この日の未明、仕込み中に阪神淡路大震災が起きた。仕事が一段落、テレビをつけた。空撮で見た火の手に仰天した。今朝も寒かった。でも、火が恋しい、なんて言えない気分。
午後、スーパーへ段ボール箱を貰いにいき、ついでにブックオフ長泉店へ寄る。赤瀬川原平・山下裕二『京都、オトナの修学旅行』淡交社2001年2刷帯付、日影丈吉『夕潮』創元推理文庫1996年初版、樋口有介『プラスチック・ラブ』創元推理文庫2009年初版、モ−パッサン『怪奇傑作集』福武文庫1989年初版、計420円。
昨日引用した林達夫の発言の続きが読ませる、というか辛辣。
《 その点、案に相違してガッカリさせられたのは手塚富雄。あれほど素晴らしい『ファウスト』やリルケの『ドイーノの悲歌』の訳業をした人が、ブレヒトの詩ではまるで別人だ。「老子出関の途上における『道徳経』成立の由来」、題の訳からして泣けるよ。人は全力投球できない仕事はしないことだ。鈴木信太郎の玉石混淆のボードレールの『悪の華』の悪訳と好一対だ。マラルメやヴィヨンであんなにいい訳業見せている男が……。 》
ここまで言うとはすごい自信だ。自信……地震……自身に震えが走るなあ。寒さではない身震い。……やっぱり寒い。なお、長谷川四郎の訳ではこんな題。老子が老師になっている。
「老師亡命途上道徳経成立譚」
《 芝居の翻訳というのは、語学的にいくら精確でもどうにもならない。語感を精確に訳出できないとね……。 》285頁
《 曰く、「翻訳とは女のようなもので美しいと忠実でないし、忠実だと美しくない」。 》295頁
岩波文庫と光文社文庫で、プルーストの大長編『失われた時を求めて』が別の訳者で翻訳、順次出版されているけど、どうなんだろう。片方を褒めちぎる評者ばかりで、両者を比較検討した評は、浅学にして知らない。今世紀初頭に『失われた時を求めて』の翻訳で読売文学賞を受賞した鈴木道彦は、鈴木信太郎の息子。
ネットの見聞。
《 787:バッテリーが原因かもということで調査開始。変だな窓ガラス、ブレーキ、燃料漏れもバッテリーが原因?「GSユアサ」だけを悪者にして787の製造責任と設計責任は問わないのか。TPPもこんなことになると思うよ。 》
ネットの拾いもの。
《 「本の雑誌社」と入力するつもりがzを抜かしてしまい、「本の圧死者」に。あれ。 》