悲惨と快楽

 昨日の鮎川信夫の時事コラムは盲点を突くが、書評も鋭い。「松本重治『昭和史への一証言』」から。
「何を隠そう。激動の昭和史をつくりだした張本人は、明治生まれの日本人なのだ。」
「昭和史を解く鍵が、日本の近代化だというのは、一つの仮説にすぎないかもしれない。しかし、その主役が明治生まれだというのは、まぎれもない事実である。」
「戦後生まれといえども、明治生まれの日本人が敷いた軌道の上を遮二無二走らされているのである。」

 激動の昭和史からイメージされるのはやはり日中戦争〜太平洋戦争の十五年戦争だ。戦争→悲惨という構図だけでは何故に戦争?の解明につながらない気がする。笠原芳光のコラム「悲惨と快楽」毎日新聞1983年4月19日付。
「戦争が真に恐ろしいのは、それが快楽でもあるからではないだろうか。」
「戦争の半面である悲惨のみが強調され、その半面の快楽については、あたかも禁忌であるかのように語られていないのである。」
「民衆を喜んで国家と一体化させるところに戦争の恐ろしさがある。」

 横浜桜木町の老舗ジャズ喫茶ちぐさが今月末で閉店とか。行かないうちに終わってしまう。ひっそりと消えてゆく店がほとんどのなかで・・・。K美術館はどうだろう。