ。」と書いた夕食後は、ホントくたくた肉体疲労気分だった。が、二時間ほどして次第に回復。 コーヒーを飲みたくなくて熱いお茶を飲んだのに、その後すぐにコーヒーを飲みたくなった。で、淹れる。旨い。もう回復? 肩や足腰に疲れは…

『ロマンチックSF傑作選』

豊田有恒・編『ロマンチックSF傑作選』集英社文庫1977年初版を読んだ。小松左京、星新一、筒井康隆、山田正紀ら日本の作家十一人の短編集。筒井康隆『レモンのような二人』の冒頭。《 スナック「反体制」には、常に若さと喧騒があった。 》 時代を感じさせ…

『海外ミステリー傑作選』

最低気温2.2度。肌を刺すような朝。開戦記念日。 《 大本営発表トリビア。(1)大平秀雄陸軍報道部長は口下手だったため、緊張のあまり声が反転。(2)後の首相 ・大平正芳は彼の従弟。(3)開戦発表の映像は実は撮り直し。(4)その発表に居合わせた…

「大雪/大切」

きょうは大雪。大切な人は? 巡らすようじゃ失格。私は一人しか浮かばん。と書いておこう。 命あるもの以外の大切なものは? 美術品、本……金。諦めのつくものばかりだ。命並のものはない。 昼前ブックオフ函南店へ自転車で行き、命ほどには大切でない古本を…

『多角形』

昨日、福岡県在住の画家、松永潤ニ氏から嬉しい手描きの絵葉書が届いた。絵は源兵衛川上流部を描いた水彩画。NHK 『さわやか自然百景』を観てくださった。そして連絡しなかったNHKBSプレミアム『発見!体感!にっぽん水紀行 (再)』も視聴されてい…

『内部の真実』

ツイッターで日影丈吉の長編推理小説が話題に。 《 日影丈吉『内部の真実』読了。太平洋戦争中の台湾で起こったとある殺人事件を二部構成の手記で描く。 事件自体はごく単純なものだが、それをここまで複雑怪奇に展開させ、なおかつ幻想的な味わいを混ぜ込ん…

「西田哲学の彼方へ」

中村雄二郎対話集『現代芸術の戦略』青土社2001年初版収録、梅原猛との対話「西田哲学の彼方へ」を読んだ。 《 中村 ただね、ひとつ言っておきたいことがある。それはこういうことです。デカルトはたしかに一応明晰です。しかし、 明晰であることによって見…

『〈もの派〉の起源』

本阿弥清『〈もの派〉の起源』水声社2016年初版を読んだ。序の冒頭一行が効く。 《 「美術」とは、いったいナニモノなのだろうか? 》 たしかに。続けて著者は書く。 《 川俣正がどれだけ精巧な、建築と見まごう作品を作って美術界で話題になったとしても、…

「現代芸術の戦略」

中村雄二郎対話集『現代芸術の戦略』青土社2001年初版収録、工藤哲巳との対話「現代芸術の戦略」を読んだ。 《 工藤 美術とは何かと言ってもいいし、芸術とは何かと言ってもいいんですけど、とりあえず芸術とは何かというと、 徹底的にすべてを疑うことに徹…