味戸ケイコ展最終日/お手上げ

 ボッスの祭壇画に「乾草車 TRIPTYQUE DU CHARIOT DE FOIN 」なる絵がある。奇妙な題で不思議な絵だなあと思ったきりそれ以上追求しなかったけれど、画集「ボッス」中央公論社1982年の千足伸行の説明を読んでその寓意を納得。

「『世のなかはひとつの積藁の山であり、だれもがそこから少しでも多くをむしりとろうとする』という諺が当時のフランドルでは広く流布しており、、また『つまる所すべては藁と同じこと』のリフレーンで終わる当時の俚謡も知られており、この主題をボッスがとり上げたのは不思議ではない。」

「愚行と私利私欲のみまかり通るこの救いようのない世界(雲のなかのキリストのまさに『お手上げ』のポーズがすべてを語っている)にあって、」

 お手上げには笑った。現代の世相そのまんまだ。お手上げといえば、自宅と美術館の間で最近閉めた店は、洋服店三軒、語学教室、ラーメン店、整体店、居酒屋。私もお手上げにならぬよう頑張らなくては。

 最終日というので、地元有線テレビで観られた方や味戸さんのお友だちが来館。きょうはうららかな陽気。人が途切れて…… うつらしたらお客さんご来館。いけねえいけねえ。