未来懐古的造型世界

 ちょうどよく雨が上がったので自転車で来る。晴れたら風強!

 白砂勝敏さんの作品が見開き二ページで紹介されている『スチームパンク東方研究所2』グラフィック社。

《 日本発、世界を魅了したスチームバンクの未来懐古的造型世界。 》

 未来懐古的造型世界、彼の作品そのままだ。それにしても、他の作家作品はどこかへ連想がゆくのにたいして、彼の作品は独立独歩。あらためて実感。

 開館中は当然だけれど、まとまった閑というものは望めない。来館者は寄せる波のよう。ふっと凪いだ時にすっと読めるのが詩歌やフラグメント、箴言集。昨日に続いて『ラ・ロシュフコー箴言集』ワイド版岩波文庫から。

《 244  最高の才覚は、事物の価値をよく知ることである。  》

《 258  良い趣味は知性(エスプリ)よりも判断力(ジュジュマン)からくる。  》

《 265  精神の狭小は頑迷をもたらす。そしてわれわれは自分の理解を超えることを容易に信じない。  》

《 271  青春は間断なき陶酔である。理性の熱病である。  》

《 276  不在は並みの情熱を冷まし、大いなる情熱をつのらせる。ちょうど風が蝋燭を吹き消し、火事をあおり立てるように。  》

《 283  他人のよい忠告を身のこやしにするのは、時として正しく自戒するのにも劣らぬ怜悧さがあってこそできることである。  》

 どの文言もじつに身に沁みる。身に沁みすぎて突き抜けちゃうわ。283番、忠告は私の最も苦手とするもの。忠告してあげればいいのに、と言われることがある。でも、相手を慮れば言えない言えない。その人にそれを受け入れる余地がまだないと判断するから。私自身は、他人様からいましめ、進言をよく受ける。それであっても耳に痛い。まして忠告となると。

 ネットの見聞。

《 畏友(いゆう)大岡信について存分に語っている。たとえば、「近代日本の詩人のなかで、大岡というのは例外的な存在……挫折感とか不幸せとか孤独とか、そういうマイナス方向のものを表に立てることによってではなく、幸福感を歌う」 》 「丸谷才一最後の対談」より。

 幸福感を描いた絵、幸福感を感じさせる絵はいくらでもあるが、鑑賞後、見られてよかったという幸福感を味わう絵はまことに少ない。数少ない例に、静岡県立美術館で見たユベール・ロベールがある。

 ネットの拾いもの。

《 東スポの見出しかと思ったらマニフェストだった。 》

《 満員電車で「すみません、降りますー」って言ってもピクリとも周りが動かず出られず、後ろのお兄さんも「この人降ります」って言ってくれたんだけど誰も動かなかったので「すみません、吐きます」って言ったらサーッて開いた。聞こえてんじゃん。 》

 ネットの見較べ。

 森美術館会田誠展が催されているけど、彼の作品『滝の絵』2010年とベルギー象徴派の画家レオン・フレデリックの絵『生命の源』1880年