2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『縄文論』再読・五(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二〇二二年一一月一〇日第一刷発行、「縄文論」後半を再読した。《 アイヌの人々は、一体どこからやってきたのか。列島の縄文の人々の直接の末裔なのか、遠くシベリアまで広がる、バイカル湖を中心としたマンモスを狩っていた後期旧…

『縄文論』再読・四(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二〇二二年一一月一〇日第一刷発行、「縄文論」前半を再読した。《 資本主義も社会主義も全体主義も、近代的な国家を内側から乗り越えて拡大する、超近代的な帝国を目指していた。世界に覇を唱える帝国を目指す国家同士の闘いは必然…

『縄文論』再読・三(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二〇二二年一一月一〇日第一刷発行、「場所論」を再読した。《 しかし、未知なる表現の未来は、そうした「奇怪」で無残な廃墟からしか生まれてこない。 》 80頁《 「近代」という時代において、表現の真の新しさ(「モデルニテ」)…

『縄文論』再読・二(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二〇二二年一一月一〇日第一刷発行、「草原論」を再読した。《 古典時代の秩序が解体されるなかで「近代」が形づくられていくのだ。(引用者・略)私の真の意図としては、「近代」はもはやヨーロッパだけにとどまらず、この極東の列…

『縄文論』再読(閑人亭日録)

安藤礼二『縄文論』作品社二〇二二年一一月一〇日第一刷発行、「はじまりの場所へ──『縄文論』序」を再読した。《 『縄文論』として一冊にまとめられたこの書物は、人間にとって原型的な存在の在り方、原型的な表現の在り方を問うたものである。 》 5頁《 原…

『白砂勝敏 生命のかたち』(閑人亭日録)

『グランシップ誰もがWonderfulアート 白砂勝敏 生命(いのち)のかたち~白砂式創造の渦へ~』へ、友だちと行く。 https://www.granship.or.jp/visitors/event/detail.php?id=3034 六階の体育館を思わせる、高い天井と広々とした会場に、せいせいとゆった…

片恋の歌(閑人亭日録)

ふと浮かんだ俳句「卒業す片恋少女鮮烈に」 加藤楸邨から片恋の歌がいくつか浮かんだ。以下全部レコード盤をもっている。 ザ・ジャガーズ「君に会いたい」 https://www.youtube.com/watch?v=GpT1R4LHvis ザ・ゴールデン・カップス「長い髪の少女」 https://w…

野暮用で駆け回り(閑人亭日録)

昨日は最初の一行からス抜きのーパー。やはり暑さのせいか、それにしよう。 朝から野暮用で駆け回る。タクシー、電車で。用事は済ませたが、あきれたわ~、の一日。いや、まだ市役所主催の晩の集まりがある・・・。 午後九時前、帰宅。気分が少し晴れる。や…

夏の昼下がりの夢(閑人亭日録)

近くのスーパーまで自転車で買いものに行くとき、両側の店舗を見渡す。商店の夏休みが目につく。まあ、人休み、いい頃合いだ。こちらは一休み気分。本も音楽も気乗りがしない。茶碗を鑑賞しようか、と取り出す。これは日差しを受けて楽しむもの。冷房(28度…

『応答、しつづけよ。』七(閑人亭日録)

昨日の風景に関する引用で、ふっと思い出した白砂勝敏さんの絵への論及「生成する絵画」2013年。これまた彼から書いてほしいと依頼され、書いたもの。 https://shirasuna-k.com/gallery-2/two-dimensional/《 「生成する絵画」 K美術館館長 越沼正 絵はどこ…

『応答、しつづけよ。』六(閑人亭日録)

ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「線、折り目、糸」を読んだ。《 風景の中にも線はあるのです。 》 284頁《 風景の中に線があるのは、あらゆる風景は運動の中で形成されるからであり、またこの運動が、その…

『応答、しつづけよ。』五(閑人亭日録)

ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「地球の年齢」を読んだ。《 ヒ素、カドミウム、クロム、銅、鉛、水銀、ニッケルと亜鉛。どれも微量であれば無害ですが、高濃度になると致命的です。しかし、もともとは大地…

『応答、しつづけよ。』四(閑人亭日録)

ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「地面に逃げ込む」を読んだ。引用したい箇所はなし。 広くはない三島市の平地。三島駅南口から西(右)へ徒歩五分足らずで長泉町との境、伊豆箱根鉄道駿豆線の踏切に着く。…

『応答、しつづけよ。』三(閑人亭日録)

ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「森の話」を少し読んだ。「吐き、登り、舞い上がって、落ちる」を読んだ。《 山は登るためのものであり、丘は歩くためのものです。登山家は、山という資格を与えるには高さ…

『応答、しつづけよ。』二(閑人亭日録)

ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「森の話」を少し読んだ。《 木材用に幹を切った後、根と切り株に火をつけます。火をつけると、何が出てくるのでしょうか? 褐色のタールです。タールを煮て水分を排除すると…

『応答、しつづけよ。』(閑人亭日録)

きのう、あげるのを忘れていた。 ティム・インゴルド『応答、しつづけよ。』亜紀書房 2023年6月2日 初版第1刷発行、「招待」を読んだ。ワクワクする。《 筆記体で書かれた手書きの言葉は、切れ目なくつながっていく文字の線の重さと屈曲それ自体が感情を伝え…

三島・夏祭り初日(閑人亭日録)

台風7号が西へそれたので、雨は朝には止み、晴れ間が広がる。午前十時にはお囃子の試し打ち、露天商が開店準備。 午後二時半から歩行者天国。子どもたちが山車に上がってお囃子。ところどころ拍子が乱れるのもご愛敬。親御さんたちはスマホを手に見上げたも…

『激しい生』六(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、栗脇永翔(くりわき・ひさと)「訳者解説」を読んだ。《 「強さ=激しさ」というキーワードについてとりわけ丁寧な説明があるわけでもなく、話はすぐにあら…

『激しい生』五(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、「8 反対のイメージ──何かが抵抗する」を読んだ。《 生と思考のそれぞれの価値に判断を下すのは、生きる限りにおいて、私たち自身なのです。この判定は、人…

『激しい生』四(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、「7 反対の観念──倫理的な鋏に挟まれて」を読んだ。《 思考は私たちに、感覚的な生の諸価値──変異や進化、より一般的には強さ=激しさ──が反転する世界を与…

『激しい生』三(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、「5 倫理的な理想──強く=激しく生きること」を読んだ。《 あらゆるところで商品が、生活費を稼ぐ者たちに生きていることを実感するためにお金を使うよう提…

『激しい生』二(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、「3 概念──「すべてを強さ=激しさのなかで解釈しなければならない」」を読んだ。《 十九世紀の、とりわけドイツのヨーロッパ哲学に現れたこうした強さ=激…

『激しい生』(閑人亭日録)

トリスタン・ガルシア『激しい生──近代の強迫観念』人文書院二〇二一年九月三〇日 初版第一刷発行、「イントロダクション」を読んだ。 http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b589175.html《 ますます日常的になる英語風の言い回しによって、傑出した者について…

アニミズムと白砂勝敏(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社を再読していて、白砂勝敏さんの作品をずっと思い浮かべていた。 https://shirasuna-k.com/ 彼のウェブサイトには、いくつかの作品について私の拙文が掲載されている。どれも白砂さんが「こんなモノができまし…

『今日のアニミズム』再読・六(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行、奥野克己・清水高志「第六章 対談 II 」を読んだ。じつに面白い、と言ってはオイオイと突っ込まれそうだが、興奮した。まだまだよくわからないことはいくつもある。いかんせん付…

『今日のアニミズム』再読・五(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行、清水高志「第五章 アニミズム原論──《相依性》と情念の哲学」を読んだ。やはり、わかったようで、やっぱりよくわからない。気になる箇所を引用しても、それだけでは、何だかなあ…

『今日のアニミズム』再読・四(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行、奥野克己「第四章 他力論的アニミズム」を読んだ。《 本章では、アニミズムを、自力ではなく他力によって、つまり人間の力ではなく、目に見えない大きな力によって現れるものだ…

『今日のアニミズム』再読・三(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行、奥野克己×清水高志「第三章 対談 I」を読んだ。《 清水 近年、哲学や人類学などの学問はどちらも大きく様変わりしてきていますね。その変化を突きあわせるようにして考察しない…

『今日のアニミズム』再読・二(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行、清水高志「第二章 トライコトノミー Trichotonomy (三分法)、禅、アニミズム」を読んだ。じつに密度の濃い文章。簡単なメモだけ。《 いましばらく、レヴィ=ストロースのよく…

『今日のアニミズム』再読(閑人亭日録)

奥野克己・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年11月30日 初版第1刷発行 http://www.ibunsha.co.jp/books/978-4753103669/ 「 まえがき」(清水高志)を再読。《 本書は、人類に普遍的に見られるアニミズムと呼ばれる思考と、そこで見出される自然を考…