感想に頭を使う(閑人亭日録)

 個人短歌誌、業界紙連載記事、葉書等届いた文面に目を通す。さて、どんな感想を認めるか。いつも悩む。さらに困るのは、字がさらに下手になったこと。パソコンに入力すれば読みやすい字体が並ぶのは楽~だが、ここには プリンターが無い。一件はメールで感想を送ったが、他は手書き・・・か。ふう~。

 ネットの見聞。
《 【まとめ】小林製薬「紅麹」問題 自主回収の製品は? 菓子や味噌、調味料にも… 》 東京新聞
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/318171

生動力 静動力 制動力(閑人亭日録)

 私の推す美術家たちの特徴を表す生動力、静動力、制動力という漢字が浮かんだ。アルファベットでは思いつかない言葉。簡単にメモ。

  ・生動力 上條陽子 奥野淑子 佐竹邦子 白砂勝敏
  ・静動力 味戸ケイコ
  ・制動力 北一明

 作品から美術家の生命力の勢いを直(じか)に感じ取る。瑞々しい情動の源泉を生動力と呼ぶ。
 作品から美術家の深く沈潜する静けさを感じ、その深みにひっそりと息づく心を静動力と呼ぶ。
 作品から美術家の手腕により釉薬と造形の前例を見ない創造美を焼成した能力を制動力と呼ぶ。

LED照明(閑人亭日録)

 昨日、書斎の照明を電球からLED照明に替えたが、その効果に驚く。北一明の耀変茶盌に顕著だが、耀変が鮮烈に現れる。いやあ参ったわあ。技術の進歩は侮れない。

 「アブソリュート・チェアーズ」なる椅子の展覧会が埼玉県立近大美術館で開かれている。
 https://pref.spec.ed.jp/momas/2023absolute-chairs

《  開館当初からデザイン椅子の名品を館内に設置してきた「椅子の美術館」が、従来のデザイン椅子展とは異なる新しい視点から「椅子」というテーマに挑みます。 》

 ウェブサイトを見た限りでは白砂勝敏さんの制作したような椅子は見当たらない。
 https://shirasuna-k.com/gallery-2/wood-sculptures-chair/
 私の推す白砂勝敏、北一明、つりたくにこ、そして奥野淑子。日本の美術界では・・・。

『記憶と芸術』九(閑人亭日録)

 丸川哲史「戦前の記憶と戦後の生  太宰治における天皇・メディア」から。

《 これから述べることは、決して言葉遊びではない。すなわち、そのように始まった戦後民主主義なるものの複雑な曲折があり、そこで「人間宣言」ならぬ『人間失格』という題名の作品が書かれることになった、と筆者は考える。繰り返すが、天皇が自身は「人間になる」とは言ってなかったし、また事実としても「人間」にはならなかった。「象徴」という抽象的装置へと己を純化していったこと──このことによって、かつての「臣民」は、「国民」へと成長することができずに行き場を失った、とも言えるかもしれない。 》 371-372頁

《 明治以降、十五年と間隔を取らず戦争を重ねてきた日本は、その〈君主─臣民〉という動員装置を、ついに日本の民衆自らの手で解体することができず、うやむやの内に忘却(封印)してしまったかのようである。 》 373頁

 中村高朗・虎岩直子 編著『記憶と芸術 ラビリントスの谺』法政大学出版局2024年3月4日初版第1刷発行を読み終える。
 https://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-41039-0.html

 午後、書斎の照明を電球から円型のLED照明に替える。壁の本棚が鮮明になる。活字や絵がはっきり見える。よかった。 百ワットの電球と併用して灯りの効果を楽しむ。

つりたくにこ続報(閑人亭日録)

 夕方、つりたくにこさんの夫高橋直行氏から電話。ポンピドゥー・センターの企画展は、マンガ月刊誌『ガロ』で活躍した五人の漫画家、阿部慎一、勝又進つげ義春林静一そしてつりたくにこの五人展。6月から11月まで長い展示になる。『ガロ』について。
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%AD_(%E9%9B%91%E8%AA%8C)
 1967年~1972年の『ガロ』や増刊号も展示しようかな。

 

ネットの見聞。
《 そして驚くべきことに、
  今年のフリーの表現は、昨年よりさらに重厚さや深遠さを増していた。

  昨年よりさらに「点数に評価されない次元」の高みへ向かおうとしていた。
  高難度ジャンプ偏重のフィギュアスケートではなく、
  フィギュアスケートの始原へ、
  フィギュアスケートの域を超えた始原の未知の表現の深みへと。

  またぜひとも情熱でたぎるような宇野昌磨の演技を見たい。 》 福山知佐子「宇野昌磨 フィギュア世界選手権2024」
  http://chitaneko.cocolog-nifty.com/blog/2024/03/post-092150.html

「つりたくにこ展」再び(閑人亭日録)

 来年六月、「マンガ家つりたくにこ没後40年、つりたくにこ展」を開催する企画を立ち上げる。故つりたくにこさんの夫、高橋直行氏から返事のメール。

《 いいですね。今年5月から11月迄ポンピドゥーで原画五点が展示され、来年三島の画廊で引き続き観てもらえる機会をつくって戴ける。嬉しい企画です。よろしくお願いします。 》

 2010年、「没後25年 つりたくにこ展」をK美術館で開催。15年後、彼女の命日六月十四日に合わせて近所のギャラリーで行う。
 「没後40年 つりたくにこ展」 2025年6月11日(水)~6月16日(月) ギャラリー Via701
 https://via701.com/
 平野雅彦さんの2010年のブログから。
 http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1388.html
 日本および海外で出版された作品集。
 https://www.amazon.com/Books-Kuniko-Tsurita/s?rh=n%3A283155%2Cp_27%3AKuniko+Tsurita

『記憶と芸術』八(閑人亭日録)

 虎岩直子「W・Bイェイツとヒューマス・ヒーニーをめぐる記憶」結び近く。

《 空っぽで自由だからまた別のものと繋(つな)がっていく。「記憶」とは刻々と変化していく現在生きる個人あるいは共同体が保持している過去(であるから記憶の形も刻々と変化しているのであるが)のイメージであり、「希望」とはやはり刻々と変化している現在の個人あるいは共同体にとっての「未来」についての肯定的な期待である。(引用者・略)芸術家は過去のあるイメージに触発されて、「芸術」という形をつくって未来の読者にはたらきかける。(引用者・略)しかし、「記憶」は「芸術」となるとき、個人的連環あるいは共同体の追悼から外れて「エンブレム」となることを目指す。 》 314-315頁

 ネットの見聞。

《 防衛費の半分を占める「兵器ローン」 ますます借金しやすくする法が成立、防衛費全体が膨れ上がる恐れ 》 東京新聞
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/317949