共感のなかの隔たり

 富山県高岡市から来館者。富山県の方は初めてじゃないかな。駅で借りた自転車で柿田川を見て来館されたので、美術館を閉めて窪の湧水、境川・清住緑地の泉をご案内。カワセミが飛んでいく。清住緑地の南は養魚場と巨大釣り堀。車のナンバーは沼津、伊豆……尾張小牧、京都、長野、浜松、品川、練馬……。

 昨日読了した椹木野衣(さわらぎ・のい)「なんにもないところから芸術がはじまる」新潮社は、現在生起しているアートの現場を丁寧に解説。共感する箇所が多いけれど、隔たりを感じる箇所も。

 ブルース〜アート・ロック、プログレッシヴ〜パンク〜ニューウェイヴそしてノーウェイヴ(170頁)と、音楽を捉えるのが椹木氏。ブルース〜モダン・ジャズ〜フリー・ジャズ〜ワールド・ミュージックと関心が流れていった私は、ロックにはほとんど関心が向かわなかった。大竹伸朗が椹木氏、赤瀬川原平が私。

≪ゴミの山で立ち尽くす赤瀬川と大竹、その境地は、廃物のなかにこそ乗り越えられぬ「師匠!」がいる、という点では完全に一致する。もっとも、両者をめぐっての最大のちがいも、この「師匠!」に対していかに振舞うか、という一点にかかっている。≫242頁

 西武池袋線沿線、練馬の界隈で椹木氏が名前をあげるのは手塚治虫熊谷守一中村宏池田龍雄ら。私は椹木氏のあげなかった「夢師」初山滋。明日は共感した箇所を。

 ネットの拾いもの。

≪寿退社した人の披露宴に招待されたから、何人かの同僚と先輩の車に乗り合いで行ったんだけど、私は披露宴なんて初めてで不安だったので、ご祝儀これだけでよかったかなって話を車内で皆にふってみた。
皆が自分のお祝儀の中身を言う中で同僚のSは「私?持ってきてないよ?」と言い放った。
それは洒落ですまない、今からでもいくらかおろしてこい、祝儀って言うのはお祝いの気持ちを表す物だから0円はまずいと皆にワーワー言われ出して
「うるさいなー、だいたい自分で招待しておいて金取る方が非常識じゃん!」
と逆ギレ。車を止めての大論争になったんだけど、ここまで黙って話を聞いてた先輩が一人場違いなほど穏やかに
「Sさん、そこの自販機で全員分の飲み物買ってきてくれる?」と頼んだ。
「え〜!なんで私が!?」
「歩道側に座ってて近いじゃん。それに外の空気吸って気分変えてきたら?ほら、細かいおつりはあげるから」
しぶしぶ五千円札を受け取ったSが外に出ると先輩は私にSのバッグを歩道に放り出すよう指示して彼女をそこに残したまま車を発進させた。
すぐに先輩の携帯にSから電話が入ったけど
「祝う気持ちのない人を式場に連れて行くわけにはいきません。
そこから歩いてすぐ駅だから今日はもう帰りなさい。渡したお金で切符代は足りるはずです。
運転中の携帯は危ないのでもう切りますよ」
と一方的に通話を終わらせて電源を切ると私たちに
「君たちも式場で鳴るとみっともないから携帯の電源は切っておきなさい」
と言った。

式場でSの車内における言動を上司に注進しておいたので月曜には彼女の処分が決定すると思います。≫

 6日(木)は休館します。