『 日本人の心の歴史 下 』つづき

 唐木順三『日本人の心の歴史 下』筑摩書房1970年初版、後半「六 風雅から実証へ」〜 「一○ 現代文明下の自然・季節」まで、またまた深く広い視野から論じられている。 目から鱗が落ちる。引用したい箇所は数多いが。

《 日本における、ありのままをありのままに見る目の喪失の歴史は実に長かった。そして 漸くにして明治の三十年代においてその目を恢復したのである。 》 「寫生」277頁

《 自然は無制限に勝手気儘に使へる素材ではない。それなのに少なからぬ企業は、それを 認めようとしない。そのために大気をえたいの知れぬ有害ガスの混合体にし、海を巨大な 排水溝にしてしまつてゐるのである。 》 「現代文明下の自然・季節」294頁

 そして結び。

《 この問題は、文明の進歩を肯定した上で、その上で調和を計らうといふ実用主義的な 態度では全体的には解決できない。「進歩と調和」とを試行錯誤風な過程で実現するわけには いかない。有限な人間の、有限な知力を超えたものとの関係で考へなければならぬ問題である。 》  「現代文明下の自然・季節」310頁

 結びに至る前の文が実に深い視点から綴られている。

《 そして現代文明、またその文明下の社会や人間を根本から変へなければ始末のつかない ところを問題にしてゐる。 》 「現代文明下の自然・季節」318頁

 全文引用したいが、無理。充実した読書だった。視野がぐっと開かれた。そして思う。 この著作の刊行は昭和四十五年、1970年。それから四十五年。明治と同じ年数が経っている。

 それにしても、漢和辞典と国語辞書を棚に入れる暇がなかった。例えば、只管=しかん= 他のことにはかまわないで、それだけのことに集中するさま。知らんかったわ。

 ネット注文した古本、唐木順三『日本人の心の歴史 補遺』筑摩書房1972年初版函帯が届く。 600円。

 一昨日友だちからクレソンを所望され、昨朝源兵衛川最下流部の、見えにくい場所に いいクレソンを発見。その近くの石垣にはヒメツルソバが少し。源兵衛川最終地点の石垣の ヒメツルソバは、共同作業の時に除去しようと考えていて、手付かず。が、いたしかたない。 クレソン採取のついでにヒメツルソバを抜く。昨日午後も一時間ほど。今朝一時間ほどで 源兵衛川および並行する水路のヒメツルソバを全部除去。土のう袋二袋。ふう。一風呂浴びる。
 作業中いろいろな人から声掛けられた。きょうは畑仕事中の男性から。「きのうも やってたねえ。」

 味戸ケイコさんから絵葉書。

《 個展も更来年の春迄決まっていて 元気でいなくてはと心に言いきかせています、 》

 味戸さんにも追い風が吹いている。

 ネットの見聞。

《 過去の栄光も失われた愛も、傷も挫折も絶望も、そしてわずかな希望を抱えながら、人は 生きていく。 》 ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』文庫版、帯の文

 「過去の栄光も失われた愛も」が無ければ私のこと。

《 明仁天皇と彼の家族たちは首相よりずっとよい範例を示している。最近の談話の中で、 あきらかに安倍氏を批判する意図で、皇太子は未来の世代に「正しく歴史を伝える」 ことの必要性について言及した。 》 New York Times の記事から。安倍訪米を前に
 http://blog.tatsuru.com/2015/04/21_1622.php

 ネットの拾いもの。

《 自民党選挙カーと廃品回収の車が同時に来てカオスwww 選「これからの原発は…」 廃「壊れて居ても、構いません」 選「我々は、北朝鮮の核を…」 廃「無料にて、回収いたします」 選「来たる参議院選挙の際は是非!」 廃「お気軽に、ご相談ください」 》