2021-01-01から1年間の記事一覧

『ドガ ダンス デッサン』二(閑人亭日録)

ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』岩波文庫2021年11月12日初版を少し読んだ。《 芸術家の仕事とは実に古風な型の仕事だ、と時おり思うことがある。(引用者・略)おそらく、そのような事態は変わりつつあり、やがて私たちは、こうした間に合せの …

『ドガ ダンス デッサン』(閑人亭日録)

ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス デッサン』岩波文庫2021年11月12日初版を少し読んだ。原著は1936年刊。目の醒めるような文章。《 思うに、ある人物の生涯とは、次々に起こる偶然と、そうした任意の出来事に対する多少なりとも正確な応答の連続にすぎないの…

楽観あるいは成り行き任せ(閑人亭日録)

細々としたお掃除をして日が暮れる。ふう。今年を振り返れば、いつからだったか忘れたが、酒類を飲まなくなった。必要を感じなくなった。そして老いを実感。 運動能力、持続力、回復力が減退。これは大きい。自転車に乗るにも一層の注意が必要。ま、老いを愉…

『〈問い〉から始めるアート思考』補遺(閑人亭日録)

吉井仁実(ひろみ)『〈問い〉から始めるアート思考』光文社新書2021年12月30日初版、「第二章 「現代アート」の終焉」で引用を見送っていた箇所。《 私は今、デジタルアートを含むテクノロジーアートやサイエンスアートに触れる機会が多くなっているのです…

『〈問い〉から始めるアート思考』三(閑人亭日録)

吉井仁実『〈問い〉から始めるアート思考』光文社新書2021年12月30日初版、「第五章 芸術祭とは何か」を読んだ。《 芸術祭は、アート作品をローカルコミュニティにうまくフィットさせることで、新たなアートの鑑賞の仕方を提案しました。それが多くの鑑賞者…

『〈問い〉から始めるアート思考』二(閑人亭日録)

吉井仁実『〈問い〉から始めるアート思考』光文社新書2021年12月30日初版、「第一章 アートは未来を提示する」を読んだ。実に有益な章だ。《 アーティストたちは、その時代や社会の中で、見たくても見えないものを描き出してきたと言えると私は思っています…

『〈問い〉から始めるアート思考』(閑人亭日録)

吉井仁実『〈問い〉から始めるアート思考』光文社新書2021年12月30日初版、「まえがき」を読んだ。《 だから「アート思考」を私なりに解釈すると、次のようになります。 》 3頁《 現代の社会に対して「問い」を投げかけること、それが「アート思考」であると…

年賀状の宛名を書く(閑人亭日録)

年賀状の宛名書きをする。六十通用意したが、一通不足。 年末のせいなのか、回想モードに。 中村雅俊『ふれあい(昭和49年)』 https://www.youtube.com/watch?v=KW6NMFrYrAs みなみらんぼう『 途上にて』 https://www.youtube.com/watch?v=SUXijmzGFiA 故松田…

近くの本屋まで(閑人亭日録)

近くの本屋まで歩いて行く。注文した二冊、奥野克巳・清水高志『今日のアニミズム』以文社2021年初版、ポール・ヴァレリー『ドガ ダンス レッスン』岩波文庫2021年 初版を受けとり、もう一冊、目についた吉井仁実『〈問い〉から始めるアート思考』光文社新書…

『第七 折々のうた』(閑人亭日録)

大岡信『折々のうた』は、全十巻と大岡信 編『折々のうた 総索引』岩波新書1992年初版を所持。後の『新折々のうた』は未所持。《 岩波新書で『折々のうた』全10巻、『新折々のうた』全9巻が刊行された(『折々』、『新折々』シリーズ総索引も各・出版)。 》…

目覚めに浮かぶ(閑人亭日録)

朝目覚めるときにふっと浮かんだこと。ピカソの絵画『ゲルニカ』1937年。この絵については平倉圭『かたちは思考する』東京大学出版会2019年の108-109頁でちょっと 触れていたが、それが浮かんだ。続いて北一明『ある伝統美への反逆』三一書房1982年初版の140…

『大岡信  架橋する詩人』四(閑人亭日録)

大井浩一『大岡信 架橋する詩人』岩波新書2021年初版、「第5章 詞華集の富と焦燥」を読んだ。《 大岡が批判したものとは、かみ砕いていえば断片化され、デジタル化された知であり感覚だろう。それは文脈という意味の連なりを軽視する思想ゆえに難解であり、…

『大岡信  架橋する詩人』三(閑人亭日録)

大井浩一『大岡信 架橋する詩人』岩波新書2021年初版、「第4章 「唱和」のよろこび」を読んだ。副題が「『紀貫之』『うたげと孤心』『春 少女に』」。 三作とも未読。連句、連詩について主に論じられている。縁遠い分野。それはそれとして注目するいくつか…

『大岡信  架橋する詩人』二(閑人亭日録)

大井浩一『大岡信 架橋する詩人』岩波新書2021年初版、「第2章 越境、また越境」を読んだ。《 例えば八五年刊行の『抽象絵画への招待』で二○世紀美術を概観して、彼は書いている。(引用者・略) …要は絵画もまた世界認識の重要な手段であるという思想が、…

