『風の歌を聴け』

 村上春樹風の歌を聴け講談社1979年2刷を読んだ。昨日の安部公房箱男』同様、 「戦後文学ベスト3」に挙げられていた作品。気障な科白がさりげなく軽く書かれている。 アメリカのハードボイルド小説を連想。1979年当時には珍しい表現だったのではないかな。

《 「気にするなよ。車は買い戻せるが、ツキは金じゃ買えない。 」 》 20頁

《 30分ばかりしてから急に誰かに会いたくなった。海ばかり見てると人に会いたくなるし、 人ばかり見てると海を見たくなる。 》 40頁

《 ひどく暑い夜だった。半熟卵ができるほどの暑さだ。 》 53頁

《 「ねえ、僕のことなら何にも気にしなくていい。それでも気になるんなら公園に行って 鳩に豆でもまいてやってくれ。」 》 88頁

《 しかし年じゅう霜取りをしなければならない古い冷蔵庫をクールと呼び得るなら、 僕だってそうだ。 》 139頁

 挙げていけばいきりがない。なんと、暑くならない文章だろう。以後の小説の原型という印象。 MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)を始め、多くのミュージシャン、バンドの名が出て来る。

《 「これをただ黙って聴いてくれ。本当に良い曲だ。暑さなんて忘れちまう。ブルック・ ベントン、「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」。 》 63頁

 この曲、サム・ムーアとコンウェイ・トウッティのデュエットでよく聴いていた。気に入った CDアルバム『リズム・カントリー・アンド・ブルース』1994年でもとりわけ好きな曲だ。 CDを聴きながら書いている。いいねえ。どれもいいわ。

《 鼠はカウンターに肘をついて顔をしかめながら、電話帳ほどもあるヘンリー・ジェームズの おそろしく長い小説を読んでいた。 》 81頁

 翻訳なら世界文学全集26『使者たち』講談社1968年初版だろう。五百ページ。再読したい小説だ。

 昼前にブックオフ長泉店へ一箱、390円也。吉田洋一『歳月』岩波書店1984年初版帯付、 吉本隆明夏目漱石を読む』ちくま文庫2009年初版、計216円。後者は単行本を持っているけど、 「加筆・修正の手入れ」があるので買い替え。昼、あられ、雨、雷鳴。雨の中を外出。 待ち合わせの場所で車に乗り打ち合わせ場所へ着く時には上がる。

 ネットの見聞。

《 原子力規制委員会、開始まで20分。先週とは違って、静か。有権者も報道も、「重要議題」 の時だけ騒ぐ。普段からの積み重ねが大事だと、分からないのだろう。 》 春橋哲史
 https://twitter.com/haruhasiSF

《 「すぐ役に立ちそう」なことばかり吸収しようとすると、あっというまに役立たずになる だけなのではないか。そもそも「役に立つ」という発想だけで物事に取り組むのも 了簡が狭すぎてつまらぬ。 》 ESHITA Masayuki

《 何度でも言うが、今の日本社会が本当に必要としている道徳は「目下の者に指摘された失敗でも 潔く認めて謝る」「成功体験に固執せず新しい方法を模索する」「同調圧力に屈せず論理的・ 倫理的な判断をする」「前例主義に陥らず判断する」等だと思われるのだがたぶんそういうことは 教えてないんだろうなー 》 瀬川深

《 まだ続く地球温暖化の歪曲 》 田中宇
 http://tanakanews.com/150216warming.htm

《 中野区在住の色鉛筆アーティスト作品、「マジすごすぎる」とネットで話題に /東京 》
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150217-00000003-minkei-l13

《 少年探偵メモ:A・名探偵の助手、あくまでメインは「先生」=小林芳雄。B・名目は助手だが 主体として謎を解く=池上富士夫。C・少年自身が主役で大人の助手を持つ=塚原俊夫。 D・大人ものでは助手、ジュヴナイルではメインの探偵=加藤六郎。E・少年物と少女物で分担して登場 =古沢美和子・三千夫。ちなみに前から順に江戸川乱歩森下雨村小酒井不木島久平高木彬光作品に 登場する少年探偵たちです。 》 芦辺拓

 ネットの拾いもの。

《 読みたい本が山積みなのに目玉はふたつ。 》

《 学生から、「この単位が取れないと留年が決定するんです」というメールが来たので、 留年した際の心構えを書いて送った。 》