2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「 かの蒼空に 」

関川夏央・谷口ジロー『「坊ちゃん」の時代第三部 かの蒼空に』双葉文庫2009年3刷を読んだ。 石川啄木を中心に描かれている。時代は明治四十二年。1909年。 《 その生涯を通じて 啄木は至るところで金を借りまくりかつ踏み倒しまくった 》 159頁 《 彼はその…

「 人形の夜 」

昨日ふれたマーシァ・ミュラー『人形の夜 シャロン探偵物語』講談社文庫1980年初版を読んだ。 二月の雨の降る深夜のサン・フランシスコ。五七歳の骨董屋の女主人が殺された。三十歳近い女探偵 シャロン・マコーンの知り合いだった。彼女の捜査が始まる。一昨…

「 エヴァ・ライカーの記憶 」

ドナルド・A・スタンウッド『エヴァ・ライカーの記憶』文藝春秋1979年初版を 読んだ。昨日ふれた有栖川有栖『有栖の乱読』の推薦本。帯文から。 《 1912,4,14 豪華客船タイタニック沈没 1941 アメリカ人観光客夫妻 ハワイで惨殺さる 1962 大富豪ライカー タ…

「 謀殺の弾丸特急 」

山田正紀『謀殺の弾丸特急』徳間文庫1999年初版を読んだ。東南アジアの 架空の国、といってもカンボジアがモデルなことは一目瞭然。ツアーに 参加した自称国際ジャーナリストが軍事基地を夜、秘密裏に撮影し、軍から 追われる身に。ツアー参加者を巻き込んで…

「 妖魔の横笛 」

昨日届いた鷲尾三郎『妖魔の横笛』盛林堂ミステリアス文庫を読んだ。副題 「少年少女怪奇探偵小説集」。横笛はフリュートと読む。三篇収録。短いので すぐに読み終える。 古本愛好家彩古の解説冒頭。 《 二〇〇二年に日下三蔵による『鷲尾三郎名作選 文殊の…

「 SAKURA 六方面喪失課 」

一昨日ふれたギリシャの歌姫ハリス・アレクシーウ HARIS ALEXIOU の2012年のCDアルバムを 昨夜聴く。秋の深い夜に心に沁みる。 http://www.ahora-tyo.com/detail/item.php?iid=12130《 全編で抑えたトーンで歌い込まれているのですが、その静〜抑制のなか…

「 ふしぎの国の犯罪者たち 」

山田正紀『ふしぎの国の犯罪者たち』扶桑社文庫2009年初版を読んだ。昨日の 「襲撃」に続く「誘拐」「博打」「逆転」の四篇から成る。ミッション・インポシブル。 どれもスンゲエ面白かった。「誘拐」は、誘拐犯から金の受け取りを役を言い渡される。 「博打…

「 アリス・ミステリー傑作選 」

大きなモニター画面に迷惑メールしか表示されないのって、つらいな、と思う秋の日、 「ご盛況をお祈りします」を「ご冥福をお祈りします」 と読み違えるとは、あの人この人、忌中葉書が届くせいか。 真の傑作は、伝統と定説を覆す。賞賛の前に悪罵と黙殺が立…

「 忙しい日でも、おなかは空く。 」

疲れた心を慰撫してくれるものは、人によって様々あろう。今の私には、 それは人肌の温もりでもなく、絵画でむなく、焼きものである。北一明の茶碗を 掌に載せて釉薬の絶妙な輝きを鑑賞し、その感触を味わう。それが心をじっと 落ち着かせ、慰撫してくれる。…

「 遊び時間 」つづき

富士山は雪化粧。晴天。午後「土木学会100周年記念式典」にてグラウンドワーク三島の 「市民普請大賞」グランプリ表彰式。渡辺豊博専務理事が、記念式典に御臨席される 皇太子殿下に、当法人の取り組みを直接報告。私は事情あって欠席。 http://www.gwmishim…

「 遊び時間 」

冷え冷えと雨降る暗い木曜日。オイルヒーターを出して起動。周囲が本だらけなので 火の暖房器具は使えない。ゆっくり温まればよし。木の椅子に腰を落として本を読む。 温かさに眠くなる。いい遊び時間だ。 丸谷才一『遊び時間』中公文庫1981年初版を途中まで…

「 死の谷を越えて 」

昨日不要な什器を知人に譲り、今朝残りをゴミ出し。午後、ブックオフ長泉店へ 不要本を持っていく。1070円也。夕方、スーパーで食料品を買ったら1061円。 なんというバランス。 ネットオークションで落札した大藪春彦『血の来訪者』新潮文庫1973年初版が届く…

「 カバに会う 」

坪内稔典(としのり)『カバに会う 日本全国河馬めぐり』岩波書店2008年 初版を読んだ。文字通り全国のカバの探訪記。カバを見る、のではなく、カバに会う。 《 目的はカバだけ。それも一時間くらい対面するだけ。 》 130頁 《 カバというかたまりがおり十二…

「 園芸上手 」

パソコン左側の本棚に掛けてある絵を、土門拳だったか撮影の白黒写真、京都禅林寺の『見返り阿弥陀仏』に替える。ネットにはカラー写真など沢山あるが、この写真の優しく気品のある表情に匹敵する画像は見当たらない。 昨日の毎日新聞読書欄、村田靖子の一文…

「水と緑の情感都市へ」

昼前、ブックオフ長泉店へ自転車で行く。堀江敏幸の単行本をまず三冊。 『熊の敷石』講談社2001年初版帯付、『雪沼とその周辺』新潮社2003年初版帯付、 『めぐらし屋』毎日新聞社2007年初版帯付。三冊とも持っている本よりキレイ。 そんな理由もある。それか…