『大岡信  架橋する詩人』(閑人亭日録)

大井浩一『大岡信 架橋する詩人』岩波新書2021年初版、「序章 焼け跡からの出発」「第1章 霊感と批評」を読んだ。《 それは、ある主題を表現するために書かれる詩、という文学的功利説を拒み、詩そのものが主題でありかつその全的表現であるところの、感受…

「風の子造形教室展」初日(閑人亭日録)

昼過ぎ、「風の子造形教室展」へ行く。優に150坪は超えるコンクリ剥き出しの殺風景な会場に天井から吊り下げられた多くの大きなテルテル坊主から床に置かれた立体群、 大小の紙に描かれた沢山の絵。壁面を埋める大きな絵画、小さな絵画。だだっ広くそっけな…

『続 風の書評』続き(閑人亭日録) 来年二月の大岡信のイベントの相談メールが届いたので、昨日の百目鬼恭三郎(どうめききょうざぶろう)『続 風の書評』から大岡信『百人一首』講談社文庫の評を読む。《 この本は、歌を現代詩に訳している点がミソなのだ…

『続 風の書評』(閑人亭日録)

《 書評というと「風」(百目鬼恭三郎)。現代人が読むとびっくりすると思う。こんな口が悪い人がいるのか、と。 》 urbansea https://twitter.com/urbansea/status/1469656381573971972 百目鬼恭三郎(どうめききょうざぶろ)『続 風の書評』ダイヤモンド社…

展示の準備(閑人亭日録)

朝から「風の子造形教室」の子どもたちの作品の展示の準備のお手伝いで、沼津駅前の元西武デパートのビルの八階のガランとしたやたら広い空間で展示作業。 子どもたちの描いた絵の瑞々しい感性に驚く。絵から歓声が聞こえてくるよう。久しぶりに気持ちの良い…

過去の蒐集物(閑人亭日録)

朝、源兵衛川の月例清掃へ。中流部、水の苑緑地で作業。浅いけれども流れは速い。短時間で重くなる。軽く汗。帰宅。コーヒーが旨い。 昼寝からの目覚め時、友だちが最近通っているご近所の骨董店「恵ぼし」の女主人にあげようと思い立ち、戸棚の中から百年ほ…

過去のアレンジ(閑人亭日録)

きょうの東京新聞、美術評論家藤田一人の美術評。福田美蘭と森村泰昌の新作展について。《 批評とは本来、目の前の作品を自身に引き寄せ、想像力を逞しくして、その先を展望することなのだろう。が、今日の美術批評のほとんどが、展覧会の解説に終始して い…

色気、気色(閑人亭日録)

東京新聞の連載、江口寿史『私の東京物語』、今日は「12 御茶の水 楽器は色気」。《 僕にとって楽器を描くことは女性を描くことと同じなんです。車を描くのもそう。曲線や形はすべて色気。 》《 僕が描くイラストの原点は色気です。楽器にしても人物にして…

『科学技術社会学(STS)』八(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「七章 参加」を読んだ。現在性のあるテーマ。《 彼女によれば、デューイの意義は民主政治が問題形成という実践にかかわるものであり、問題への関与によって市民が作られることを強調して…

『科学技術社会学(STS)』七(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「六章 未来」を読んだ。広がる研究領域。《 期待が科学技術と相互的な作用をもつということを実感するのは、科学や技術のブレークスルーにより、それらに対する期待が高まり、社会にハイ…

『科学技術社会学(STS)』六(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「五章 秩序」を読んだ。気づかなかった分野。《 ベックのいうリスクは汚染物質等、具体的な危険物というニュアンスが強いが、多くの分野(STSもふ含む)では、一般的にリスクという言…

『科学技術社会学(STS)』五(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「4章 場所」を読んだ。視野が広がる。《 われわれの生活は、われわれがどこに生まれ、どこで暮らしているのかと密接に関連しており、それは科学も例外ではない。場所という人の営みと不…

科学技術社会学(STS)』四(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「3章 過程」を読んだ。斬新な視点だ。《 興味深いことに、これら諸領域(私はそれをレジームとよぶが)における新しさの探求は相互に異なるが、歴史的に交錯もしている。たとえば経済に…

『科学技術社会学(STS)』三(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「2章 境界」を読んだ。新鮮な視点。《 科学が作られる、とはミクロレベルでの研究過程のダイナミズムと同時に、その行為自体がより大きな制度的枠組みの中でどういう社会的な正当性をも…

『科学技術社会学(STS)』二(閑人亭日録)

日比野愛子ほか・編『科学技術社会学(STS)』新曜社2021年初版、「1章 自然」福島真人を読んだ。刺激に満ちた論述。《 だがSTSには、社会学的カント主義とは全く異なる理論的ルーツがあり、それがSTS内部での理論的言語の対をもたらしている。そ…

歓迎(閑人亭日録)

昼前、埼玉県から車で来訪の、友だちの初対面のメル友を広小路駅でお迎え。電車に乗って三島駅へ。駅の近くのそば兵衛で昼食。桜川を下って三嶋大社へ参拝。 鎌倉古道を西へ。信号をすぎて左折。路地裏へ。四の宮川を下り骨董店であれこれ品定め。そして我が…