2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『書物法廷』

赤城毅『書物法廷(ル・トリビュナル)』講談社文庫2013年初版を読んだ。四篇を収録。書物狩人= ル・シャスールが挑むミッション・インポッシブル。 《 ことが明るみに出れば、一国の政府がくつがえるような秘密が隠された書物だけを標的とする プロフェッ…

「夢の途上」

早朝、おかしな夢を見た。題して「東京駅爆破」。東京駅が自衛隊叛乱グループに乗っ取られれた。 東京駅と皇居は地下で結ばれている(?)。東京駅を占拠すれば、革命まであと一歩。で、爆薬を 地下通路や新幹線の線路への敷設。政府転覆を夢見る者たちの仕…

『俳句つれづれ草』その三

結城昌治『俳句つれづれ草 昭和私史ノート』朝日新聞社1985年初版を読み終える。 《 しかし、軍人の多くはそれほど潔くありません。本土決戦と一億玉砕の代わりに詔書必謹と 一億総ざんげが合言葉になりましたが、本土決戦を叫んでいた連中にとっては「国体…

「坂部隆芳展」「味戸ケイコ展」

新宿タカシマヤ、美術画廊できょうが初日の「坂部隆芳展」、銀座のスパン・アートギャラリーで 開催中の「味戸ケイコ展」へ行ってくる。お二人とも会場にいた。以下の感想を述べた。 坂部隆芳氏の「日本 平重盛」100×100cmの絵に驚く。50×100cmのキャンバス…

『俳句つれづれ草』そのニ

結城昌治『俳句つれづれ草 昭和私史ノート』朝日新聞社1985年初版を読み進める。 《 けれど、日本はもう中国侵略に深入りしてブレーキがきかなくなっています。そのあげくが十二月 八日の宣戦布告で、掲げた戦争目的は自存自衛と東洋平和のため、大東亜共栄…

『俳句つれづれ草』休み

結城昌治『俳句つれづれ草 昭和私史ノート』朝日新聞社、きょうはお休み。 私は物事を理解する速さがずいぶん遅い。早くても一晩過ぎてからワカル(わかったつもり)。 昨日の毎日新聞、「今週の本棚」は、本屋へ走りたくなる本ばかり。きょうになって椿事と…

『俳句つれづれ草』

結城昌治『俳句つれづれ草 昭和私史ノート』朝日新聞社1985年初版を少し読む。自分史とその時 その時の政治社会状況、それに関連する俳句を紹介する形式。彼の姿勢はこの一文で知られる。 《 しかし、敗戦後三十数年経ってかつての疎開先の町を訪ねると、人…

『終着駅』

結城昌治『終着駅』中央公論社1984年初版を読んだ。再読かも知れないが、忘れた。全六章。 敗戦後の混乱期から朝鮮戦争までの東京が主な舞台。全編殆どが独白と会話、手紙で構成される。 その向こうに見える庶民の姿。焼跡闇市の世の無常と無情。女に愛想を…

「踏切めぐり★探検隊!」

正午まで一時間半、伊豆箱根鉄道駿豆線三島駅から一つ目の三島広小路駅までの一キロ余にある 八つの踏切を見て歩くお散歩案内人を務める。昭和五(1930)年に刊行された『三島町著名案内圖』を手に、 三島広小路駅から御殿場線下土狩駅(旧三島駅)への軌道…

『豆相鉄道唱歌』

明日午前、伊豆箱根鉄道駿豆線三島駅から一つ目の三島広小路駅までの踏切を見て歩くイヴェントを 頼まれている。その準備で、昭和五(1930)年に刊行された『三島町著名案内圖』を十数枚コピー。 東海道線は昭和九(1934)年に開通なので、当時の三島駅は今…

『死もまた愉し』つづき

結城昌治『死もまた愉し』講談社1998年初版、後半部の俳句篇を読んだ。面白いと思った句を少し。 金欲しき秋風のけふ立ちにけり 幾百の蟻を跣(はだし)で踏みつぶす こがらしの町へ出でけり誰に逢はむ (『定本 歳月』より) 来(こ)し方(かた)の見わた…

『死もまた愉し』

結城昌治『死もまた愉し』講談社1998年初版、語りおろしの部分を読んだ。後半部のの俳句は明日に。 《 「死もまた愉し」は、平成七年二月から六月にかけて、延べ十時間にわたって結城昌治氏によって 語り下ろされたものである。結城昌治氏は平成八年一月二十…

『長い長い眠り』

結城昌治『長い長い眠り』創元推理文庫2008年初版を読んだ。1960年6月19日夜、明治神宮外苑近くの 林で会社社長の死後間もない毒殺死体が発見された。下半身はパンツのみ、靴もない状態で。容疑者は 妻と愛人、部下など五人。しかし、その中から犯人を絞り込…

『飢餓列島』

福島正実・眉村卓『飢餓列島』角川文庫1978年初版を読んだ。元版は1974年に出た。時代設定は1980年前後。 レコードはあっても、CDが話題にならないから。また、以下の文から。 《 たぶん北半球の寒冷化とそれにともなうトラブルとは、おそくて今世紀末には…

『SFロマン傑作選』

福島正実・編『SFロマン傑作選』旺文社文庫1984年初版を読んだ。九篇を収録。最初の小松左京 『ヤクトピア』は、題名から昨日の「ユートピア」のもじりだ。 《 おりしも、オートメーションの高度化と大普及が、全世界を一巡したころだった。── 超高級電子…

