「現代大家」

 昨日引用した文章にあった藤田嗣治「現代大家」は、『腕(ブラ)一本│巴里の横顔』講談社文芸文庫2005年初版に収録。 読んでみた。

《 ピカソの長所は一定の形式に固定せず、自分の画風を他の人が真似しだすと、直ぐまた新しいものを見つけて、 若い連中を引き連れて先へ先へとどんどん水平線を目指して進んで行く人である。(中略)何しろ頭だけで出来ている ようなつまり脳髄ばかりで生きているような人であって、ピカソの絵を研究するために、「赤の時代」とか「青の時代」 などという色々時代別にしてあるのである。 》 175頁

《 一筋縄にかからぬ傑物である。 》 176頁

 じつに興味深い描写に惹かれて、そのままページをめくった。

《 デッサンの上の於いても、全く人と異なった独特のある物を考え出し、単に目を透しての観察に止まらず、より以上 深き意味なるデッサンを作成せねばならぬ。 》 「画の離業」191頁

《 何故に我々の先輩がパリに渡り本舞台で飽くまで西洋人と闘ってこなかったのであろうか。何故に大敵を相手にせずに 唯々日本に再び帰朝しての日の自分の地位だけを考慮しておってのだろうか。 》 「若き人々への苦言」193頁

《 実に仏国美術界に於てはその人の作品を見て以てその人を評価するという風になっているのは当然な事である、 吾が国のように初入選し写真は新聞に載りて、自身も親戚も有頂天に喜ぶとか、或は再入選して常連になるという記事も パリの新聞やサロンは全く無頓着で何等の発表もないのである。 》 「若き人々への苦言」196頁

 いやあ、同感同感。この本の最後のページ。

《     (66年9月28日)

  みちづれもなき一人旅
  我が思いをのこる妻に残して。 》 256頁

 雨が止んだ午後、自転車でブックオフ三島徳倉店へ行く。山田正紀『最後の敵』河出文庫2014年初版、レイ・ブラッドベリ 『とうに夜半を過ぎて』河出文庫2011年初版、『日本近代短篇小説選』岩波文庫2014年4刷、計324円。

 ネットの見聞。

《 自分が読むべき百冊があらかじめ的確に判ってそれだけを買えるなんてどうしてできるのだろう。 手元に置いておくことで読めるようになる本もあるような気がするのだ。 》 中野善夫
 https://twitter.com/tolle_et_lege/status/798160553831079940

 同感。きょうの藤田嗣治『腕(ブラ)一本│巴里の横顔』講談社文芸文庫、たまたま目について買った。

 ネットの拾いもの。

《 そういえば,自動運転車って,高級車とオンボロ車のどちらかにぶつからなければならない状況に陥ったときって, オンボロ車の方にぶつかるらしいよ。結果的に金持ちに優しい自動運転(^^) 》

 お知らせ

 NHKテレビ『さわやか自然百景』、「富士山 三島溶岩流」で源兵衛川を放送予定。
 総合       20日(日)午前7時45分〜8時00分
 BS プレミアム 21日(月)午前11時00分〜11時15分
 http://www4.nhk.or.jp/sawayaka/x/2016-11-20/21/28447/2503715/