まだ花見

 昨夜ブックオフ函南店まで自転車で行く。夜風が心地よく感じられる季節になった。迷ったら買わない、と決めて文庫を四冊。大竹伸朗「カスバの男」集英社文庫2004年初版、「小熊秀雄詩集」岩波文庫1991年 5刷、都築響一「TOKYO STYLE」ちくま文庫2003年初版、伴田良輔「女の都」河出文庫1996年初版、計420円。迷った文庫は、帰宅後確認すると、やっぱり持っていた。無駄買いしなくてホッ。

 大竹伸朗「カスバの男」は単行本で読んでいるけど、「単行本未発表の銅版画作品をあらたに収録。」とあるので買い。そのエッチングと思しき銅版画は、なかなかな味わいがあって愉しい。すごいのが解説の角田光代
「無知な私は、この偉大な芸術家のことなどなにも知らずにこの本を手にとり、即座に引きこまれ、夢中で読み耽り、読み終えてすぐさま、モロッコ行きの航空券を買いに走った。」
「モロッコ行きたいんです。一カ月のオープンチケットください。」
「そう、どうしてもいかなきゃならなかったのだ。だって、『カスバの男』を読んでしまったから。」
 私がビビったモロッコへ、彼女は行っちゃった。恐れ入りました。脱帽。

 美術館へ来る前に源兵衛川を歩く。花散る桜の下では、自治会の人たちが賑やかに宴会の準備。ソウルノートでも、お昼前から花見の宴会だけど、私はお仕事お仕事。きょうは大阪から味戸さんの絵を観に来られた男性や浜松市から川瀬巴水木版画を観に来られた若い女性など、さまざまな動機の来館者。呑気にしてられない。