風一つ咳一つ

 昨晩、大学生と語らう機会があった。都内の女子大生と、テレビはNHK綜合、教育、テレビ東京の三局が面白い、で意見が合う。NHK綜合と教育は、若い人に見てもらおうと、一生懸命考えて番組作りをしている。テレ東は、資金が乏しいから今までにない番組作りに知恵を絞っている。別の女子大生は、靴のデザイナーになりたいと言う。では「踏まれ強い」靴を創らなくっちゃね。彼女、小学生の時に履いていた靴を今も捨てられずに履いているという靴大好き女子。男子より女子のほうが元気だなあ。

 朝、参議院補欠選挙の投票を済ませる。投票率が低いからこそ面白い結果が出る、かな。

 《言葉のイタズラ派》藤富保男詩集「風一つ」思潮社1974年を読む。1〜45までの四十五編の短詩を収録。その39。

  一人が垂直形の思考を/石に坐ってやっている/上で/一人が絶望の枯れ枝に/引っかかった存在から/叫んでいる/カァ

 その38。

  古い道を蜘蛛のようにあるいた

  咳の煙

 連想。

  咳をしても一人  尾崎 放哉

  晩餐や不在を飾る咳一つ  加藤郁乎

 加藤郁乎(いくや)は書いている。「藤富保男は天災だ。」

 ブックオフ長泉店で単行本半額セール。アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」早川書房1995年15刷帯付、マイケル・バー=ゾウハー「影の兄弟(上・下)」早川書房1995年初版、グレイス・ペイリー「人生のちょっとした煩い」文藝春秋2005年初版、計208円。