「告知」「言葉の出現」

 昨日触れた詩「告知」を『著作集』第二巻で読み、「言葉の出現」を第六巻で読んだ。第二巻収録の「告知」が 詩作品であるのに対して、第六巻の「言葉の出現」に掲載されている「告知」は、その推敲以前のノート(下書き)。 なお、詩「わが夜のいきものたち」は、「言葉の出現」に転載されている。

《 申すまでもなく、ぼくは右の長々しい引用を、完成された「詩」を提出するつもりで行ったのでは毛頭ない。 》  『大岡信著作集 第六巻』青土社1977年初版、「言葉の出現」284頁

 同じ「告知」だが、ノートと完成形ではその印象はかなり違う。その相違の考察から離れて興味を惹かれた箇所を。

《 すなわち、自分自身にとってさえ新しく啓示的に思われる言葉は、単に自分の下意識、無意識界から無媒介的に 溢れ出てくるものではなく、むしろ他者(この場合は写真集がもたらす一連の流動するイメージ)が介在してこそ、 われわれの内面の言葉は、真に偶発的で清新な姿で表層に現れてくるということである。 》 同273頁

 優れた美術作品に出合うと、自身思いも寄らなかった斬新な言い回しが不意に浮かんでくる。ノート「告知」について。

《 そのようにして約二百行の断章が得られた。その間の時間は一時間たらずだったように思う。 》 同272頁

《 150行目からあとは、イメージと言葉との相互付着力が急激に衰えているのが感じられる。言葉はイメージに付くよりは、 概念を追おうとしている。 》 同286頁

 イメージと概念。昨日の三浦雅士の論述を思う。

《 すでにここでは、虚構と真実との通常の関係は消滅してしまっている。ここにあって問題なのは、何が虚構で 何が真実か、ということではなく、どのようにしたら最もよく「表示されるもの」の総体を「表示する」ことができるか、 ということである。 》 同288頁

 どこかで援用したくなる。「わが夜のいきものたち」について。

《 こんなふうに書いてくると、あの記録を解体、再構成した、詩というよりは、むしろドラマティックな物語詩と いうべき自作を掲げざるを得なくなってくる。 》

 ノート版「告知」、再構成した詩「わが夜のいきものたち」そして詩「告知」。その関連について考究したくなるのも わかる。私はしないが。

 昨日依頼された展覧会の案内文。第ニ案三案のどっちを気に入ったのか不明だけど、ま、いいか、とコーヒーを淹れる。 お茶受けは先だって退職した女性からいただいたヨックモックのクッキー。前世紀よく買った。記憶と変わりない味。
 会うことのなくなった女性たち。携帯電話はつながるけど、相手の事情を考えて電話はしない。それぞれの道を歩んでいく。 元気でいると思いたい。昨日届いた知人男性からの手紙には、別の女性と落ち着いてきた処、と。
 午後、松毛川岸の植林へ。苗木百五十本ほどを植樹。

 ネットの見聞。

《 中森明菜999台限定アナログ盤18枚セット発売 》 日刊スポーツ
 http://www.nikkansports.com/entertainment/news/1639053.html?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=nikkansports_ogp

 中森明菜のシングル盤レコードはデビュー盤『スローモーション』以下十五枚を所有。CDシングルは所持せず。 別に欲しくはないな。

《 時間が2次元である小説を書いてみた。
  空間が2次元(例えば地球の表面上)なら、目的地へ行くのに右の道や左の道の色々な経路を通れる。時間軸が2つある、 というのは、この小説のようなものだろう。(超ひも理論知覚化プロジェクト) 》 橋本幸士
 https://twitter.com/hashimotostring/status/725464223602475009

《 ウクライナ政府報告書 京都大学が全文翻訳
  日本国のデタラメ政府のウソはバレています。
  証拠として必ず読んで保管して下さい。間違えなく日本国民は若い人から病気になり短命になります。 》 asuka
 https://twitter.com/asuka_250/status/725613392275230720
 http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/PUB/report/04_kr/img/ekr005.pdf

 ネットの拾いもの。

《 タックスヘイブンには無力だが、奨学金の取り立てには威力を発揮するマイナンバー。 》