「今日本を取りに来ないと」。朝からギョッ。「きょう本を取りに来ないと」だった。
昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。太田忠司『奇談蒐集家』東京創元社2008年初版帯付、マッド・アマノ『マッド・アマノの「謝罪の品格」』平凡社新書2008年初版、計210円。
昨日の鮎川哲也『モーツァルトの子守歌』で興に乗り、「三番館」シリーズ第一集『太鼓叩きはなぜ笑う』徳間文庫1982 年初版を読んだ。元版は1974年に出ている。昨日の第六集『モーツァルトの子守歌』が1992年刊だから二十年ほど書き継がれたシリーズだ。二十年の間には書き手の筆力というか内容がパワフルから恬淡へと変化している。登場人物は歳を取らない。トリックも歳を取らない。最初の一篇「春の驟雨」は、解説で中町信が書いている。
≪秀作ぞろいの四篇の中でも、とりわけ、「春の驟雨」のトリックは意表をつき、作品の出来ばえも見事なものです。≫
同感。「春の驟雨」から。
≪ついでに言っておくと、わたしの年収は三百万でしかない。≫
四十年ほど前の三百万……。表題作「太鼓叩きはなぜ笑う」から。
≪「珈琲がいいな」
「ウインナになさいますか」
ぐっと返事につまった。珈琲にもウインナだのサラミだのがあるとは知らなかった。≫
それにしても「太鼓叩き」が……ジャズ・ドラマーだとは。