「書物迷宮」

 赤城毅の名は、毎日新聞2012年12月9日の「今週の本棚 2012年この3冊」 で、東大教授加藤陽子赤城毅『書物審判(ランキジション)』講談社 ノベルスを挙げていて知った。

《 赤城毅の書物狩人シリーズは本好きにはたまらない。 》

 踵を接するようにネット上であまりに低い評価を目にした。迷ったが、 そのシリーズの旧刊を買った。

 「ル・シャール(書物狩人)」第二作『書物迷宮(ル・ラビラント)』 講談社文庫2011年初版を読んだ。四話収録。ガルーシア・ ロルカの幻の詩集、一九四五年八月の、関東軍と満鉄のごく一部にしか 配布されなかった臨時特別時刻表、某国家元首を証明する先祖伝来の書物、 ナチス・ドイツが開発した細菌兵器の培養・使用要領書。

《 「世に出れば、一国の政治や経済までも揺るがしかねない本を、合法 非合法を問わず、あらゆる手段を用いて獲得する、書物狩人と呼ばれる ひとびとがいる。」 》 「第1話 書肆に入りきらぬ本」

 前作同様、国家を超えた虚虚実実の駆け引きの末に明かされる仰天の真実。 いやあ面白い。脱帽。加藤陽子の解説から。

《 その力量たるや、作家の力量の埋蔵量を測る点では人後に落ちないと 自負する書痴(ビブリオマニア)としての私の本能が、二〇〇五年に惜しま れつつ亡くなったトレヴェニアンに比するべきものと告げるほどである。 》

 トレヴェニアン。本棚には六冊の本が読まれるのを待っている。

 ブックオフ長泉店で四冊。越後島研一『現代建築の冒険』中公新書2003年 初版帯付、高木貞治『数学小景』岩波現代文庫2002年2刷、谷川俊太郎『詩っ てなんだろう』ちくま文庫2007年初版帯付、銀座百点編『銀座24の物語』 文春文庫2004年初版帯付、計432円。

 ネットのうなずき。

《 人類とは言わない。日本人には原子力を扱うのは無理。能力も危機意識 も低すぎる。 》 藤岡真

 ネットの見聞。

《 安倍は人口一億人を維持するといっていますが、人口が増えて喜ぶのは、 安い労働力と大量の消費者が欲しい多国籍の大企業だけです。資源が同じで あれば、世界人口が半分になれば、人々はずっと幸福になれます。 》  池田清彦

《 日本通のアメリカ人社会学者が「アメリカの大学の研究教育環境が、 何だかんだ言っても、常に日本よりもマシなのはどうしてか?」という問 いに対して「アメリカには文部科学省がないからね」と答えていたことは、 とても人には言えませんので、墓場まで持っていこうと思っています。 》  吉田寛

《 歴史上、米軍が日本の防衛のために血を流したことは一度もない。
  石破氏などに国防を語る資格はない。 》 元自衛官