『世界文学にみる架空地名大事典』

寝る前に読む本は、というお題へのネットの一反応。《 『架空地名大事典』を横になって少しずつ読んだりするのは、安らかな眠りにはよいかもしれない。 》 本棚から『世界文学にみる架空地名大事典』講談社1984年4刷を取り出し読んでみる。監訳者高橋康也の …

「 湧水と緑の公園へ 」

グランドワーク三島が応募した「三島梅花藻の里『泉トラスト運動』の買収地と三島梅花藻の里を 一体的に整備する緑化プラン」が「 第26回緑の環境デザイン賞『国土交通大臣賞』」を受賞。 整備資金として八百万円弱をいただけることになった。 http://www.gw…

「蘭字と印刷‐60年ぶりに現れた最後の輸出茶ラベル- 」

清水のフェルケール博物館へ「蘭字と印刷‐60年ぶりに現れた最後の輸出茶ラベル- 」展を観にいった。 明治時代のラベルはじつに興味深いデザインで、外国へ売り込むぞ、という意気込みをひしひしと感じるが、 昭和二十年代のラベルは勢いがぐんと落ちる。茶業…

『増補 二十世紀を騒がせた本』つづき

紀田順一郎『増補 二十世紀を騒がせた本』平凡社ライブラリー1999年初版を読了。 論評されている本は、フロイト『夢判断』、ヒトラー『わが闘争』、ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』、 ミッチェル『風と共に去りぬ』、ルィセンコ『農業生物学』、アンネ・フ…

『増補 二十世紀を騒がせた本』

昨日降った雪で、富士山は白い冠。うーん、美しい。 昨日の毎日新聞、「今週のG読書」、村上春樹『職業としての小説家』への沼野充義の評から。 《 村上氏が雄弁に主張しているように、作家にとって何よりも大事なのは「良き読者」と「個人の資格」 である。…

『ミステリー列車が消えた』

西村京太郎『ミステリー列車が消えた』新潮文庫2004年52刷を読んだ。乗客四百名、全長二百五十メートルの 「ミステリー列車」が東京駅を出て忽然と消えた。身代金十億円が誘拐犯から要求される。ワクワク・ワクワク。 奇想天外な、でもあり得るトリックだ。…

「深い亀裂によって切断」

和太鼓の演奏に何かしら物足りなさ、不満を抱いている。ドンスコドンスコ、力士が四股を踏むするような 重く鈍い音に、どこかしら違和感を感じている。2日に取り上げたシェイク・ロー CHEIKH LO のCD 『BALBALOU』2015年を聴くたびに、太鼓(トー…

『彫刻家』

飯田善國『彫刻家 創造への出発』岩波新書1991年初版を昨日引用して気になり、久しぶりに再読。 これはいい。読書の悦楽=共感と発見、蒙を啓かれる喜びがある。なりゆきで再読して正解。付箋が草むらのよう。 今回最も印象深かったのは1958年の秋、ヴェネチ…

『こなもん屋うま子 大阪グルメ総選挙』

寒露というだけあって、今朝は冷えた。掛け布団を羽毛布団に替えて正解。 午後は街中をウロウロ、あちこち歩きまわる。源兵衛川を軸にしたいろいろな視察の依頼が来ている。 それぞれの目的に沿った、または目的を満足させうる行程を考える。何事も下ごしら…

「一流 一級 特級」

朝は雲一つない晴天。富士山の稜線が美しい。富士山は一流であり一級である。手元の辞書には 一流とは「1 第一等の地位、2 一つの流儀、3 他とはちがう独特の流儀」とある。ここでは私は 「第一等の地位」で使う。一級とは「1 一つの階級、2 等級の第一…

「線・面 宙・空 虚・無」

森有正の『遙かなノートル・ダム』角川文庫1983年初版、後半も読了。多くが日本文化と 外国文化の問題をめぐった論述。前半に劣らず後半も読み応え充分、いくつか分かれる見解もあり、 再読の要を感じた。最後の「滞日雑感」から。 《 あれほどパリとリヨン…

『遙かなノートル・ダム』つづき

森有正の『遙かなノートル・ダム』角川文庫1983年初版は、なかなか深い内容をもっている。 なかなか、と書くと傲慢な気がするが。ま、惹きつけられた。森有正流に書けば牽きつけられた。 昨日の「霧の朝」につづいて同年の1966年発表された「ひかりとノート…

『遙かなノートル・ダム』

昨日の山田稔『コーマルタン界隈』でパリにどっぷり浸かったので、パリを生涯の地と定め、 パリで1976年に65歳で亡くなった森有正の『遙かなノートル・ダム』角川文庫1983年初版を開いた。 元版は1967年に筑摩書房から出版。冒頭の力作評論「霧の朝」から。 …

『コーマルタン界隈』

山田稔の連作小説集『コーマルタン界隈』河出書房新社1981年初版を読んだ。パリのコーマルタン通りの 一隅に部屋を借りた日本語教師の男が体験する日常の出来事、パン屋のおばさんから疲れ気味の売春婦まで、 八編で様々な人間模様が綴られる。フランス風に…

『BALBALOU』

ネット注文したセネガルのベテラン歌手シェイク・ロー CHEIKH LO のCD『BALBALOU』 2015年が昨日届いたが、昨日の毎日新聞夕刊に彼の記事「スキヤキ・トーキョー2015」が載っていた。 《 その初日となる8月25日の出演者は、中米ホンジェラス…