螢坂

 大河アーチスト久原大河君から数年ぶりに年賀状。東京にいると思っていたら、福岡へ引っ越していた。

《 元気でやってますか〜?!人生とは不思議なモノですな! 》

 の下に伴侶となった知人女性の書き込み。へえ〜、彼女と結婚したのかあ。いい組み合わせだ。彼のポスターを評価して早や十年。ネットで検索するといろいろなところで個展をしている。彼の真骨頂はそのとぼけた味わいが最も発揮されたポスター、フライヤーにある。ウチでいつか展覧会をしようとポスターなどを保存している。

 北森鴻『螢坂』講談社2004年初版を読んだ。五篇を収録したこの巻も、どれも複雑な筋、予想外の結末が待ち受けている。『花の下にて春死なむ』『桜宵』に増して美味しそうな料理が出てくる。それらの描写はさておいて。

《 いいかい、この世にはニ種類の不幸がある。百グラム八千円の最上級の牛肉ばかりを食べ過ぎて、一本百二十円のモツ焼きの美味さを忘れてしまう不幸。百二十円のモツ焼きしか食べることができずに、百グラム八千円の牛肉の味を知らない不幸。どちらも同じくらい不幸なんだ。もっとも幸福な人間は、双方の美味さを知りつつ臨機応変に、そして貪欲に美味を追求する。》「孤拳」

 沼津市の牛山精肉店へ三田牛を買いに行きたくなった。……なっただけ。

 ネットの拾いもの。ほんとにあった去年の出来事。

《「清掃作業員が芸術作品に描かれた模様をシミだと勘違いしブラシでこすり取る」(ドイツ) 》

《「銀行強盗、窓口係に『もう閉店です』と言われ、何も奪わず逃走」(ロードアイランド州) 》

《「長年かけて部品を集め、本物の飛行機を完成させたが、地下室から出せず、壁を破壊」(ペンシルバニア州) 》