櫻井順「オノマトピア 擬音語大国にっぽん考」電通1986年を読む。
「日本人の共通感覚が織り出した独特の世界」
という独自の視点からオノマトペが論述されているこの本は、博覧強記の笑える例証がじつに興味深くて愉快。
「当時の江戸っ子としてみれば、経済的実力の伴わぬ二本差しなど屁のカッパであり、カツオ武士の< ブレイモノ>呼ばわりに対して<ベランメエ>と尻まくってB音をB音で切り返したのは放屁の穴ロジーだった。ちなみにベランメエとはベラ棒の音便で、ベラ棒とはゴク潰し=サムライ、というシャレ。」
「世の中は澄むと濁るのちがいにて」の狂歌の下句
「人が茶をのみ、蛇が人をのむ」
「福は徳なり、河豚は毒なり」
「党に献金、議員に現金」
に続いて私はこうだな。
「疾うに現金、議員は厳禁」
オソマツ。
こんな話題も。詩人のねじめ正一は言う。
「<'60年代のハプニングはこわすことだった。こわす相手が見えていた。しかし今の時代、こわしたくても相手が見えない。情況は変った。そこでずらす>
三浦カズヨシをTVで見てその語り方が自分のコトバ使いに酷似していることに仰天したという。」
ブックオフ長泉店で二冊。丸山昇「上海物語」講談社学術文庫2004年2刷、中嶋繁雄「日本の名僧100人」河出文庫1993年初版、計210円。