「城昌幸集 みすてりい」

 友引なので、友だちの車に同乗して、函南町長光寺へ住職の柿沼忍昭氏を訪ねる。副住職の猫にくれる高価な餌を持っていったら、最近顔をあまり見せないと住職。んな話をきいていると、副住職の影。さっそくお碗に猫餌を入れる。無我の境地で食しているよう。人なつこさではピカ一の猫。元気でな。見返れば、満開の桜にこれからの桜。山里にも春。

 城昌幸『怪奇探偵小説傑作選 4 城昌幸集 みすてりい』ちくま文庫2001年初版、前半部の自選傑作集「みすてりい」を読んだ。いくつかの掌編は一昨日の『怪奇の創造』と重なる。その私的ベスト3に挙げたうち「根のない話(根の無い話A)」」「あなたはだれなの(あなたは誰なの?)」が収録されている。ほかに最も深い印象を刻まれたのは「人花」。人を喰う植物の話。

《 「危険?」
  「さなり、さなり、こは動物体の溶解に依って生育する種類の花なれば……」 》

 ネットのうなずき。

《 時代に遅れているンじゃない。「時代遅れ」を楽しンでいるのだ。一刻を争い目を血走らせて流行の最先端に立った途端に、それは既に時代遅れ。今、日本のツイッター人口は一千万人だというが、80年後にはほぼ全ての人がこの世におらぬと思えばいっそ清々しい。自分の歩く速さで生きようじゃないか。 》

 ネットの見聞。

《 ギャリコの「幽霊が多すぎる」って流通してないのか! 》

 創元推理文庫で1999年に出ている。ポール・ギャリコ Paul Gallico 。講談社文庫ではポール・ガリコ。本棚には十冊ある。一冊も読んでない。いつか読もうと買ってある。歳月の早さよ。