「 沼津 」

 ブックオフ長泉店で六冊。『日本文学全集 80 大岡昇平集』集英社1976年3刷、乾くるみ 『カラット探偵事務所の事件簿2』PHP文芸文庫2012年初版帯付、山田風太郎『妖説太閤記 (上・下)』角川文庫2011年初版、ブッダ『悪魔との対話』岩波文庫2006年23刷、伊坂幸太郎ほか 『お仕事小説アンソロジー エール!3』実業之日本社文庫2013年初版帯付、計648円。 『大岡昇平集』は、「沼津」が収録されているので。『エール!3』は、『エール!1』を贈った 若い女性が気に入って『エール!2』を買いました、と聞いていたので、では『3』を。 『妖説太閤記』は、立ち読みした下巻の橋本治の解説に感心して。その冒頭。

《 この小説の冒頭に、「惨憺たるものだ」とある。すべてを言いつくした言葉でもあろう。 》

 つづく解説は、現在の日本を言いつくしているよう。1995年の解説の再録。ってことは、 時代の本流はさほども変化してはいないということか。本棚を見たら、元本の講談社大衆文学館 文庫1995年初版があった。あれま。記憶力の衰退は進んでるわあ。

 上記、大岡昇平「沼津」を読んだ。昭和三十年(1955年)の発表。

《 船山館(ふなやまかん)は伊豆の山の中の温泉場に三代続いた旅館である。》

《 母は三島の紙屋の娘である。 》

《 母の一つの俤が和男に残っている。 》

《 そのころ和男は三島の母の実家から、沼津の中学校へ通っていた。 》

《 東京の私立大学の経済部へも、そこから通った。 》

 井上靖の自伝小説を連想させる出だしだが、卒業して実家へ戻って女中に惚れるところから 大岡昇平の小説になる。ボンボンが同い歳の女中に翻弄される。有段者と初心者のあからさまな 挌違い。彼女はじつは父親の囲い者。丸谷才一は解説で書いている。

《 古典的な短篇小説の型を端正に守った悪の研究の試みで、彼が西欧十九世紀の短篇小説を どれほど着実に摂取したかを、じつによく示している。 》

 当然だが、そこまでは深く読み取れなった。日本の小説には珍しいなあ、と思った。

 ネットの見聞。

《 矢部宏冶さんが書かれた「日本はなぜ『基地』と『原発』を止められないのか」を読んで、 目からうろこが何枚落ちたか分からない。その一つが日米合同委員会の組織体制である。 この60年以上続く米軍と日本の高級官僚から成る同委員会が決めた内容は非公開である。 誠に恥ずかしい限りではあるが、総理時代に米国と官僚の厚い壁に歯が立たなかった所以がここにある。 日本がアメリカに従属している構図は極めて強固であり、霞が関には従属の完成系が存在している。 こんな情けない日本を自立させ、対米従属からの脱却の旅に出る政治家は現れてないのであろうか。  》 鳩山由紀夫
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《 明治のころ、年賀郵便制度が導入されたとき、きちんとお年賀の挨拶に行かずにハガキで済ませるなんて、 という否定論があったそうな。私はアナクロなので、せっせと書いているが、あと数年するとメイルで ご挨拶が当たり前になって、年賀状を出すほうが少数派ということになるような気がする。 》 赤城毅