10月22日(月) 夜のお散歩

 きょうは休館日。昼食前に自転車でブックオフ三島徳倉店へ行く。大庭みな子「浦島草」講談社1977年初版、中村真一郎「俳句のたのしみ」新潮文庫1996年初版、計210円。前者は評判を知って。

 夕食前に知人の案内で見知らぬ夜道をお散歩。なんか暗い街灯が昭和三十年代の夜を思い起こさせる。二十円三十円の品物が並ぶ駄菓子屋、店の前の影絵の人に挨拶する知人、どからか漂ってくる夕餉の焼き魚の匂い、オシャレに構えた洋品店の文字。夕闇の二人をふっと照らして去ってゆく自動車。失われた帰らざる風景が津波のように押し寄せ自分を一気に飲み込む。気がつくと靴音だけがコツコツと響いている。タイムループしたような。

 夜はNHKテレビで数学の難問「ポアンカレ予想の証明」を観る。「百年の難問はなぜ解けたか」その理由が位相幾何学以外の数学や物理学の援用というのは考えさせられた。横断する知識をもつ者だけが解ける難問がある。それは世界の現状にたいして実に暗示的だ。それにしても、証明されたことはわかったが、その内容を数学者が理解できなかったのには笑った。