「 ニッポニア・ニッポン 」

昨夜、友だちと新蒲原の印象を語らって、いろいろ気づいたこと。旧東海道 には自動販売機がほとんどないこと。生活が丁寧になされていること。 すなわち侘しい気配がすごく乏しい。生活遺産、お宝がそこかしこにあるが、 身近過ぎて地元住民は気づいていない…

「 するがのくにの芸術祭 」

『するがのくにの芸術祭』、東海道線本線新蒲原駅周辺の展示を友人知人と 誘い合って見て回った。駅を出て鉄道ガードを潜り、旧国道を西へ歩いて五分。 よし川で昼食。そこに展示している十時孝好(ととき・たかよし)作品から見てゆく。 よし川のご主人が途…

「 表紙の絵 」

ネット注文した二冊が届く。安部公房『人間そっくり』ハヤカワ文庫1974年初版、 ヤオラフ・ステープルドン『オッド・ジョン』ハヤカワ文庫SF1982年3刷、計1100円。 どちらも表紙が深沢幸雄の絵。 本は読みたくて買うものだけれど、装丁(表紙の絵)を気に入…

「 表紙画・深沢幸雄 」

昨日、銅版画の老大家深沢幸雄氏から葉書が届いた。 《 又、川路さんの詩集御入手とのことうれしいですね 先生がまだ元気ですぐそばにいらっしゃる様です。 》 深沢幸雄氏の銅版画で手元に置きたい作品はほとんど入手している。深沢氏 装丁の川路虹柳の詩集…

「 現代日本文學大系93 現代詩集 」

銅版画家・林由紀子さんのツイート。《 大手拓次改造本2種。岩波文庫(小さい方)は詩の選び方が一番良いけど 「十六歳の少年の顔」は入れてほしかった。思潮社の現代詩文庫は「蛇の花嫁」 からいっぱい採ってるけどあれ、あまりいいと思わない。初期作品の…

「 空海のことばと芸術 」

真鍋俊照『 空海のことばと芸術』NHKライブラリー2002年初版を読んだ。 弘法大師空海と密教そして曼荼羅が少しわかりかけた。空海というと まず浮かぶのはこの一節。 《 五大にみな響(ひびき)あり 十界に言語(ごんご)を具す 六塵(ろくじん)ことごと…

「 古本の魅力 」

昨日の出久根達郎『古本夜話』ちくま文庫2003年初版で深く頷いた 「古本の魅力」のくだり。 《 以前、文学書の復刊というものが盛んで、多くの名作が発刊当時そのままの 姿で再現された。これを求めた人達は、しかしじきにあきてしまって古本屋に 払いにきた…

「 美少女の美術史展 」

正午自宅を出て静岡県立美術館で開催中の「美少女の美術史展」へ行ってきた。 午後五時帰宅。展示品では日本画の山川秀峰がやはり良かった。という程度。 味戸ケイコさんの二点の絵、私なら他の絵にしている。何より驚いたのは、 私がフィギュアには殆ど魅力…

「 中空構造日本の深層 」つづき

昨日は日本の特徴を中空構造というかたちに見た。では西洋は。 《 西洋のように、一神教を信ずるところでは、多神教に比して、「統合」 に対する欲求が強いのは当然のことである。(中略)既に紹介してきたように、 科学の知は神の絶対的専制から人間を解き…

「 中空構造日本の深層 」

河合隼雄『中空構造日本の深層』中公文庫1999年初版を再読。 冒頭一行からぞくっとする。 《 現代は不安の時代であると言われる。先頃生じたアメリカの スリーマイル島原子力発電所の事故は、それを象徴的に示していると 思われる。 》 9頁 《 軍備費の拡大…

「 奇想の展覧会 」

1日に話題の笹木繁男『ドキュメント 戦後美術の断面 作家の足跡から』。 印刷漏れ(白紙)のページがあった。著者とのメールの遣り取りの一部を転載。 《 114−115ページ 118ー119ページ 122−123ページ 126−127ページ が印刷されて…

「 生誕の災厄 」

E・M・シオラン『生誕の災厄』紀伊国屋書店1976年初版を拾い読み。 出口裕弘(でぐち・ゆうこう)は「訳者あとがき」に書いている。 《 どのページでもいい、気ままに本を開いて、胸にこたえる一行があったら、 そこから読みはじめていただきたい。 》 《 …

「 晩秋挽歌 」

一昨日、独り酒用に目についた日本酒四合壜、一千円強を買い、盃ではなく 小ぶりのオールドファッショングラスで二杯飲んだ。昨日夜明け前に頭痛。 久々の頭痛。朝、残量を見ると底のほう。二杯ではなさそう。日本酒は懲りた、 と昨夜残りを飲んでしまった。…

「 千利休 無言の前衛 」

忘れてた。昨日はキティちゃんの誕生日だった。同じ誕生日だ。 赤瀬川原平『千利休 無言の前衛』岩波新書1990年初版を読んだ。再読の気がするが、記憶無し。 《 声を発して説き伏せるものと、無言で示すもの。一方は言葉の経済が支配し、 他方はその経済をす…

「 戦後美術の断面 」

著者へネット注文した自費出版の新刊、笹木繁男『ドキュメント 戦後美術の断面 作家の足跡から』六千円が昨日届く。 限定三百部。 《 本書のサイズはA4判、カラー口絵が32ページ、図版が279点も掲載されている。 本文は2段組みで455ページ、口絵と併せて495…