1991年 今や安全神話は崩壊した 

 朝、ブックオフ三島徳倉店へ自転車で行く。昨日、河出文庫のご当地ミステリー傑作選が十冊あまり並んでいて、はて何を持っていたか不明、手を出さず帰宅。今朝メモを手に。『博多ミステリー傑作選』1986年、『大阪ミステリー傑作選』1987年、『紀州ミステリー傑作選』1987年、『津軽ミステリー傑作選』1987年ついでに小鷹信光・編『詐欺師ミステリー傑作選』1990年、澁澤龍彦・編『世界幻想名作集』1996年、アンリ・トロワイヤふらんす怪談』1987年も。以上河出文庫初版。半額セール棚から貴志祐介新世界より 下』講談社2008年7刷帯付175円、計910円。『新世界より』単行本は結局280円で上下揃った。

 そして自転車を歩道へ出そうとした時、前方から小さな車輪の自転車の若い女性……。思わず凝視。秋の陽射しを後ろから受けて輝く金髪の透きとおるような肌の小顔の白人。え、こんなカワイイ子って……妖精のような、タンポポ娘のような。自転車の向きを変えて付いていくのを押し留めた。ロシア人かな。日本大学の留学生だろう。参ったなあ。ハロゥ、おじさん、三島を案内してあげます、なんて言っちゃって。眼福眼福。ああ、銀杏並木は黄金色に輝いている。

 昨日読んだ『探偵・藤森涼子の事件簿』の藤森涼子がゲスト出演する、太田忠司『甘栗と金貨とエルム』角川文庫2010年初版を読んだ。主人公の高校生の亡くなった父甘栗が探偵業で、藤森涼子とは同業のつながり。高校生の甘栗は思う。

《 何考えてるんだ、と自分をたしなめた。彼女は多分自分の倍以上の年齢だ。親父くらいの年頃ならともかく、未成年を相手にするわけがない。そもそも私は年上好みなんかではなかったはずだ。/ と思いつつ正直なところ、藤森さんに会えるのが嬉しい。年上だろうと何だろうと知ったことか。彼女は私の好みのタイプなのだ。 》 171頁

 面白かった。少年探偵・狩野俊介シリーズは合わなかったが、これはいい。続編『甘栗と戦車とシノワール』角川文庫が出ている。早く読みたい。ブックオフへ日参か。ああ。

 スクラップブックから。1991年2月27日の連載記事「戦争の経済学 4 食料不安」。

《 湾岸戦争には浮足立つことのなかった農水省が二月の関西電力美浜原発の事故を受けて、米国の穀物生産地での原発稼動状況を急きょ作成した。小麦生産地のワシントン州にニ基、トウモロコシ、大豆生産地のイリノイ州には十一基が集中していることがわかり「穀物を米国ばかりに依存していては、万一の原発大事故のときに危険」と、輸入先分散の必要性にようやく関心を持ち始めた。 》

 1991年6月4日の記事。「時代の目 崩壊した原発安全神話」阪大名誉教授 佐賀二郎。

《 感電美浜原発2号機の蒸気発生器細管破損が起こってから四カ月がたった。これは日本の原発で起こった「故障」の中で最大級のもので、危うく大「事故」になりかけた「故障」であった。 》

《 以上の議論から、関係者の発表には、何かこじつけか嘘があると疑われても仕方がないであろう。原発反知者が安全性を疑うのは、電力会社及び関係官庁が、原発は「絶対安全」と公言し続け、故障の際も最小限の発表しかしてこなかったことによる。今や安全神話は崩壊した。 》

 1991年美浜 …… 2011年福島。この二十年。

《  遠きよりたそがれは来つたそがれの芯とはなれるくらきうつし身   雨宮雅子  》

《  木下闇抜け人間の闇の中   平井照敏  》

《  独りとは友あり書あり夜長あり   及川貞  》

 ネットの見つけもの。

《 万年筆を直してもらいに行ったら、この世には「万年筆オタク」がたくさんいて 休日に店で万年筆談議をしていることを初めて知った。 》

 ネットの拾いもの。

《 「きんろうかんしゃ」の文字列の中から即座に「かろうし」をピックアップ&並べ替えできるブラック労働脳。 》