グループ展初日

 昨日賑やかに展示の終えた女性十人による絵画展の初日は抜けるような秋晴れに恵まれた。富士山は白雪が頂上付近から下へだんだん降りてきている。白いレースのよう。美しい。

 夏目房之介「不肖の孫」筑摩書房1996年初刊は、彼の母方の祖父、三田平凡寺に興味があって読んだのだけれど、他の雑文のほうを面白く読んだ。ふむふむ、そうかあ、と妙に納得させる愉快なエッセイが幕の内弁当のように詰まっている。第二章「食い方の傲慢」、鍋料理の項「鍋と愛を煮詰つめて」。「愛と死を見つめて」→「鍋と愛を煮つめて」。ウマイ。

《新宿とか池袋とか、田舎者のあつまる繁華街のネオンに氾濫するナントカ鍋! そういう街を小型にしたような赤ちょうちん横丁をいろどるカントカ鍋! あれらの鍋群はみんな"都会の中のフルサト"を標榜しておるわけね。》

《会社とラッシュと不倫で疲れたおじさんが、つい「無礼講、無礼講!」などと叫んでしまい、その実きっちり中間管理職による部下懐柔の場だったりする郷土料理屋。地方出身の学生達が合コンなどと称して人恋しさやウサや下心を煮こんだりするのが、そういった場所の鍋なのである。》