5月19日(月) 休館日

 昼食前に四の宮川で一時間ほどホタルの餌のカワニナを採取。三島ゆうすい会会長宅へ届ける。喜ばれる。

 昨日の毎日新聞書評欄、丸谷才一「蝶々は誰からの手紙」マガジンハウスへの中村桂子評。
「『読書といふ快楽への誘惑者として最高の人』として紹介されている故向井敏
 の「本のなかの本」毎日新聞社1986年刊は、毎日新聞の連載をまとめたもの。中井英夫「虚無への供物」が新聞に掲載されたとき(1983年)、中井氏に電話で教えたけど、氏は向井敏をご存知なかった。そんなものかもしれない。
「構成は緻密、文体は巧緻、謎の組み立てといい、トリックの工夫といい、推理の展開といい、華麗にして多彩、これほど贅をきわめ、ペダントリーの粋をつくしたミステリーはめったにあるものではない。」

 吉行淳之介丸谷才一開高健編「現代日本のユーモア文学」。
「なにも文学にかぎった話ではないのだが、わが国では深刻で重々しい作風をむやみとありがたがる文学慣習が今なお根づよい。」
「ユーモア文学といえばちょっとしたお笑いを供するだけの次元の低い読物とみなされがちだ。」
「読むうちに、ユーモアこそ文学の要をなし、作品の成否を決しさえもする、きわめて貴重な資質であることにいやおうなく気づかされよう。」
 という1985年の指摘は、今もそのまま通用する。
 樋口有介「木野塚探偵事務所だ」創元推理文庫2008年の「創元推理文庫版あとがき」。
「たしかに名作とかナントカ賞受賞作にユーモア小説は、見かけませんけどね。」
 結局は、文芸批評家、評論家、学者ら専門家の側に、問題があるようだ。明日からの企画展では、ユーモアのある作品もいくつか展示している。それにしても、ユーモア感覚はいろいろ難しい。