企画展初日

 午後、三島テレビ放送の取材。放送時間が五分間なのでありがたい。

 建築三酔人「現代建築ほめ殺し」新潮OH!文庫2001年を読んだ。「ほめ殺し」ではななく「ほめ倒し」という印象。

「豪傑 われわれは悪口を言っているのではない。タイトルにある通りほめているんですね。」

「先生 そう、口を極めてほめている。ただ『ほんとうのこと』を言うと、それが批判的だと受け取られがちなだけで。」276頁

 以下、興味を惹いた箇所。

「先生 完成したときの評価と、その後の時代を経た評価というのはたしかに違うけれども、でも、本当の名建築というのは絶えず新しい意味をもって評価されているものだ。」196頁

「先生 『俺は人とは違う表現をしたい』というときに、崩したり、潰したり、ずらしたりした人は、その先の展開がすごく難しいのね。ひたすら潰しつづけるのか……。」228頁

「豪傑 プラスチックとかでつくった前衛的な現代芸術なんかも、気がつくとボロボロになっちゃう。保存のしようがない。それが美術館に残されて、そこで朽ちていくというような哀れさがある。だから自分の作品はしっかり残そうと思う画家は、絶対に定評のあるもの、たとえば油絵でも、残る絵の具を使うわけでしょう? 写真家だと白黒を使うとかね。」 252頁

「先生 中に入ると、『すごいなあ。こんなに何もない空間を吹き抜けでつくって』と圧倒されるよ。もったいないを超えて、ごもったいない。『多目的ホール』というより、"無目的ホール"。」278頁

 東京有楽町の東京国際フォーラムのこと。同感。無駄にデカイ。六本木の国立新美術館も同類か。