古いけどいい

 昨日話題にした坪内逍遥「役の行者」は戯曲だった。小説版の「神変大菩薩伝」を読む。いやあ、気宇壮大、雄渾な筆致に変転極まりない展開で一気に読ませる。和漢に通じシェイクスピアを訳している作者ならではの面白さだ。飛鳥時代なのにラバース、モーション、キッスなんて文句が飛び出すんだからあ。すんごくモダン。
「とはいえ親と親とは敵どしである。縁談はおろか、二度と逢う機会さえも得がたいので、二人とも焦がれぬいたが、恋人(ラバース)の本能的才略は格別なものと見え、どこをどう取回してか、いつの間にやら恋文のやりとりをはじめた。初めにモーションを掛けたのは女で、男はいよいよの間際まで、とかく因循で、臆病であった。何となく女という者がおっかなく感ぜられたのであった。いや、むしろ翁の怒りとその予測しがたい結果とを怖れたのであった。」第四巻より
 脇役の話だけれど、これはモロ「ロミオとジュリエット」だあ。

 ブックオフ長泉店で「日本語大辞典」講談社1989年初版カバー函正誤表付美本105円。某会社の記念品として配られたもの。それにしても重い。

 芥川賞直木賞の予想記事が面白い。私も予想外でした。