『ゲンロン0 観光客の哲学』

 柏倉康夫『新訳 ステファヌ・マラルメ詩集』は売り切れたようだ。私家版百部限定で販売はたった六十部だからなあ。

 東浩紀(あずま・ひろき)『ゲンロン0 観光客の哲学』ゲンロン2017年2刷を少し読んだ。語り口が平易で読みやすい。國分功一郎 『中動態の世界 意志と責任の考古学』と同じく内容は硬派。私より若い人たちの文章は軽快にして明解。難解だけれども、韜晦ではない。 課題、問題点が十分に解析されたうえでの文章という印象。だからぐいぐい読むようになる。やや熱くなる。

《 人間は人間が好きではない。人間は社会をつくりたくない。にもかかわらず人間は現実には社会をつくる。なぜか。 》 「第2章  政治とその外部」 65頁

《 他者への寛容はたしかに重要だが、しかし寛容になるためには相手もあるていど成熟していないと困るというしごくまっとうな反論に 対して、従来の他者論はほとんどなにも言い返すことができない。 》 「第2章 政治とその外部」 80頁

《 家族から市民へ、国民へ、そして世界市民へといった単線的な物語から外れるもの、それは近代思想の枠組みでは原理的に政治の外部と されているけれども、ぼくはむしろそこにこそ新たな政治の回路があると考えたい。その可能性を記述する言葉こそ、観光客の哲学であり、 本書が手に入れたいものである。 》 「第2章 政治とその外部」 97頁

《 本書が「観光客」について考えることで乗り越えたいのは、まさに無意識の欲望である。 》 「第2章 政治とその外部」 110頁

《 そこでは政治とその外部の対立がみごとに再生産されている。なにひとつ脱構築されていないし、なにひとつ変わっていない。 ぼくはその状況に思想の敗北を見る。だから、ぼくは、もういちど基礎の基礎に戻り、近代思想の人間観と政治観を、過去のテクストの小手先な 解釈変更などに頼るのではなく、根本から問いなおすべきだと考えるのだ。 》 「第2章 政治とその外部」 111頁

《 観光客はまさに、ニ○世紀の人文思想全体の敵なのだ。だからそれについて考え抜けば、必然的に、ニ○世紀の思想の限界は乗り越えられる。  》 「第2章 政治とその外部」 112頁

 朝床屋へ。終えて下の源兵衛川を眺めて店主が「水位が低いせいか今年は魚がいなくて」とぼやく。「いるよ」と私。オイカワが数匹、 勢い良く上ったり下がったり。彼、喜ぶ。

 ネット、いろいろ。

《 「町のB級言葉図鑑」の連載で東京の坂を取り上げています。街歩きで坂の名を示す標柱を見るのが好きです。早大の近くには「グランド坂」 があります。野球場の「グラウンド」の訛り。標柱の説明文も昔風に「グランド」で一貫しているのが面白いです。 》 飯間浩明
 https://twitter.com/IIMA_Hiroaki/status/885511497924751360

 造形作家白砂勝敏さん宅へ行く途中の橋は「ダイナ橋」。♪ダイナ〜からかなあ。村人発見できず未確認。

《 写真のような絵画って、絵に自信がない人が描いて、絵に自信がない人が買うんだよね。だからとても日本っぽい。 》 会田誠
 https://twitter.com/makotoaida/status/885368229220110336

《 すなわち、物量勝負に逃げたアーティストの作品を「壮大で、大迫力」と評する似非批評家・似非専門家など、 まったく「節穴」としか言いようがない。 》 中島 智
 https://twitter.com/nakashima001/status/885498858788110337

《 重要な示唆は、何か「これだ」といって横並びに同じことやらないこと。日本は何でもかんでも成果を上げたモデルを、 そのまま全国どこでもやろうとする。自動車、飛行機、新幹線で人が移動し、ネットで情報が共有される時代に、 昔のように地域の経済ブロックはないから、同じことやったら通用しない。 》 木下斉
 https://twitter.com/shoutengai/status/885625081761746944

《 ドローン空撮の最高峰 コンテスト優秀作23点 》 NATIONAL GEOGRAPHIC 日本版
 http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/17/071200164/

《 のんだり食ったりを我慢する必要はないが、金は貯めとけ。 》 菅野完
 http://www.sugano.ne.jp/2017/07/13/post-1533/

《 東電事故の刑事裁判 “想定外”根拠揺らぐ 》 週刊東洋経済Plus
  http://tkplus.jp/articles/-/16046

《 いまさら忖度役人やお友達を切ったら、どこからどんな文書や証言が漏れてくるかわからないので優遇せざるをえないし、もう泥沼。 》  辻田 真佐憲
 https://twitter.com/reichsneet/status/885058626565668864