奥泉光「葦と百合」に大江健三郎「万延元年のフットボール」の影を感じた。後者は四国の山奥の旧家が中心舞台、前者は山形県の山奥の旧家が中心舞台。後者では幕末の一揆が鍵、前者では江戸時代の騒動が鍵。後者は地元の若者の組織化の挫折、前者では都会周辺から移住してきた若者たちのコミューンの挫折。その他、文体など共通する要素がいくつもある。読み進める最中、ずっと関連を感じていた。
昨日はブックオフ三島店が単行本半額セールなので、105円棚から三冊。島田雅彦「彗星の佳人」新潮社2001年初版、中野好夫「シェイクスピアの面白さ」新潮選書2001年40刷、山内昌之「スルタンガリエフの夢」東京大学出版会1986年初版、計156円。きょうはブックオフ長泉店で半額単行本が三冊1000円なので三冊。古川日出男「アラビアの夜の種族」角川書店 2001年初版帯付、「カフカ小説全集2 審判」白水社2003年4刷帯付、「カフカ小説全集5 万里の長城ほか」白水社2001 年初版帯付、計1000円。三冊とも開かれた形跡が無い。新刊そのままが嬉しい。カフカの訳は池内紀(おさむ)。「文藝春秋 特別版 一冊の本が人生を変える」2005年の鼎談「決定版・世界文学全集を編集する」で、三浦雅士が「カフカは池内さんの訳が秀逸です。」と発言。
昨日、東広島市の詩人、井野口慧子女史から雑文集「深い永遠の中へ」メディクス2008年初版帯付を恵まれた。一通り目を通す。地元の水源の森に産業廃棄物処理工場が建ち、反対運動もむなしく荒れてしまったいきさつに心が痛む。
≪来年三月、やはり銀座で安房直子作「夢の果て」の最後の個展をする味戸さんも、「金箔が使いたくなってきたわ」と、口走っている。これまで息をひそめたような静かで"かそけき"世界を描いてきた味戸さんの変化に、少々驚いた。 ≫178頁
その銀座の画廊は、スパン アート ギャラリー。