息つく間 /関東ローム層

 昨夜はシャンソン歌手ジャック・ブレル( JACQUES BREL 1929-1978)最期のLPアルバム「偉大なる魂の復活 Les Marquises」1977年を聴く。艶のある声の奥から響いてくる人生への深い観照に気づく。30年前にはこまで感じ取れなかった。「悲しみのオルリー ORLY 」ほか名曲名唱ぞろいだ。
 ジャズ・サックス奏者アルバート・アイラー( ALBERT AYLER 1936-1970 )のLPアルバム「 マイ・ネーム・イズ MY NAME IS 」1965年を聴く。A面最後の「サマー・タイム SUMMERTIME 」にやっぱりはまる。輸入盤の ERIK WIEDEMANN の解説。

「 Summertime was the most extraordinary recording of this session, 」

(「サマータイム」は、今回の演奏では一際飛び抜けていて、)

 ジャック・ブレルもアルバート・アイラーも、歌唱と器楽の違いはあっても、その「息つく間」に息を呑む生の深淵を提示するという共通の超絶技巧をもつ。

 細かな雨筋なので徒歩で美術館へ。沈丁花の強い香りがふわっと身体を包む。くすんだ情景に菜の花の黄色が目立つ。雀たちが地面をついばんでいる。

 大倉崇宏「無法地帯 幻の?を捜せ!」双葉文庫2007年を一気読み。宣伝文から。

「空前の『食玩 』ブームにより、400万円のプレミアがついたレアグッズをめぐる争奪戦が勃発。怪獣大好きのヤクザ、食玩コレクターの私立探偵、モラルゼロのオタク青年──。幻の?を奪い合う、仁義無き戦い。」

 「怪獣文芸アンソロジスト東雅夫の解説から。

時価数百万円の幻の絶版プラモデルをめぐって、ヤクザと探偵とあぶないコレクターたちが熾烈な争奪戦をノンストップで繰りひろげる本書を息つく間もなく読み終えたとき、読者はオタク世界の驚くべき実態と最新情報にひととおり通じているという寸法である。」

 そのとおり。愉快痛快、タメになる。誰かにオススメしたい本だ。でも、相手を選ばないと。んなことを思って岡崎武志のブログを開くと、24日のお題が「関東ローム層と若者たち」。霞流一ならば「関東労務荘とバカモノたち」だな。ミステリ作家霞流一の24日のブログは「ロング・ドッグ・バイ」。正統派バカミス・オタクだ。