きわどい

 ブックオフ函南店で四冊。宮部みゆき『小暮写真館』講談社2010年初版帯付、米原万里『発明マニア』毎日新聞社2007年初版帯付、ミステリー文学資料館・編『江戸川乱歩と13人の新青年光文社文庫2008年初版、同『「宝石」1950』光文社文庫2012年初版、計420円。自転車も軽く〜。

 米原万里『発明マニア』の帯には《 絶筆の連載 》。その最後「119 国際化時代に最も不向きな対立回避症克服法」の結び。

《 というわけで、対立回避症克服のために、まず政治家には、内輪ではなく相手国の懐で、物騒な発言をしてもらおう。南京大虐殺は無かったと主張する政治家は、南京市の虐殺資料館で、靖国参拝に反対するのは内政干渉だと主張する政治家には、韓国や中国の反日デモ隊の人たちをそのように説得してきて欲しい。 》

 前段では小泉元首相。

《 スローガンのみを念仏の如く羅列する。内容を追及されたり、反論されたりすると、相手を抵抗勢力と一括りにして、議論しないまま、重要法案を次々と強行採決していく。 》

 2006年5月の発表。当時の政権党は自民党民主党を経て再び自民党。歴史は繰り返す。

 ネットの見聞。

《  心中天網島は、この世の倫理規範が成立している世界と、その向こう側の地獄の美世界の両方を描いていて、主人公(とくに男)がそのもう戻れない境界線を渡るところが素晴らしく美的に描かれていた。かつどっちの世界が良いとも言ってない。この踏み越えの感覚を近松は描きたかったに違いない。 》 森岡正博

 上記の文と下記の文が交錯する。

《 きわどいは、「際疾い」と綴る。キワが、病んでいる。変形してしまっている。傾(かぶ)いている。悲鳴を上げている。何とかかろうじて持ちこたえている。だが、次の瞬間の保証は何もない。そのあぶなっかしさである。(略)きわどいには、ただの美しさにはない、色っぽさが宿っている。 》 平野雅彦

 「美は危うきに遊ぶ」。世界認識が不意にゆらぎ、たがが外れる予感……かな。きわどい踏み越えの作品が芽吹く兆し。期待にワクワク。

 ネットの拾いもの。

《 「期待に胸も膨らむわ」「どれどれ」「あなたは」「……」 》

《 吉川美南で信号故障があって武蔵野線運転中止だって。どうも静かだと思った。線路脇住人。←吉川美南、って人の名前じゃなくて駅なのか。 》