最大の原因の一つ

 K美術館のウェブサイトは、私が html から文字を一つ一つ打ち込んで作っている、文字通りの手作りサイト。十年近く前に作り始めた。慣れてしまうと、どこかに見落としが出てくる。手順の一つを落としているのに今朝気づく。

 昨夜はNHKテレビ漬けだった。八時からは「ワンダーXワンダー」、「情熱の誘惑!アルゼンチンタンゴ」。ブエノスアイレスのタンゴダンスコンクールでアルゼンチン男性と日本人アラフォー女性の組がなんと優勝。日本の女性タンゴダンス愛好者の多くがキャリア・ウーマン。ダンスにはまった最大の理由が「男に身を委ねられるから」。なんか切ない。

 九時からは「宇多田ヒカル〜今のわたし」。まあ、これはそのまんまだ。視聴後お風呂。十一時からは「東京カワイイTV」。「アキバ美人すぎる!すし職人」。カワイイ寿司職人の握った寿司、萌え〜。もっと長く放送してくれえ〜。

 それから教育テレビ「Q〜わたしの思考探求 『なぜ戦争はなくならないのか』」。聞き役の外国人女性ばっか見ていた。とりあえず名前をメモメモ。「サヘル・ローズ」ね。戦争孤児なんだねえ。

 山田風太郎は2001年7月28日に亡くなった。彼の『戦中派不戦日記』講談社文庫1985年初版の「昭和二十年七月二十八日」の日記。《厨川白村象牙の塔を出て』を読む。》とあり、感想が記されている。

《「日本人が宣伝活動に拙だったと評した人があるが、思想のない者が何を宣伝するのであろうか。宣伝しようにも宣伝する思想がないではないか」
 然り。八紘一宇、何ぞ他民族に対して不可解の思想なるや。日本人たる余にもよく分からず、況や他民族をして信ぜしむるや。》277頁

《「政府を官僚的だなどときいた風なことをいうが、日本は民衆そのものがすでに官僚的なのではないか」
 まさに然り。実に現在の日本をかかる暗澹たるものにせる最大の原因の一つなり。》278頁

 列外の人は見抜いている。1945年から66年。何が変わったのだろう。「官僚的」は昨日書いた「世間」と同じ内実をもっている。「世間」の問題はじつに根が深い。私自身、いかに深く囚われているか、愕然とする。