展示準備完了

 展示した絵画の下に作者名を印字した紙片をつける。制作年は入れたが作品名は省いた。絵をまずよく観てもらいたいから。準備完了。

 内田樹の11日のブログの話題「SCANとREAD」はじつに示唆に富む。

《本を開いてぱらぱら頁をめくっていれば、それはすでに「読書」である。/というのは、読書には少なくとも二つの形態がありうるということである。/一つは「文字を画像情報として入力する作業」、一つは「入力した画像を意味として解読する作業」である。/私たちが因習的に「読書」と呼んでいるのは二番目の行程のことである。/しかし、実際には、画像情報が脳内に入力されていなければ、私たちは文字を読むことができない。》

《私たちは言語記号を二度読んでいる。/一度目は画像として、二度目は言語記号として。/この行程をそれぞれ、scanと read と言い換えてもよい。》

《scanとは、単純に言えば、「ひたすら文字を見つめる」ということである。/タイピストが意味もわからず手書きの原稿をフルスピードでタイピングするように、文字画像をひたすら大量にかつ高速度で脳内入力する。/このscanという予備的行程が適切になされていないと、次のreadの段階には進めない。》

 5日に取り上げた太田忠司お気に入りシリーズから都筑道夫「ろくろっ首」(「ちみどろ砂絵」光文社文庫収録)、法月綸太郎「死刑囚パズル」(「法月綸太郎の冒険」講談社ノベルス収録)、二階堂黎人「密室のユリ」(「ユリ迷宮」講談社ノベルス収録)、山口雅也「曲がった犯罪」(「キッド・ピストルズの冒涜」東京創元社収録)を読んだ。「曲がった犯罪」に脱帽。じつに巧緻なミステリだ。