『 冷明集 』

 吉田一穂歌集『冷明集』コーベブックス1976年初版を再読。一首。

   雨すぎし暁ちかみ室(へや)ぬちにぬれたる月の光りさしけり   

《 詩人は海の民の後裔としてこのこの世に生をうけたのである。 》

 と帯に推薦文を寄せている窪田般爾は、短歌について何も書いていない。私も書けない。 詩想は若書きの短歌から杳杳たる彼方へ飛翔した。「白鳥」は畢生の名作。余韻が深く響く。
 窪田は季刊『おべりすく』2号1974年の「吉田一穂童話特集」に「二つの海」を寄稿している。

《 吉田一穂の最初の単行本は詩集ではなく童話集であった。大正一三年に武井武雄の装画に 飾られて金星堂から刊行された『海の人形』である。 》

《 『海の人形』と『海の聖母』。この二つの「海」のイメージは、しばしば詩的に 重なり合う。「大系」に収められている八篇の作品の題名をみただけで、私の脳裏には 忽ちにして、詩人が『海の聖母』で語っている「憧憬と追想、童話(メルヘン)の感傷的なる 夢多き日の抒情詩(リリック)が立ち昇ってくる。 》

《 吉田一穂は白秋的なロマン主義から離脱したいま一人のロマン主義者であったのだから。 》

 1976年に学藝書林から出た童話集『海の人形』復刻版を本棚から出してみたが、読むのは見送り。

 ネット注文した古本二冊が届く。『江古田文学44』特集「102年目の吉田一穂」2000年1000円、 渋沢孝輔『螺旋の言語』思潮社2006年初版帯付700円。後者には「吉田一穂──極の誘い」を収録。

 ネットの見聞。

《 安倍首相が異常に固執している例外的な宗教行為は「靖国神社参拝」ですが、 そこはまさに二代にわたって天皇が「行かない」と明言した例外的な場所です。 安倍首相がもっとも憎むのは「現行憲法」ですが、天皇はあらゆる機会に「憲法を護ること」を 第一の責務として挙げています。 》 内田樹
 https://twitter.com/levinassien

《 安倍内閣を支配する日本会議の面々――シリーズ【草の根保守の蠢動】 》
 http://hbol.jp/25122

《 いまだ現代美術業界はもちろん、アウトサイダー・アート業界すら完全無視の「おかんアート」。 地道な調査啓蒙活動を長く続けている神戸の「下町レトロに首っ丈の会」が、これまたおそらく 日本で初めて美術画廊を舞台に開く『おかんアート展』。6月21日からの10日間、 神戸のギャラリー4で開催されます。  》 都築響一

《 「おかんアート」とは。
  母が作る手芸作品の総称です。どこの家にも一つはある「おかんアート」は立派な芸術作品。
  作品を作り続けるおかんが居る限り、日本と家庭は平和なのです。 》  「下町レトロに首っ丈の会」
 http://citamatiretro.com/

 「あかんアート」は巷にゴロゴロあるな。

 ネットの拾いもの。

《 新アルバム1日1曲解説。

  今日は9曲目『ありのままで受験したら落ちた』です。

  この歌は現代社会への警鐘です。「♪ありのままでいい〜」という歌をよく聞きますが、 ありのままで受験したら落ちます。自分らしく全裸で牛丼屋入ったら逮捕です。

  ありのままじゃいかんのです。 》

《 書くときに祝と税を一瞬迷う 》