『 ドイツ表現主義 ブリュッケ展 』

《 ブリュッケってなんだろう? 小学生の関心を引くために美術館が用意した チラシのクイズが難問すぎる! 》 風間サチコ
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 本棚からその展覧会『ドイツ表現主義 ブリュッケ展』図録1991年を取り出す。目黒区美術館で 観覧。図録を購入。挟んであるチラシは一般向けのもの。副題は「─新世界への架け橋を夢見た 美術家たち─」。鋭く尖った感性が生み出す瑞々しい筆触。百年前の絵なのに何も古臭くない。 しかし制作年を参照すると、疾風怒濤の、今も色褪せない感覚を見せているのは、1910年代前半の 五年ほど。それ以降は大人しい、はっきり言えば鋭さに欠ける普通の作品に成り下がっている。 若く先鋭な感性は、青春の一時の高揚が過ぎれば、そのままでは鈍くなる。

 画家は二つに大別できよう。印刷が商品となる絵(原画)を描くイラストレーター、絵本画家 (味戸ケイコ、宇野亜喜良真鍋博ら)と、個展(画廊)で一点の絵を売るタブロー画家だ。
 前者は商業画家とも呼ばれ、後者は芸術家とも呼ばれている。商業画家はその作風を維持し、 その上に創意工夫をして時代に合わせた絵を描いてゆく。芸術家は自らの美意識に従って、 その作風を変貌させていく。どちらの画家も、上記ブリュッケの画家同様、出世作から 五年ほどは上昇・深化の勢いで目の覚めるような感覚の冴えを見せる。が、その後が難しい。 いくら頑張っても時代に合わなくなり、沿わなくなってくる。そこから画家の困難が始まる。 味戸ケイコも宇野亜喜良もそんな混迷の時期があった。
 K美術館で展示した洋画の安藤信哉、上條陽子、銅版画の深澤幸雄らは、苦闘の末に新生面、 新局面を切り拓いて、マンネリによる絵の劣化を免れた。陶芸の北一明もそこに列する。
 大多数の画家は、出世作の作風に足元をすくわれ、もがいたあげくに絵から去る。あるいは そこから脱皮できずに劣化してゆく。無自覚な画家はこれでいいと勘違いして、退化してゆく。 退化を大家になったと思い込む耄碌画家もいる。セザンヌのような大器晩成型はごく希。

 ネットの見聞。

《 SR株価見立て
  横溝製紙 105円 伝統ある本格製紙会社。技術が古いのが弱点。
  鮎川鉄道 107円 古臭い乗物を喜ぶ固定客はあるが、単線で輸送力は弱い
  松本製鉄 75円 超大型株だが、度重なる増資で人気離散 》 紀田順一郎『幻島はるかなり』 より

 それを受けて現役陣。
《 綾辻建設 99円 建築基準法違反。アナザーズ上場
  島田モーターズ 2500円 営業利益を上げすぎ本社を米に移転
  笠井重工業 538円 攻めの経営だが在庫過剰
  森セメント 213円 名古屋本社。大量生産だが手固い経営
  京極出版 1099円 大極宮HDを設立  》

 横溝正史鮎川哲也松本清張綾辻行人島田荘司笠井潔森博嗣京極夏彦