政治のフォークロア

 春分の日ブックオフ長泉店で二冊。今村仁司ほか『現代思想の源流』講談社2003年初版帯付、アンドリュー・ヴァクス『赤毛のストレーガ』早川書房1988年初版帯付、計210円。

 『林達夫著作集5 政治のフォークロア平凡社1973年5刷から。

《 人々は今未来の真理たるものの生みの苦しみのさ中にあり、歴史の作り直しに懸命になっているが、その仕事の先頭に立つはずの政府が困ったことにその巨きな障碍になっています。 》 「揺らぐ屋台の一本の鋲」1946(昭和21)年初出。

 「──安倍新文相へ──」と副題のあるエッセイの冒頭。安倍とは安倍晋三首相のことではなく、安倍能成(よししげ)のこと。林は続いて書いている。

《 ただ悲しい事には、わが安倍さんによって悔悟せんとする政治は、もはや全く死に瀕している政治にすぎない。 》 「揺らぐ屋台の一本の鋲」

 きょう今日書かれたような。

《 政治くらい、人の善意を翻弄し、実践的勇気を悪用するものはない。真のデモクラシーとは、この政治のメカニズムから来る必然悪に対する人民の警戒と抑制とを意味するが、眉唾ものの政治的スローガンに手もなくころりと「だまされる」ところにどうでも人が頼らねばならぬ政治のおぞましい陥穽があるともいえよう。私は化けの皮をかぶっていない政治というものには、未だかつてお目にかかったことがない。 》 「新しき幕明き」1950(昭和25)年初出

《 政治の化けの皮がはげかかってから、それを追及し、それに悲憤慷慨することはたやすい。定めし、幕末志士の現代廉価版が、これからこの国土に輩出することであろう。というのは、わが日本では、いまや二度目に「尊皇攘夷」ないしは「尊皇か攘夷か」の時代に足を踏み入れて来たようだから。だが、大いなる歴史的事件は二度繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は道化芝居(ファルス)として。どうやら、その道化芝居がいよいよ幕を明けたようである。 》 「新しき幕明き」

《 フォークロアとはつまり指導者の立場からの知見ではなくして、政治される側の一般民衆の受身的立場からの知見というほどの意味であります。 》 「病める現代人」1958(昭和33)年初出

 鶴見俊輔の解説から。

《 林達夫には、本を読むものは生活者ではないという考え方がなく、その故に大衆にたいするひけ目がない。だから、そのひけめから生じる大衆崇拝とか、ひけ目をうらがえしにした指導者意識があらわれる余地がない。 》

 ネットの見聞。

《 かつてのアホ行政「よし、箱物を造ろう!」。いまのアホ行政「よし、ゆるキャラを造ろう!」。「馬鹿でも出来る簡単な行政マニュアル」なんか売れるかもね。 》 藤岡真

《 ロンドン(CNN) 英国の慈善団体に数年前に寄付された絵画の1枚が、オランダの巨匠レンブラントの自画像だったことが19日までに分かった。時価3000万ドル(約29億円)以上の価値があると推定されている。

  作品はナショナルトラストが管理するギャラリーに数年前から展示されていた。しかしまさかレンブラントの作品とは誰も思わず、来館者も素通りしていたという。 》

 英国人も作者の名前で絵を見るんだ。

 ネットの拾いもの。

《 腐女子の進化形って凄いんだぞ

  腐女子(ふじょし)
  ↓
  貴腐人(きふじん)
  ↓
  汚超腐人(おちょうふじん)
  ↓
  腐婆婆(ふばーば)
  ↓
  腐死鳥(フェニックス) ←最終進化形 》